第120話

車を運転する事約1時間。キャンプ場に着いた丹羽家・赤坂家の面々は車から荷物を降ろし、今日キャンプをする場所に降ろした荷物を運び込んだ。


「ふぅ。結構重かったな。このクーラーボックスの中身はほぼ肉ってのは知っているけど。 修治さんが持ってきたクーラーボックスの中身は何なんだろ? このクーラーボックスも重かったんだけど……。何か中がジャラジャラいってるし」


両肩に吊るして運んでいた2つのクーラーボックスをその場に降ろして一息吐きながらそう呟くと、俺の呟きに気付いた修治さん(修治さんは薪や炭を抱えていた。この薪や炭も結構重たい)が


「ああ、そのクーラーボックスの中身? それはね」


嬉しそうに修治さんがクーラーボックスを開ける。 


気になるクーラーボックスの中に入っていたのは大量の氷とジュース(主に○ァンタグレープ)とビール(スー○ードライ。発泡酒じゃ無いよ)が詰まっていた。


「通りで重い訳だな。これだけ大量に氷と飲み物が入っていたら重たいわ」


「勿論酒はビールだけじゃないからね。丹羽さんはビールじゃ無くてチューハイが好きって晃に聞いているから、チューハイも買ってるからね♪ BBQをしながら飲みましょう♪」


「おお! 是非とも! ありがとうございます修治さん♪ 夜のBBQが楽しみになってきました♪」


こっそりとクーラーボックスの中身をかき混ぜると……おお! ほろ酔い(ブドウチューハイ)が入っている! ありがたいです修治さん♪


そんな事を話しながら俺と修治さんはテントの設営を始めた。



テントも張り終わり、後はBBQ迄自由時間だ。


さて、俺は楽しみであった渓流釣り(フライフィッシング)と洒落込みましょうかね。 俺はいそいそと車のトランクからロッドとフライフィッシングに必要な仕掛けを取り出す。


「修治さんも良かったら一緒に渓流釣りなんてどうですか?」


「俺は川の流れる音を聞きながら読書を楽しむ事にするよ。ゆっくり出来る時間を楽しみたいからね。悪いね丹羽さん。折角のお誘いを蹴ってしまって」


「いえいえ。お気にならさず。確かにゆっくりと出来る時間は必要ですからね♪ じゃ読書楽しんで下さい♪ 俺は渓流釣りへ行ってきます♪」


「そちらこそ渓流釣り楽しんで来てね♪ 釣果期待してるから♪」


「任せて下さい。今晩のBBQは肉だけじゃ無くて美味しい魚も用意しますので」


修治さんは車からキャンプ用の椅子を取り出してきて椅子に座りゆったりと小説を読み始めた。


さて、俺も……と思った所で瞬が


「お父さん、釣りに行くの? 俺も一緒に行っても良い?」


と声を掛けてきた。


「勿論。瞬は渓流釣りは初めてだよな?」


「釣り自体初めてだよ」


「んじゃお父さんが手取り足取り教えてやろうな」


「宜しく! 楽しみだな釣り♪」


という事で、俺と瞬はキャンプ場から少し上流にある渓流に行きフライフィッシングをする事にした。


瞬に基本的な動作とマナーを教え、いざフィッシング開始だ。


約十分後……おっ? 俺が投げた毛針に当たりがあり、15cm位のイワナが釣れた。


幸先良いぞ。 次は20cmオーバーを狙うぞ!


瞬の方はというと……やっぱりボウズか。 初心者だから仕方ないな。 コツを掴めば瞬にも釣れる様になるさ。 何事も諦めず続ける事が大切だからな。


暫く釣りを楽しんでいると、久遠と劉ちゃんがやって来て瞬に話し掛けていた。


お? 劉ちゃんがロッドを持ったぞ。 劉ちゃんが釣るのかな?


劉ちゃんがロッドを振った瞬間、何故か子供達が騒ぎだした。 子供達の方を見ると、劉ちゃんが慌てた様子で捲れ上がった久遠のスカートを掴み毛針を外している姿が見えた。


そうか、投げる前に久遠のスカートに毛針が刺さっていたんだな。 それでスカートが捲れ上がったんだ。


ロッドを振る前に周りの安全確認をしないと大事故になりかねない。


これは良識ある大人として、マナーの良い釣り人として子供達に注意をしなくては。


「気を付けなきゃ駄目! 周りを良く確認して!」


俺は瞬と劉ちゃんに近付き、2人に思い切り拳骨を落とした。


頭を押さえてその場に蹲りうめき声を挙げる2人。 ごめんね2人とも拳骨なんかして。でも怒られて当然だよね。 次からは十分気を付ける様に! 分かったかい?


結局、渓流釣りの釣果は 俺はイワナが10匹(残念ながら20cmオーバーは釣れなかったけど)釣れた。 ちなみに子供達は釣果0。


俺達は釣れたイワナをクーラーに入れてキャンプ場へと戻った。 釣れたイワナを刹那に見せると


「凄い! やっぱり圭介さんは釣り名人ですね♡」


と俺に抱き付きながら喜んでくれた。 うんうん。釣ってきた甲斐があったね。 とても嬉しいご褒美があったよ。



そして夜になり、BBQをする事に。


俺達男性陣は炭を使って火起こし。 女性陣は薪に火を着けて、その上で簡単な料理を作ってくれた。


「あっ、姉ちゃん!? その肉は俺が大切に育てた肉!」


「そんなの知~らない♪ はい劉ちゃん♡ あ~んして♡」


「…あはは。悪いな瞬」


子供達は肉の争奪戦に盛り上がっているみたいだ。


一方俺達はというと


「「「「乾~杯♪」」」」


修治さん・雪菜さん・刹那の3人はスーパー○ライ、俺はほろ酔い(勿論ブドウチューハイ)の缶を " カツン! " と合わせて肉と女性陣が作ってくれた料理をつまみに飲み会を始めていた。


「はい圭介さん♡ あ~ん♡」


「おっ、ありがとう刹那」


刹那に差し出されたタン塩を頬張る。


「はい修治さんも♡ あ~ん♡」


「サンキュー雪菜♪」


修治さんも雪菜さんにあ~んされて嬉しそうに顔を綻ばせていた。


俺はブドウチューハイを1口飲み


「くはぁ~!」


自然の中で飲むチューハイは旨いなぁ。


そして自然の中で家族全員と赤坂家の皆と一緒にワイワイ言いながら食べるBBQ。 最高じゃないか!


ふと夜空を見上げると、そこには満天の星空があった。 めっちゃ綺麗だ。


……また皆でキャンプに来れたら良いなぁ。 俺は星空を見ながらそう思った。



その後、買ってきていた花火で盛り上がったのは言うまでもない。 とても思い出に残る出来事だったと思う。


























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