第119話
~劉side~
皆様こんにちわ。俺の名前は
今日はいつもお世話になっている丹羽家の方々(幼馴染みである丹羽久遠と丹羽瞬の双子の姉弟と圭介おじさんと刹那おばさん)と父さん・母さんの7人で山にキャンプに来ている。
もう少しで夏休みが終わるから皆で楽しい事がしたいと瞬が言い出して、赤坂家の面々も誘われて来たという訳。
実の所、俺、今回のキャンプ物凄く楽しみだったんだよ。 いつも父さんと母さんは仕事で忙しく、なかなか家族で出掛ける事がなかったんだよね。 もう少しで夏休みが終わるなぁ…。暇だなぁ……(いつも久遠は俺の所に遊びに来るけど。他の女子と遊ばなくて良いのかなぁ? 折角の夏休みなのに)と思っていた時、そこに母さんから " 土曜日の午後から泊まり掛けで丹羽家の皆とキャンプに行くわよ " との御達しがあった。(赤坂家では父さんより母さんの発言力が強い。母さんの言う事は絶対)
暇をもて余していた俺としては嬉しい御達しだった。 母さんからキャンプの話を聞いて直ぐに俺はお小遣いを財布に入れてホームセンターに出掛けた。 勿論必要なキャンプ用品を買いに行く為だ。
先ずは雨合羽でしょ。 そして軍手と双眼鏡(¥1000位のやつ)と……あっ、そうそう! 山歩きをするならトレッキングシューズも必要だよね。
ホームセンターの帰りにリュックサックもみて帰ろうかな。 少し大きめのリュックサックを購入しないとな。
そして着々と土曜日のキャンプに向けての準備は進み、いざ当日。
久遠が玄関まで迎えに来てくれました。 駐車場で皆待っているとの事。
……久遠、今から山にキャンプに行くんだよね? キャンプに行くのにその格好はどうかと俺は思うんだけど。 迎えに来てくれた久遠の服装は、ベースボールキャップと白のTシャツと淡いピンクのミニスカートとスニーカー。 山に行くんだから、Tシャツはまだ良いとして、ミニスカートはどうなの? ジーンズかズボンの方が良くないか? 足を怪我したらどうするのさ。
荷物を車に積み込んでいざキャンプ場へ出発。 久遠の服装が気になった俺は、刹那おばさんにこっそりと " 久遠のあの服装は山キャンプにはOUTなんじゃ? " と聞いてみた。 すると刹那おばさんは賑やかに笑って " 大丈夫。ちゃんとした久遠の服装は準備してあるから心配ご無用だよ♪ " と教えてくれた。 それを聞いて一安心した。 やっぱり女の子の肌に傷が付くのは避けたいからな。
キャンプ場に到着した俺達7人。 駐車場に止めた車から荷物を降ろしてキャンプをする場所に運ぶ。 荷物を運びながら俺は辺りをキョロキョロと見回す。 やっぱり夏休みの土曜日だけあって、俺達の他にもキャンプに来ている人達が大勢居た。 家族や友人達や恋人同士でキャンプ。 あっ、あそこにはソロキャンプをしている人も居るな。
テントの設置も終え、俺達は暫く自由行動をする事に。 俺は森林浴を兼ねつつ父さんに借りたデジカメで風景や野鳥の撮影をする。何故か久遠が一緒にくっついて来たけど。
暫くの間森林浴を楽しみながら写真撮影をし、俺と久遠は瞬の元へと移動した。
瞬は圭介おじさんと渓流釣りをしていた。 どうやらフライフィッシングをしているみたいだ。
フライ・フィッシング(英: Fly fishing)とは、欧米式の毛針であるフライを使う釣りである。起源はイギリスの貴族で、現在も格調高い紳士のスポーツとして楽しまれている。(どやぁ♪)
狙いは多分イワナかな?
俺は瞬に近付き
「釣果は?」
「……ボウズだよ。案外難しいのな。お父さんは簡単そうにやってるけど、やっぱり腕の差かな?」
「俺にもやらしてくれない?」
「別に良いけど、周りをちゃんとみてから毛針を投げろよ?」
「分かってるって♪」
瞬からロッドを受け取りいざ初フライフィッシング!
「劉ちゃん頑張って♡」
久遠の応援の元、ロッドを振って毛針を渓流へ……ってあれ? いきなり大きな手応えが?
そう思った瞬間、俺の後から
「きゃああああっ!?」
と久遠の悲鳴が聞こえてきた。 なんだなんだ!?
慌てて後を振り向くと、俺の視界にピンクの面積の狭い布が飛び込んで来た。
そう、俺が投げた筈の毛針は、投げる前に後に居た久遠のミニスカートの裾に引っ掛かっていたみたいで、気付かず投げた勢いで思いっきりスカートを捲ってしまったみたいだった。
「いやぁ~ん!////// 劉ちゃんのエッチ! スケベ!//////」
「ご、ごめん久遠! 直ぐに針外すから!」
俺は慌てて久遠のスカートの裾に引っ掛かっている毛針を外しにかかった。 くっ! 毛針が布に食い込んで外れない! それに、外している時に久遠のピンクのショーツが視界にチラチラ入って外す事に集中出来ない//////
やっとの思いで毛針をスカートの裾から外し安堵の溜め息を吐く俺。 今回はスカートの裾だったから良かったものの、人体に毛針が刺されば大変な事になる。本気で焦った。
騒ぎに気付いた圭介おじさんがやって来て " 気を付けなきゃ駄目! " と怒りながら俺と何故か瞬の頭に思い切り拳骨を落としてきた。 ~~~~っ!? 滅茶苦茶痛い! 俺と瞬は頭を押さえてその場に蹲りうめき声を挙げる。 でもこの拳骨は甘んじて受けなければならない。 それだけ危ない事なのだから。
俺はフライフィッシングはもうしないと心に決めた。 俺には向いてないや。
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