第118話
そしてキャンプ当日の土曜日。 午前中は仕事だったので大人しく仕事に集中。 そして就業終了後急いで帰宅し、久遠と瞬の力を借りて車の荷台にキャンプ用品や炭や薪等の必需品を詰め込んでいく。
あれ? 刹那は? と思う人も居たかも。 刹那は只今近くのスーパーに買い出しに行っているから此処には居ない。
車に荷物を積み込む時に
「ああっ! これはいけません!」
「ど、どうしたんだ刹那!? いきなり大きな声を挙げて!?」
「今、食材を入れたクーラーボックスの最終確認をしていたんですが、BBQ用のお肉の量がこれでは足りない事に気付いてしまったんです! 7人で食べるには少なすぎると! それに」
「それに?」
「ウチの大好きな " タン塩 " を買い忘れていた事にも! 焼き肉と言えばタン塩ですよ! という事で、ウチ今から近くのスーパーでタン塩とお肉を買ってきます! 他に欲しい物ありますか?」
「う~んそうだね、虫除けスプレーがあれば良いかな。キャンプ場は山だし、蚊が多そうだから」
「了解です! 確かに山は藪蚊が多そうですもんね。 圭介さんや久遠や瞬が蚊に刺されるなんて絶対に避けないといけませんから。では行ってきます!」
と言って刹那は肉の買い出しに出掛けていったという訳だ。 刹那が出掛けた後、肉が入っているクーラーボックスの中身を覗いてみたら、クーラーボックスに一杯になる程の肉の塊が入っていた。
……刹那、一体どの位肉を食べるつもり? いくら俺達7人でもそこまで食えないよ? 野菜とかウインナーとか色々食材あるし……。
「……お父さん! クーラーボックスの中身を見てないで荷物の積み込み手伝ってよぅ! クーと瞬ちゃんだけ働いてお父さんはおサボりなんて許さないんだからね!」
と背後から久遠が腰に手を当ててぷんすかと怒りながら俺にそう話し掛けてきた。
「ああごめんごめん。直ぐに積み込みするからそう怒らないでよ」
クーラーボックスの蓋を閉めて、クーラーボックスを車の荷台に積み込む。 ……うおっ!? このクーラーボックスかなり重たいぞ!? 大方腰を痛める所だったぜ。 そして粗方荷物を積み終わる所で刹那が両手一杯に買い物袋を提げて帰ってきた。
……もしかしてそれ全部肉ですか?
丹羽家の皆は車に乗り込み、駐車場を出発し赤坂家の待つマンションへと移動。
それから間もなくマンションに到着。
「じゃあクーが劉ちゃん達を迎えに行ってくるね♪」
久遠は勢い良く車のドアを開けて車から飛び降りて赤坂家の皆を走って迎えに行った。
俺も運転席から降りてトランクを開けて赤坂家の皆が来るのを待つ事に。 その際一緒に降りてきた瞬に
「なぁ瞬」
「何?」
「久遠は学校でもあんなに慌ただしいのか? もしそうならお父さん久遠が心配なんだが」
「…姉ちゃんの素が出るのは家族の前だけだよ。 学校ではお淑やかな優等生を演じてるから。普段の姉ちゃんの姿は暴君そのものだから、学校の皆が姉ちゃんのあの姿をみたらドン引きするかもな」
「つまり、久遠は学校では猫を被っていると」
「そういう事……って…ひっ!」
「どうした瞬? 何怯えてるんだ?」
俺の後を見ながら怯えた態度を取った瞬に違和感を覚えた俺。 ゆっくりと後ろを振り向くと
「……瞬ちゃん、後で少しお話があります。顔を貸して貰えるかな? 勿論瞬ちゃんには拒否権は無いからそのつもりで」
「……はい」
刹那が本気で怒った時と寸分変わらない位の覇気を醸し出している久遠が立っていた。 そして久遠の後には赤坂家の皆様が荷物を持って来ていた。
「……荷物積み込みましょうか」
「そうだね。今回はお世話になります。キャンプ楽しみましょうね」
そう言って修治さんは持ってきた自分達の荷物をトランクに積み込みだした。
一方雪菜さんは
「久遠ちゃんは刹那にそっくりね。やっぱり血は争えないわぁ」
と笑っていた。 劉ちゃんは
「2人ともいつも仲の良い姉弟だよな。俺、一人っ子だから羨ましいな」
と微笑んで久遠と瞬のやり取りを見ていた。 ……もしかして劉ちゃんは久遠の素を知っていたとか?
こうして丹羽家・赤坂家合同のキャンプが始まった。
今回の行き先のキャンプ場は焚き火可能なキャンプ場だから楽しみだな。 そして渓流釣りも楽しめそうだ。
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