第114話

~刹那side~


最近ですが物凄く腹が立つ出来事がありました。 勿論、完璧にかつ完膚無きまでに対処したのでもう絶対にそんな事は無くなったと断言出来ますが。


少しだけその腹が立つ出来事のお話をしようと思います。 あっ、このお話は圭介さんには内緒でお願いしますね。



あれは今から約1カ月程前の事です。


ウチは歌番組の生出演の為に某テレビ局に来ていました。


有名な歌番組なので、結構な数のギャラリーさんと出演者さんがスタジオには居ます。 ロックバンドの皆様やアイドルの娘や演歌歌手の方等様々なジャンルの方々が居ました。(最近の歌番組で演歌歌手の方は珍しいですね)


収録が始まり、ウチ達は自分の順番が来るのを待っていました。 その時


" ゾワッ!! "


といきなり背筋が寒くなる様な視線を感じました。


な、何ですかこのねっとりとした気持ち悪い視線は!?


その視線の持ち主は直ぐに分かりました。 あの演歌歌手の方からです。 あの演歌歌手はウチのお尻や胸を舐め回す様に見てきていたのでした。 物凄くいやらしい目で。 顔もニヤニヤしています。


うわぁ、物凄く気持ち悪い。 吐き気がしてきます。


その演歌歌手の方の容姿は、まるで道路で車に轢かれたヒキガエル(昔愛媛で見ました。物凄く気持ち悪かったのを憶えています)とそっくりな顔で、お腹もはち切れんばかりに飛び出しています。着ている和服が可哀想な位にパンパン。


ウチは嫌悪感が物凄く、出来るだけそのヒキガエルと目を合わせない様にしていました。 すると、あろうことか、ヒキガエル(もう演歌歌手って言うの止めますね)がウチの側にやって来て、耳元で


「今夜○○ホテル310号室で待ってるから」


きゃあああああっ!? なんて事を言うんですかこのヒキガエルは!! 行く訳無いでしょうが!? 馬鹿じゃないの!?


「何を考えているんですか? 私は結婚していて、子供も居るんですよ? それに私は貴方には微塵も興味ありませんので」


とヒキガエルにそう言ったのですが、ヒキガエルがまた耳元で(鳥肌立ちまくり! 気持ち悪いから止めて!)


「来ないと芸能人生命終わっちゃうかもよ?」


と囁いて来たんです。


……ほう。 という事は、それはウチに喧嘩を売ってるって事ですね? 成る程成る程。


よし、このヒキガエル、本当に潰れたヒキガエルにしてあげましょう。 どっちが芸能人生命が終わるのかを思い知らせてあげましょう! 


そう簡単にウチを好き勝手に出来ると思わないで下さいよ? ウチの心も身体も好き勝手出来るのはこの世で只1人。 圭介さんだけなんだから!


ウチは収録が終わった後色々と準備をして、ヒキガエルの待つ○○ホテルの310号室へ向かいました。 見てなさいよヒキガエル!


ウチは310号室のドアをノックしました。 するとヒキガエルがいやらしい顔をドアから覗かせ


「やぁ来たね♪ 入りなよ♪」


ウチはヒキガエルの言われるままに部屋の中に入りました。 そして絶句しました。


なんとヒキガエルはバスタオルを腰に巻いただけの姿だったのです。 しかも汚物が筍の様になっていたんです。 そしていきなりウチに飛び掛かって来ました!


「刹那ちゅわぁぁん♥️ その豊満な身体は俺の物だぁぁぁ♥️」


ウチはヒキガエルのルパンダイブをさっと躱し、ヒキガエルの顔面に拳を叩き込みました。 気持ち悪いけど仕方ありません。自己防衛です。


その場にのたうち回るヒキガエルを放置して部屋のドアを開け、外に向かって


「報道陣の皆様~! 此処に性犯罪者が居ます~! 存分にスクープをお願いしま~す!」


と叫びました。 するとウチの言葉を聞いた大勢の報道陣が一斉にヒキガエルに駆け寄り、ヒキガエルの姿をTVカメラやカメラに納めていきました。


そう、ウチが準備していた物とは、各メディアの報道陣でした。 報道陣の皆様には少し隠れてもらって、ウチが呼んだら来て貰う様にしていたんです。


あっ、スクープの代わりにウチの事は臥せて一般人からのリークという事にして貰っています。


すぐさまヒキガエルの悪行は世間に知れ渡り、ヒキガエルは芸能界からと世間から姿を消す事になりました。



後日、テレビを観ていた圭介さんが


「へぇ、このヒキガエル、まだ演歌歌っていたんだ。ダミ声でヒキガエル顔なのによく芸能界に居れたよな。 女性に強制猥褻な事をしようとして捕まったか。……だろうな」


と呟いていたのを聞いて、ウチは思わず吹き出してしまいました。


圭介さんもウチと同じ感想でヒキガエルって……プププッ(笑)









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