第107話

月日は流れ、久遠と瞬は小学生になった。 小学校の入学式の時はそりゃ勿論デジタル一眼レフカメラで久遠と瞬を激写しまくったさ。 その時確信したね。 ウチの子より " 可愛い・イケメン " の子供は居ないって。 あっ、赤坂さん家の劉ちゃんは除外してだけどね。 劉ちゃんも " 瞬の次 " にイケメンだと思うよ。 将来有望なお子様だな うん。


勉強の方も久遠と瞬は滅茶苦茶優秀(身内贔屓と言いたければ言えばいいさ!)で、テストの点数はいつも100点の数字しか見た事がないのよ!


運動は久遠はそこそこ。瞬はまるで何でもこなせるスポーツマンみたいな感じ。 ここは双子だけど違うのね。 誰に似たんだろ? 俺は運動嫌い(でも腕っぷしは強かった)だから刹那だろうな。





2人が3年生になった時、ある出来事があった。


俺が会社から帰ってきたら、刹那はもう仕事を終えて帰宅していた。


「ただいま~」


……あれ? 返事が無い。 いつもなら顔を覗かせなくても " お帰りなさい " 位の返事はある筈なんだけどな?


疑問に思いながらリビングにネクタイを緩めながら入ると、刹那が救急箱を取り出してきて瞬の傷の手当てをしている所に遭遇。 ど、どうしたんだ瞬!?


瞬の腕辺りには青アザが出来ていて、おでこ付近には大きめのたんこぶがあった。 そして半袖から見える部分には擦り傷が多数。 膝にも擦り傷が多数。 少し血が出ている。 それを刹那が消毒液で消毒しガーゼを当てていた。 瞬の隣では久遠が泣いていた。


「な、何があったんだ!? 瞬のその傷は一体!? 俺に分かる様に説明してくれないか!?」


俺は刹那と久遠に説明を求めた。 


刹那と久遠が言うには、今日の放課後、久遠がクラスの男子達に

 

" お前の髪の毛の色は皆と違っておかしい。明日までに黒く染めてこい " や " 少しばかり目立ち過ぎなんだよ。生意気だ " 


とか言われて苛められていたみたいだ。 そして1人の男子が久遠の髪の毛を引っ張った所を劉ちゃんと瞬が発見。


 そしてガチギレした劉ちゃんが久遠の髪の毛を引っ張っていた男子の顔を思いっきり殴ったらしい。 


そこから劉ちゃんVSクラスの男子達の喧嘩が勃発。大乱闘になった。 勿論瞬は劉ちゃんの味方で参戦しクラスの男子達と喧嘩。 


そこにクラス担任の先生が慌ててやって来て大乱闘を止めた。 


そして廻りでびくびくしながら一部始終を見ていたクラスの児童に話を聞いた先生が、久遠の髪の毛を引っ張った男子の親御さんと雪菜さんと刹那に連絡をした。 


急いで学校に駆け付けた刹那と雪菜さんは、先生の案内で応接室に通された。 そこには本当に申し訳なさそうな顔をした久遠の髪の毛を引っ張った男子の親御さんがソファーに座っていた。


男子の親御さんと挨拶を交わした後、担任の先生から自分達を学校に呼び出した詳しい内容を聞いて刹那・雪菜さんは大激怒。 男子の親御さんはひたすら刹那と雪菜さんに謝っていたそうだ。


で、久遠と瞬を連れて帰った後、瞬の怪我を刹那が手当てしていた所に俺が帰ってきた。 という訳だ。



俺は瞬の前に座り


「何故喧嘩をした?」


「お姉ちゃんが苛められていた所を劉が助けに入ったから」


「瞬が手を出す必要は?」


「……無かったと……思う。でも! 僕は許せなかったんだ!」


「何が許せなかったんだ?」


「お姉ちゃんを苛めた事と、劉1人を大勢で殴った事が! 僕はそんな奴らを許せなかったんだ!」


俺は瞬の頭を優しく撫でて


「本当は駄目な言葉かも知れない。けど、お父さんは敢えて瞬に言う。 " よくやった! "  お父さんはそんな瞬を褒めてやる」


「僕……理不尽な事で人を苛める奴らは許さない」


「でも瞬、先ずは話し合いから始める事が大切だ。 実力行使は最終手段だ。 分かったな」


「……うん。分かったよお父さん」



瞬との話し合いの後、俺は刹那に滅茶苦茶叱られてしまった。



俺は、他の人の事を守り、他の人の為に戦えるという事は立派だと刹那に叱られながら思っていた。


偉かったぞ瞬。





















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