第106話

久遠と瞬は変わった事は何も無く元気にすくすくと成長し5歳となりました。 お父さんとしては2人が元気に育ってくれて嬉しい限りです。


刹那が預けていた託児所を卒業して、マンションから近い保育園に入園する事になった。 勿論篠宮さん家の劉ちゃんも一緒だ。


俺の毎朝の日課として久遠と瞬を保育園に送る様にしている。 だって、2人からの " お父さん行ってきます! " を聞きたいじゃん!


朝6:30 目覚まし時計の音と共に


" ガチャッ "


と子供部屋の入り口の戸が開く音がし、瞬が寝ぼけ眼でリビングに出てくる。 そして


「……おはようお父さん、お母さん」


「おはよう瞬」


「おはよう瞬。久遠は?」


「……僕と一緒に起きたけど……また寝た」


……またですか。どうも久遠は朝が弱いみたいで、俺か刹那が起こしに行かないと起きてこない。


「ほら瞬、洗面所で顔を洗って来なさい。それに寝癖が酷いわよ? 直して来なさい。それともお母さんが直してあげようか?」


刹那が瞬にそう声を掛けるが


「……良い。僕1人で出来るから」


と言って洗面所へと行ってしまった。 いやいや、子供の成長は早いですな。 自分で洗面や寝癖直しを出来る瞬は偉いと思うよお父さん。


瞬は洗面所で顔を洗い、頭に付いた寝癖をちゃんと直した後リビングへやってきた。


「お母さん、寝癖ちゃんと直ってる?」


「ちゃんと直ってるわよ。よく出来ました♪」


刹那は瞬の頭を優しく撫でて自分1人で出来た事を褒めた。


「エヘヘ。僕は1人で何でも出来るんだから♪ 当然だね♪」


と得意気な瞬。 お父さんも褒めてあげようか?



只今の時刻 7:30


そろそろ俺もマンションを出ないとヤバい時間になっている。 俺は子供部屋に行きドアを開けた。


……久遠は涎を垂らして寝てるよ。 全くこの子は……。


「久遠、もう起きなさい。保育園に遅刻するよ?」


「……後10分……」


……朝が弱いのは誰に似たんだ? 俺か?


俺は久遠に再度声を掛けるが、久遠は一向に起きる気配が無い。 ……最終手段だ。


「久遠、劉ちゃんが迎えに来てる」


久遠の耳元でそう囁くと、久遠は " ガバッ! " と勢い良く起き上がり


「えっ!? 嘘!? お父さん、もっと早く起こしてよ!! 早く顔を洗って、寝癖直して、お洋服着替えなきゃ!! お父さん邪魔!! そこを退いて!!」


俺は久遠に突き飛ばされ、バランスを崩して床にお尻を痛打してしまった。 痛い!!  そして久遠は勢い良く子供部屋を出ていった。


やれやれ……やっぱりこの手段が久遠には1番効くな。 イテテ……お尻痛い。


この出来事の後、俺は久遠に滅茶苦茶怒られてしまった。


「お父さんの嘘つき!! 劉ちゃん居ないじゃない!! 嘘つきは泥棒の始まりなんだよ!」


……嘘ついてごめんなさい。 そんなに怒らないで。


俺を怒っていた久遠に刹那が


「久遠? お父さんは久遠が保育園に遅刻しない為にそう言ったんだとお母さんは思うんだぁ。 だからお父さんをそんなに怒らないであげて欲しいなぁ」


と諭す様に俺がした事の意図を優しく久遠に説明してくれた。 流石刹那。 愛してるよ。


「そうだったんだ。ごめんなさいお父さん。クーが悪かったです。でも、嘘は駄目だからね? 今回だけだからね?」


久遠さん。分かって貰えて何よりです。 でも貴女、毎朝この嘘に騙されてるよ?


そして2人の準備が終わり、刹那が作ってくれた朝食を食べた後、久遠と瞬を連れてマンションを出る。


そして保育園に到着すると、既に劉ちゃんと赤坂さん(修治さん)は入園していて久遠と瞬を待っていてくれた。 修治さん、おはようございます。 劉ちゃんおはよう。


「久遠ちゃん、瞬ちゃんおはよう。早く向こうで遊ぼうよ!」


劉ちゃんが笑顔で手招きしながら久遠と瞬を呼ぶ。


「うん! 直ぐに行くよ!」


「劉ちゃん今日も素敵♥️」


2人が劉ちゃんの所に駆けて行こうとしたが、思い出した様に俺に振り向き


「「行ってきますお父さん!!」」


と笑顔で言って、今度こそ劉ちゃんの所に駆けて行った。


「朝から元気ですね久遠ちゃんと瞬君。2人を見ていると元気を貰える様です♪」


修治さんが微笑みながら俺にそう言ってきた。


「俺も劉ちゃんを見てたら元気になれます。いつもうちの久遠と瞬と仲良くして頂いてありがとうございます」


俺と修治さんはそう言って笑い合い、保育士さんに挨拶した後お互いの会社に出勤した。


よし、子供達の笑顔と言葉のお陰で今日も1日頑張れそうだ♪




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