第87話
俺は刹那と話し合い、結婚式場は刹那が言っていたセン○グレー○大聖堂に決めて予約を入れた。 式は刹那の仕事の都合や俺の仕事の都合を考慮し6カ月後に挙げる事となった。 まだ式の招待状等は作成していないけれど、まぁ6カ月も余裕があるんだ。余裕で間に合うだろう。
式場の予約をしてから半月後にやっと俺の右足のギプスが取れた。 何だか右足が軽く感じるなぁ。
仕事も普通に出来る様になり、今は営業をバリバリ(?)頑張っている。
6カ月後の刹那との結婚式+披露宴の為に仕事をめっちゃ頑張ってお金を貯めないとな。 まぁ、俺の安月給じゃそんなにお金を貯める事は出来ないと思うけど(大丈夫です圭介さん♥️ ウチも貯金していますから♥️)。
それに、普通は式の後にする事なんだろうけど、新婚旅行に近い内に行きたいと計画している。 これは俺の我が儘なんだけど、海外旅行は無しの方向で。 だって海外怖いじゃん? 言葉通じないし。 その俺の我が儘に刹那は賛成してくれている。 刹那はWeb検索やパンフレットを見ながら
「圭介さん圭介さん♥️ ウチは沖縄か北海道に行きたいです♥️ 北海道は海の幸が物凄く美味しいし、富良野や札幌に観光に行きたいです。沖縄なら国際通りでショッピングがしたいし、玉泉洞にも行きたいです♥️ 圭介さんは沖縄と北海道、どっちが良いですか♥️」
と今から楽しそうに旅行のプランを立てている。
俺は刹那が喜ぶなら沖縄でも北海道でもどっちでもOK。
そんな楽しい毎日を過ごしながらのある日曜日の休日。
" ザザ~ン ザザ~ン…… "
ユラユラ……。
ああ、今日は良い天気だなぁ……。 頬に当たる風も気持ちいいし、この揺れも最高だ。 カモメの声も情緒たっぷりだ。
どうも。圭介です。 今俺は海に来ています。 しかも船に乗って沖まで来ています。
何故船に乗っているのかって? それはあなた、聞かなくても分かるでしょ? 海釣りですよ海釣り。
休みの日に俺の趣味である釣りを楽しむ為に釣り船を予約して朝早くから大物狙いに来ている訳ですよ。
俺は昔買っておいた電動リールと大物が狙える耐久性のある釣竿を使って釣りをしている。
「圭介さん、風が気持ちいいですね♪ 潮の香りがします♪ 大きなお魚さんが釣れたら今日の夕食はお刺身ですね♪ 楽しみだなぁ♪」
俺の横でキャッキャッとはしゃぐ刹那。 そして
「オゥエ~~~~~ッ!!」
と船から身を乗り出して口から盛大に撒餌をかましている彼方君。
そう。沖釣りには俺、刹那、彼方君の3人で来ているのだ。
俺は会社が土日休み。刹那はたまたま珍しく今日がオフの日。そして彼方君は大学生だからいつでも休みみたいな物。
何故この3人で沖釣りに来ているかと言うと
3日位前の夜に彼方君が俺のスマホに電話してきて
『丹羽さん、日曜日暇ですか?』
「彼方君? まぁ暇だけど? どうした?」
『暇なら何処かに遊びに行きませんか? 丹羽さんの好きな所で構わないので』
「良いけど。またどうして?」
『俺思ったんです。そういえば俺、丹羽さんと遊びに出掛けた事が無いなと。 丹羽さんは俺の義理の兄なんですから、関わりが無いのはとても寂しいし駄目だと思ったんですよ。これから一生涯の付き合いになる訳ですし。 ……もしかしたら2つの意味で兄になるかも知れないですしね(ボソッ)』
「確かに彼方君と遊びに行った事が無いな。 よし。遊びに行こうか」
『はい。是非』
……俺はそこでふと思った。 そういえば最近釣りに行ってないな。と。
「……彼方君、俺が好きな所で構わないって言ったよね?」
『はい。言いました』
「じゃあ日曜日は釣りに行こう」
『釣りですか……俺、釣りはした事無いんですよね。上手く出来るか分かりませんが、日曜日の釣り喜んで行かせて頂きます♪』
「よし、決まりだな」
すると夕食の片付けをしていた刹那が
「圭介さん? お電話ですか?」
「彼方君だよ」
「彼方? 圭介さんに何の用事で?」
「あのさ、彼方君が日曜日に俺を遊びに誘ってくれたんだ。 だから彼方君と一緒に日曜日釣りに行って来るよ」
と答えると、刹那が
「ウチもお魚釣りに一緒に行きます! 良いですよね圭介さん?」
「でも刹那、日曜日に仕事入ってないの?」
刹那にそう聞くと、刹那はバッグからスケジュール帳を取り出し、スケジュール帳を開いて
「日曜日、日曜日……っと。 あっ、お休みになってる♪ やった♥️ 圭介さん、ウチ日曜日オフの日です。一緒にお魚釣りに行けます♥️」
「そうなんだ。じゃあ一緒に行こうか。あっ、でも彼方君に聞いてみないと」
「圭介さん、ハンズフリーにして下さい。ウチが彼方と話します」
刹那にそう言われて、スマホを操作しハンズフリーの状態にする。
「もしもし彼方? 日曜日はウチもお魚釣りに一緒に行くから」
『え"っ!? 姉ちゃんも来るの!?』
「何? ウチが一緒に行ったら駄目なの? 彼方、あんた何時からウチにそんな生意気な口をきくようになったの?」
『だ、駄目とは言ってないじゃん!』
「彼方に拒否権は無いから。良いね?」
『……はい』
と言う事で刹那も釣りに行く事が決定した。
で今に至ると。 刹那は撒餌をかましている彼方君に
「彼方~。あんたそんな事でよく圭介さんとお魚釣りに行くって言えたね? もっとシャキッとしなさいよ!」
「ウェップ! そ、そんな事言ったって、船の上がこんなに揺れるなんて知らなかったんだから仕方ないじゃん……ウェップ! ウゲェ~~~~ッ!!」
「は~っ、情けないったらありゃしない。ウチ恥ずかしくて涙が出そうだわ」
……刹那さんや、初心者にその言葉は酷と言う物だよ。 今日は彼方君は撒餌担当かな。 しかし……刹那は船酔いしないな。むしろ揺れを楽しんでいるみたいだ。 姉弟でも三半規管の強さは違うんだな。
それから彼方君は船酔いから復活する事無く散々な1日に終わった。 俺は刹那と代わる代わる釣りを楽しみ、真鯛とシマアジを釣って帰った。
彼方君には悪いけど、やっぱり釣りは最高だ。 とても良い休日になったと思った。 彼方君、誘ってくれてありがとうね♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます