第85話

行きつけの居酒屋で俺はブドウ酎ハイと若鶏の唐揚げ、赤坂は生ビールとたこワサを注文する。


ブドウ酎ハイと生ビールが俺達の前に届いた所で


「「乾~杯!」」


とグラスを合わせ乾杯する。


ゴクッゴクッ! プハァ。 


久しぶりのブドウ酎ハイは滅茶苦茶旨い!! そして唐揚げを1口。


ザクッ! ジュワッ! 


ん~っ。このジューシーな肉汁! そしてこの唐揚げの食感!! 堪りませんなぁ!


俺の横に座って(カウンター席に座った)いる赤坂をチラッと横目で見ると、物凄く美味しそうに喉を鳴らしながら生ビールを流し込んでいた。 いつも思うのだが、ビールってそんなに旨いのか? ただ苦いだけの様な気がするんだけど。 やっぱり俺はブドウ酎ハイが1番だな。 そしてツマミには若鶏の唐揚げに限る!


俺と赤坂は注文したブドウ酎ハイと生ビールを一気に飲み干し、またブドウ酎ハイと生ビールを注文する。


居酒屋内に設置してあるテレビを見ながら唐揚げをモグモグ。


" 由井刹那 NEWシングル " 永遠 " ミリオンヒット中 "


というCMがテレビに流れていた。 ほぇ~。刹那が書き下ろしていたあの曲、ミリオンいってるんだ~。 良い曲だからミリオンいくのも納得だな。 と思いながら手元にやって来たブドウ酎ハイを1口戴く。


そう言えば、刹那は何故か刹那のCDを俺に買わせてくれないんだよな。 刹那曰く、" 曲が聞きたいならウチが圭介さんの為だけに歌いますから、CDは必要ありません " という事らしいんだ。 でも、1人の時とか、車の運転中とかに刹那の曲を聞きたいよね。 1度CDを刹那の許可無く購入して聞いていたら、刹那に有無も言わさず没収されてしまったんだよな。


「なぁ丹羽、刹那さんはやっぱり凄いよな。CDミリオンだって」


「刹那のあの天使の様な可愛さと神の歌声みたいな歌唱力と天女の舞いみたいなダンスの上手さを考えたら当然だけどな」


「お~お~。惚気ちゃってさ。羨ましいぜ。俺も刹那さんみたいな奥さんが欲しいよ」


「お前なら直ぐに結婚出来ると思うんだが? 会社でも女子社員にモテまくってるだろうが。 女子社員の中に良い人居ないのか?」


「ぶっちゃけた話、居ない」


「何でだよ? 可愛い娘一杯いるだろ?」


「俺の理想は刹那さんだから。刹那さんに匹敵する女子は居ないな」


赤坂ぁ。お前、理想高過ぎだろ? 刹那みたいな超絶美人は何処を探しても見つかる訳無いって。 もう少し妥協したら?


そんな話をしながら飲む事2時間。 程よく酔いが廻ってきたので帰る事に。 すると、俺の背広のポケットからスマホのバイブ音が聞こえてきた。


ん? 誰だろ? 俺はスマホをポケットから取り出してスマホの画面を見た。


……サァーッ。 一瞬にして酔いが醒めてしまった。


「どうした丹羽? 顔色悪いぜ?」


赤坂が不思議そうな顔をして聞いてきた。


「……刹那から電話掛かってた。LINEも。 バイブにしてたから気付かなかった……」


「ちゃんと俺と飲みに行くって伝えてんだろ? なら大丈夫だって」


「そ、それが……」


「お? どうした? も、もしかして」


「……刹那に連絡するの忘れてた……どうしよう?」


俺の言葉を聞いた赤坂は顔色を青くし


「ばっ!? お前!? あれ程刹那さんに連絡しとけよ? って言ったじゃないか!」


恐る恐るスマホの画面を改めて見ると


不在着信10件 LINE通知60件 


……めっちゃ鬼電してんじゃん……。


どないしよ。 確実に帰ったら怒られる。


「……なぁ赤坂、お前、俺と一緒にマンション来て怒られてくれないか?」


「嫌だ!! 何で俺が刹那さんに怒られないといけないんだ!! 怒られるならお前1人で怒られろ!! 連絡しなかったお前が悪い!」


赤坂は飲み代を支払いそそくさと俺を置いて帰ってしまった。 酷い! 晃のヒトデナシ!! 鬼!!


……仕方ない。大人しく刹那に怒られよう。 俺は松葉杖を点きながら重い足取りでマンションに帰った。


マンションに帰った俺は刹那に " 何処に行っていたんですか!! 物凄く心配したんですよ!! 飲み会に行くなら連絡はちゃんとして下さい!! " と号泣されながら怒られてしまった。


誠に申し訳ございませんでした。 右足に負担が掛からない様にして土下座して刹那に謝ったのは言うまでもない。
















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