第83話
「彼方君、栞。今日はありがとうね。俺の為にこんなパーティーを開いてくれて。嬉しいよ。でも大変だっただろ飾り付けや料理」
彼方君と栞に感謝の言葉を伝えた。
「いえいえ。丹羽さんにはいつもお世話になってますし。これ位はどって事ありませんよ。 それに昔から姉ちゃんにイベント毎にやらされてましたから馴れてます♪」
昔から刹那にやらされていたのか。ご苦労様だな彼方君。
「兄ちゃん、私も飾り付けや料理手伝ったんだよ?」
ハイハイ。栞もありがとうね。 でも栞、お前昔はこんな飾り付けや料理は " 面倒臭い " って言ってやらなかった筈なのにな。 成長したんだな。兄ちゃん嬉しいぞ。
「……兄ちゃん、何か余計な事考えてない?」
「ソ、ソンナコトナイヨ。 キノセイダヨ」
……何故に分かったし? 時々栞は勘が鋭いな。
「……彼方。余計な事は言わなくていいの」
「アッ、ハイ💦」
俺の隣に座る刹那に睨まれ彼方君は小さくなってしまっていた。
「刹那? 彼方君が折角飾り付けや料理をしてくれたんだから、そんな言い方はしない」
そう言って刹那を嗜めると
「ご、ごめんなさい圭介さん。ウチそんなつもりは……」
と泣きそうな顔になる。
「姉弟なんだから仲良くしないと駄目。 な?」
「……ごめんなさい。 彼方…ごめんね」
反省した刹那が彼方君に謝罪の言葉を告げると、彼方君は
「……ビックリした。姉ちゃんが俺に謝ってくるなんて……」
と言いながらさっとスマホを取り出して何かを検索しだした。
「……彼方。貴方何をしているのかしら?」
「いやね、明日の天気を調べてるんだよ。明日雨が降ったら非常に困るんだよ。明日は絶対に外せない予定が入っているんだよ」
そう言う彼方君の横で栞もスマホで何かを検索している。
……おやおや? 何か怪しい動きだな栞さんや。
「……彼方、もしかしてウチが彼方に謝ったから雨が降るって思っているのかしら?」
「うん。正にその通りだけど?」
彼方君の言葉を聞いた刹那は無言で席を立ち上がり、彼方君の後に回り込んだと思った途端、自分が履いていたスリッパを脱いで手に持ち
" スパーーーーン!! "
と彼方君の後頭部を思いっきり叩いた。
「ぶべら!!」
刹那に後頭部を思いっきり叩かれた彼方君はテーブルに顔面を強打する。
「彼方さん!?」
テーブルに顔面を強打した彼方君を見て栞がオロオロと慌て出す。
「もうウチ絶対彼方に謝ったりしないから。なんかムカつく💢」
……今のは彼方君が悪いと思う。 これは助けれない。 刹那が怒るのも当然だと思うよ彼方君。
暫くして彼方君も復活し、食事を再開する。
すると栞が
「しかし兄ちゃんも不運だよね。車に轢かれるなんてさ」
「それな。 あの日は最悪な日だったよ。会社に遅刻するわ、後輩の尻拭いをしないといけないわ、犬に理不尽に吠えられるわ、犬の糞は踏むわ、挙句の果てに車に跳ねられるだぜ? 死んだかと思ったわ」
「……そこまでとは知らなかったよ。兄ちゃん御愁傷様だったね」
「圭介さん、何故遅刻したんですか?」
と刹那が不思議そうに聞いてきた。
「あの日刹那が朝早くスタジオ入りって事を忘れていて、刹那に起こして貰えると勘違いして目覚まし掛けるの忘れてたんだよ。だから遅刻した」
「……そうだったんですね。 じゃあ圭介さんの不運は半分ウチのせいですね。ごめんなさい」
「別に刹那のせいじゃ無いよ。俺が全面的に悪かったんだよ。 それに、刹那は俺にとって幸運の女神様なんだから」
「……圭介さん♥️」
「……刹那」
俺と刹那はその場で見つめ合う。
「……姉ちゃん、2人だけの世界を作らないで欲しいんだけど? 俺と栞ちゃんが居る事を忘れてない?」
彼方君が呆れた顔をして俺達(刹那)にそう言ってきた。 栞はと言うと、何だか目をキラキラさせて此方を見ている。
「か~な~た~💢 あんたはもう少し空気を読みなさいよ! このお馬鹿!!」
「ぷぎゃ!!」
刹那のスリッパアタックがまた彼方君の頭に直撃し、彼方君をKOした。
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