第82話
そして月日は流れ、俺は無事に病院を退院する事になった。 無理をしない程度になら松葉杖を使用して通勤しても良いとの事。
いやぁ。2ヶ月の入院生活…長かったわ。 まだ右足からギプスは取れていないので不便っちゃあ不便だけどな。
あれから加害者であるあちら系の顔の親とチャラ男はきちんと慰謝料と入院費を支払ってくれた。 だから退院時には俺は病院スタッフに退院の挨拶をしただけだった。 入院生活長かったから、入院費用って幾ら掛かったんだろうな? 気になる所だ。 慰謝料は幾ら貰ったかは知らない。 全部刹那が管理してくれているから。 そう言えば、俺の事を馬鹿にしてきた糞餓鬼どもだが、あれから1度も病院で見ていない。 結構中庭とかにも散歩しに行っているんだけど。 あの馬鹿餓鬼どもはあの日1度きりの受診だったのかな?
病院ロビーにかなりの人だかりが出来ている。 正直松葉杖を点いて移動している俺としては正面玄関に移動するのに邪魔で仕方が無い。 こんなに人だかりが出来るなんて、普段から人気があるのかこの病院は? 名医でも居るのだろうか?
ん? 何だかあの人だかり、ずっと此方をチラチラと見てくるんだが? しかも何だか此方に声を掛けようかどうしようか迷っているみたいな仕草をみせているんだが? 何だ?
俺は辺りをキョロキョロと見回して……あっ、察したわ。 分かっちゃったよあの人だかりの理由が。
あの人だかりの理由は、この病院が人気なんじゃ無く、俺の隣でニコニコと微笑みを浮かべて立っている刹那を見に来ていたんだ。
「圭介さん退院おめでとうございます♥️ マンションに帰ったら退院祝いのパーティーをしましょうね♥️ お部屋の飾り付けは彼方を強制的……こほん、彼方が自分から申し出てくれて終っていますから♥️ さぁ早くマンションに帰りましょうね♥️」
刹那、今彼方君を強制的に働かしたって言いかけなかったか? ……御免よ彼方君。 うちの嫁が暴君で。 嫌なら嫌って言っても良いんだよ? お義兄ちゃん怒ったりしないから。
……やっぱりあの人だかりが邪魔だなぁ。他の患者さん達も迷惑そうな顔をしている。
……そうだ。 あいつらの目的が刹那って分かってるから、刹那にあいつらをどうにかして貰おう。 しかし……あいつらは刹那が今日此処に来るっていつ知ったんだ? 謎だ。
「刹那刹那、あの人だかりを何とかしてくれないか? あの人だかりは間違いなくお前目当てに集まっているから。 あいつらをどうにかしないとマンションに帰れないし、他の患者さん達も迷惑してると思うから」
俺は刹那にそうお願いしてみた。
「あの人だかりウチ目当てなんですか? 確かに通行の邪魔になっていますね。 分かりました。ウチ何とかしてきます。圭介さん少しだけ待っていて下さいね♥️」
そう言って刹那は人だかりの方に歩いていき
「皆様すみませんが、病院のロビーに集まるのは大変迷惑な行為になりますので。どうかお引き取り願えますか。 それに私はプライベートでこの病院に来ていますので、皆様に対応する事が出来ません。 また後日握手会を設けますので宜しくお願い致します。 詳しい内容は事務所のホームページをご覧になって下さい。皆様宜しくお願い致します」
と言って頭を下げた。
集まっていた人達は納得したみたいで、病院ロビーから居なくなった。 ロビーに残っていたのは本当に受診が必要な人だけになったのは言うまでもない。
俺は刹那の元へ松葉杖を点きながら移動し
「助かったよ刹那。ありがとう」
刹那の右頬に軽くだがキスをして感謝の言葉を伝えた。
「ふえっ!? け、圭介さんがウチの右頬にキ、キスを!? し、幸せ過ぎです♥️ ウチ、このまま此処に入院しそうです♥️」
いやいや、入院しないで一緒にマンションへ帰ろうぜ。 彼方君も待っていてくれてるんだからさ。
俺は刹那の運転する車の助手席に乗って病院を退院した。
そしてマンションに到着。 車を降りた俺に刹那が
「改めまして、圭介さん退院おめでとうございます♥️」
「ありがとう刹那。迷惑掛けると思うけどサポート宜しくな」
「ハイ♥️ 任せて下さい♥️」
早速刹那のサポートを借りながらマンションの部屋に2ヶ月振りに帰った。
部屋の中には彼方君と何故か栞が居た。
「「退院おめでとうございます!」」
" パパーン!! "
とクラッカーの鳴る音が部屋に響いた。
「ありがとう2人共。ただいま♪」
俺は綺麗に飾り付けされた部屋に通され、皆とワイワイ騒ぎながら皆が用意してくれた退院祝いの料理に舌鼓を打った。
皆……俺の退院を祝ってくれてありがとうね♪
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