第79話

今回の俺の事故は仕事中だったとの事で労災が降りるみたいだ(圭介さん圭介さん、お金の心配はいりませんよ。ウチが一生養ってあげますから♥️)。やっぱり収入が無いと生活出来ないからな。


で、会社も療養の為欠勤にはならないって(ウチが頼んだらそうなりました。褒めて褒めて♥️)社長から直々に報告があった。 折角だからゆっくりと骨休め(骨折にかけている訳じゃないよ)をさせて貰おうかな(うんうん。それが良いよ♥️)


って、刹那! さっきから煩いよ! 俺の皆様への説明にいちいち割り込んでこない様に! (きゃん♥️ ごめんなさ~い♥️)


ったく……。 刹那のお陰で後言いたい事忘れたじゃないか。


……まぁ、忘れるという事は、重要な話じゃ無いんだろうな。



不運から始まった入院生活……初めは休めて良かったのだが、途中から退屈で退屈で仕方無くなった。 だって、右足はギプスで固められ吊り下げられて動かせないし、身体も打撲していて痛いし。 それに此処は病院だから娯楽が1つも無いんだよ。 テレビも内容つまんないし。 せめてDVDが観れたらなと思う。 今なら刹那が居ないからホラー観放題だろうし。


そして入院生活で1番困る事が……そう。排泄だ。 足が吊り下げられて動かないから催しても自分でトイレに行けない。 仕方無いから催したらナースコールを押して看護師さんに処理をして貰わないといけないのだ。 これが死ぬ程恥ずかしい。 看護師さんも気を遣って年配の方が世話をしてくれるのだが、俺も男の子だから、女性に下の世話をされるのは途轍もなく恥ずかしい。 1度刹那にお願いしたら刹那は下の世話だけじゃ無く、違う所の世話もしようとしたから、もう頼むのは止めた。 此処は病院だぜ? 刹那にして貰うのは嫌じゃ無いけど(むしろWELCOME)誰かに見られたらどうするんだ。 時と場所を考えて欲しい。



入院してから1週間程経った時、俺の病室に訪問者があった。


ノックの後入ってきたのは2人の男性だった。


1人は金髪ロン毛で顔の至る所にピアスが付いているいかにもチャラチャラした20代の男。 そしてもう1人はいかにもあちら系の迫力ある男性だった。


「ど、どちら様ですか?」


俺がおそるおそる2人に声を掛けると、いきなり2人の男性がその場に座り込み綺麗な土下座をかましてきた。 そして


「この度はこの馬鹿が貴方様に多大な御迷惑をお掛け致しまして誠に申し訳ありませんでした! 入院費用、慰謝料ときっちり私が支払わせて頂きますので、どうかお許し下さい! 貴方様がお許しにならなかったら私達親子は路頭に迷う事になりかねませんので!」


と丁寧な言葉で謝罪してきた。 あちら系の男性はチャラ男の頭を鷲掴みして何度も何度も床に叩きつけていた。 おおっと!? チャラ男の額から大量の血が!?


目の前で繰り広げられる光景に怖くなった俺は


「わ、分かりました! 謝罪は受け入れますから! どうかお帰り下さい!」


「あ、ありがとうございます!! それでは御言葉に甘えまして私達はこれで失礼致します。奥様にどうぞ宜しくお伝え下さいませ。 入院費用と慰謝料は後日必ずお支払い致しますので。 オラ!帰るぞこの屑が!」


あちら系の男性は既にグロッキー状態のチャラ男の顔を蹴り飛ばし、グロッキー状態から無理矢理復活させた後、チャラ男を引き摺って病室を出ていった。


……こ、怖かった…。 思わずチビりそうになっちゃった…。


その後直ぐに刹那が病室に入ってきた。


「圭介さん来ましたよ~♥️ ってあれ? 圭介さん、どうされたんですか!? 顔色真っ青ですよ!?」


俺はさっきまでこの病室であった出来事を刹那に説明する。 すると刹那が


「やっと謝罪に来たんですねあの屑親子。あ~あ。残念です。謝罪に来なかったら世の中の塵掃除が出来ると思ったのに」


「えっ? 刹那、今何と?」


「いえ、何でもありませんよ圭介さん♥️ それはそうと圭介さん、おしっこはしたくありませんか? ウチが優しく握って介助してあげますよ♥️」


「結構です! 刹那がすると違う方向にいっちゃうから!」


「それは残念です。 でも、催したら何時でも言って下さいね♥️」


「言いません!」




刹那、あの親子に一体何をしたんだ? 絶対に低姿勢で謝罪するタマには見えなかったんだけどな?













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