第102話
久遠と瞬が産まれてから1週間がたった。
母子共に健康で、今日病院から退院しマンションに帰ってくる予定になっている。
そうだ、修治さんと雪奈さんの子供も順調に育っており、雪奈さんも今日が退院予定らしい。 赤坂家の長男の名前だが、 "
さて退院時の時の話だが、俺と刹那は病院の看護師さんと医師に御礼を言って久遠と瞬を抱き病院の玄関を出た途端、大勢の報道陣に捕まってしまった。
刹那が出産した事も退院日の事も公表していない筈なのだが、何故こんな大勢の報道陣が待ち構えていたのだろうか? 謎だ。
一斉にカメラのフラッシュが炊かれ、TVカメラを持った報道陣が詰め寄ってきた。
わわわっ! どうしたら良いんだ!?
俺が慌てていると、刹那は賑やかな笑顔で " ウチに任せて下さいね♪ " と俺に囁いてきた。
「由井さん、ご出産おめでとうございます!」
「ありがとうございます。インタビューには私がお答致しますので、どうか主人と子供達は撮さない様にお願い致します。主人と子供達は一般人ですので、騒ぎになると差し支えが出ますから」
刹那は久遠の顔がカメラに映らない様な体制を取り、報道陣のインタビューに答えだした。
「分かりました。それでは。改めてご出産おめでとうございます。差し支え無ければお子様の性別を教えて戴いても宜しいでしょうか?」
「はい。女の子と男の子です。今私が抱いているのが女の子の方です。そして主人が抱いているのが男の子です」
「では、お名前は何と名付けられたのでしょうか?」
「その質問にはお答えしかねます。先程も言いましたが、子供達は一般人ですので、騒ぎになると生活に差し支えが出ますので。申し訳ありません」
「失礼致しました。では………」
それから数分間の間、刹那は報道陣の質問に対してコメントをし
「そろそろ宜しいでしょうか? 子供達を休ませたいので」
「ありがとうございました。それではもう一度 ご出産おめでとうございました」
「ありがとうございます」
刹那は報道陣に向かって頭を下げた。
報道陣がこの場から撤収した後
「刹那、ご苦労様でした」
俺は刹那に労いの言葉を掛ける。
「馴れていますから大丈夫ですよ♪ 労いの言葉ありがとうございます圭介さん♥️」
賑やかに笑う刹那の姿を見て俺は、改めて刹那は凄いなと思ってしまった。
すると、久遠と瞬がほぼ同時にぐずりだした。
「あら? お腹が空いたのかしら? 早く帰っておっぱいをあげないとですね♪」
「ああ。そうだな。それじゃあ急いで帰ろうか」
「はい♥️」
俺達はタクシーを拾って急いでマンションへ移動した。
それから物凄く忙しく大変で、かつ楽しい日々が過ぎていく。
予想していた通り久遠と瞬の夜泣きがあり、俺と刹那は寝不足の日々だ。 俺は刹那と代わる代わる子供達の面倒を見る事に。 夜泣きが始まったら俺が2人をベビーカーに乗せて近所を散歩したり、交互に抱っこしてあやしたりしていた。 俺が2人を見ている間に刹那には身体を休めて貰っている。
仕事中にうとうとする事が多くなったが、同僚達は見て見ぬ振りをしてくれている。物凄くありがたい事だ。 部長も " 丹羽の代わりに君がこの書類頼むよ " 等と便宜を図ってくれているらしい。 皆には感謝である。
そして時々俺の両親や刹那の両親が手伝いに来てくれたのは物凄くありがたかった。
お袋が来た時、お袋が
「私が久遠ちゃんと瞬君を見てるから、貴方達は少し寝なさい」
「ありがとうお袋」
「ありがとうございますお義母様」
「貴方達が大変なのはよく分かってるから大丈夫よ。だから安心して私に甘えなさい。大丈夫だから。これでも私はあんたと栞を育ててきたんだから♪」
「滅茶苦茶心強いよ。じゃあ任せる」
「すみませんお義母様。お言葉に甘えさせて戴きます」
俺達はお袋に甘えて昼寝をする事にした。 俺と刹那は久々の昼寝だったので、ベッドに横になった途端に夢の世界へ旅立つ事になった。
お義母さんが来てくれた時も
「圭介君もせっちゃんも少し休みなさいや。くーちゃんとしゅんちゃんはウチが見てるから」
「本当にすみませんお義母さん。助かります」
「ありがとうお母さん。じゃあお言葉に甘えるね」
「まっかせなさ~い! さぁくーちゃん、しゅんちゃん。ばあばとお散歩行こうね~
♪」
お義母さんは2人をベビーカーに乗せて嬉しそうに散歩に出掛けていった。
その間に俺達は自分の事をさせて貰う。 物凄くありがたい事だ。 皆に助けて貰って凄く感謝である。
時々彼方君と栞もやって来て久遠と瞬の遊び相手になってくれている。
「久遠~。瞬~。 おっちゃんが来たぞ~♪ 今日も一緒に目一杯遊ぼうな~♪」
「くーちゃん、しゅんちゃん♪ おばちゃんも居るよ~♪ ほらほらおばちゃんの所においで~♪」
おっちゃんにおばちゃんって(笑)
確かに栞と彼方君にとって久遠と瞬は姪と甥になる。 しかし、20代の若い男女が積極的に自分からおっちゃん・おばちゃん呼びをするのはちょっと面白い。
栞と彼方君は久遠と瞬の事が目に入れても痛くない程に可愛いらしく、遊びに来た時は滅茶苦茶デレデレな顔になっている。
「ほ~ら久遠、瞬。おっちゃんがお前達に玩具を買ってきたぞ~♪ 一緒に遊ぼうな~♪」
そう言って彼方君が久遠と瞬に差し出したのは、知育玩具だ。 ブロックを同じ形の穴に入れたりするやつだ。
「彼方君、まだくーちゃんとしゅんちゃんには難しいよ。もっと簡単な物にしなくちゃ」
「え~っ? そうかな~? ちぇっ! せっかく2人と楽しく遊ぼうと思ったのに」
「……でも2人とも滅茶苦茶可愛いなぁ。私も自分の赤ちゃん欲しいな❤️」
栞は彼方君の方を向いてそんな事を呟いた。
栞の言葉に真っ赤になる彼方君。 大胆な発言だなおい。 まぁ良いけど。
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