第98話
皆揃った為、スタッフさんにお願いして料理を運んで貰う事にした。
高級そうな肉料理や海鮮の料理がテーブルに並んでいく。 流石予算 1人30000円のコースだけある。
「お、おい圭介……滅茶苦茶豪華な料理ばかりなんだが、支払いは大丈夫なのか?」
列べられている料理を見て親父がこそっと俺に耳打ちしてきた。 " THE庶民 " の反応を示す親父。
確かに俺も親父と同じ立場ならば同じ反応を示すと思う。
「大丈夫だ。ちゃんと支払える金額で設定してあるから心配ないよ」
「そ、そうか。それなら良かった」
と言っても飲み物代は別途。 まぁ皆そんなにお酒は飲まないだろうから。少し予算より多めに持ってきているから大丈夫だろう。 ……多分。
間もなくして会食が始まる(彼方君は親父の鋭い視線を浴びまくっている為か、物凄く小さくなっているが)。
和やかな雰囲気で会食は進む。 初めは皆少し硬かったが、お酒が入ったお陰なのか徐々に笑顔が見られる様になり、会話も弾んでいった。
(義母) 「今日はこの様な場を設けて戴き誠にありがとうございます。お義父様もお義母様もとても良い人で安心いたしました」
(お袋) 「いえいえ、こちらこそ遠方から御越しくださりありがとうございます。お義父様もお義母様も良い人でこちらも安心しております」
(親父) 「うちの馬鹿息子がご迷惑をお掛けしてはいませんか? もしそうなら、きつく指導致しますので遠慮無く仰って下さい」
(義父) 「圭介君はとても好青年で、礼儀も正しく私は気に入っていますよ。迷惑だなんて全然。 寧ろうちの娘こそご迷惑をお掛けしてはいませんか?」
(お袋) 「刹那さんはとてもおしとやかで凄く優しいお嬢さんですので、迷惑だなんて全然。うちの圭介には勿体無い位の女性ですよ」
(義母) 「でも、私に似たのか気が強い所がありまして。この間圭介君が愛媛にご挨拶に来てくれた時に、何故か夫が圭介君を殴ってしまいまして。その事に関しては大変申し訳ありませんでした。 で、圭介君を殴った夫を見た刹那が直ぐに夫をボコボコにしちゃったんです。それはもう凄い剣幕で。ついでに私も夫をボコボコにしちゃったんですけどね」
その言葉を聞いた親父が何故か " ビクッ! " と身体を震わせる。
(刹那) 「や、止めて! 何でお義母様にその事言っちゃうの!? お、お義母様、私はそんなに乱暴なんかじゃ無いんですよ! あの時は圭介さんが傷付けられたからついお父さんを叩いただけなんですよ! いつもはそんな事は絶対にしませんから! 信じて下さいお義母様!」
(義母・義父) 「「本当かな?」」
(刹那) 「本当です! 圭介さん! ウチはそんな乱暴な娘じゃ無いですよね?」
(俺) 「勿論。刹那は世界中で誰よりも可愛く綺麗で、そしておしとやか。俺には勿体無い位の素敵な奥さんだよ」
(刹那) 「圭介さん♥️ 圭介さんこそ世界中で誰よりも格好良くて、頼りがいのある素敵な旦那様です♥️ 圭介さん以外の男性は只の芋です♥️」
(栞) 「刹那さん? その言葉は聞き捨てなりませんね? 兄ちゃんが頼りがいがあるのは認めますが、世界一格好良くて頼りがいがあるのは断然彼方君ですよ♥️ 異論は認めませんから!」
(彼方) 「し、栞ちゃん!? な、何を言ってるの!?」
(栞) 「だって、彼方君は私のピンチに颯爽と現れて、滅茶苦茶格好良く助けてくれたもん♥️ そして、決断力もあって男らしくって♥️ 私の自慢の彼氏さんだもん❤️」
(彼方) 「そ、そうかな?(エヘヘ) 栞ちゃんこそ世界中で誰よりも可愛くておしとやかで。自慢の彼女だよ♥️」
見つめ合って微笑み合う2人。 そして彼方君を睨み付ける親父。 そしてニヤニヤしているお義母さんとお袋。
(刹那) 「はぁ? 彼方が格好良くて頼りがいがある? 栞ちゃん、そこは全力で否定するよ。一番はウチの圭介さんだよ!」
(栞) 「刹那さんこそ大丈夫ですか? 兄ちゃんが一番? それは絶対あり得ませんね! 一番は彼方君です!」
(刹那・栞) 「「はぁ?」」
物凄い形相で睨み合う2人。 一触即発の感じになっている。 不味いと思った俺と彼方君が止めに入る。
(俺) 「ハイハイストップ! 刹那も栞も落ち着いて。刹那は興奮しちゃ駄目だよ。お腹の子供に障るから」
(彼方) 「栞ちゃんも落ち着いて。俺の為に怒ってくれてありがとうね。でも、怒っちゃ駄目だよ。せっかくの世界一可愛い顔が台無しだよ?」
俺達の説得に渋々応じる刹那と栞。 流石に喧嘩は駄目。
それから直ぐに2人は仲直りをし、会食は円満に終了する。
支払いの時に親父が俺の所にやってきて
「圭介、俺も少し出そうか?」
「大丈夫だから。親父は皆の所に行ってきな」
俺は受付のスタッフさんに26万円を支払う。
初めは刹那が " ウチが全額出します! " と言っていたが、丁重に断った。此処で刹那に甘えては男が廃るってもんだ。
俺はスタッフさんに今日の御礼を言ってから皆と合流した。
今日の雰囲気からいって、両家の顔合わせは大成功に終わったと言えるだろう。
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