第75話

そして7月になり、刹那のドームツアーがスタートした。


刹那はツアーに行く前から


「圭介さんから離れるの寂しい~💧 やっぱりツアー止める~💧」


等と拒否反応を示していたが、俺と篠宮さんの熱心な説得の甲斐があって何とか刹那をツアーに送り出す事に成功した。


まずは福岡 福岡ドームから。 福岡ドームはファンで溢れ、かなり盛り上がったと刹那から夜LINEで報告を受けた。 LINEの画像にはライトアップされた福岡ドームとキャナルシティ福岡の画像が送られてきた。


" 今日の夕食はこちら! " の文字と共に送られてきたのは、福岡 天神の屋台と博多ラーメンの画像だった。 そのラーメンを美味しそうに食べる刹那とスタッフさん達。 俺は画像を見ながら少しだけ笑ってしまった。楽しそうで何よりである。そして、今晩の飯はラーメンにしようと思った瞬間でもあった。


お次は大阪 京セラドーム。 大阪のファンは熱狂的なファンが多くて、少しだけ勢いが怖かったと刹那から報告があった。 しかし、蓋を開けてみれば熱狂的の中にも紳士的な印象も見受けられたとの事だった。(ファンのジャンプ無し 地震対策)


そして刹那からのLINE 第2段の画像は大阪城と道頓堀川の映像だった。


次に送られてきた画像はお好み焼きとたこ焼きの画像。そして粉ものの熱さにやられて悶絶するスタッフさんを指を指して笑う刹那の姿(By篠宮)だった。


……この近辺でお好み焼き売ってた所ってあったかな? 検索掛けてみよう。



次に愛知県 バンテリンドーム。 ○日ドラ○ンズの本拠地だ。 言わずともがなライブは大いに盛り上がりを見せた。 物販が飛ぶように売れたらしい。


そしてお待ちかねのLINE画像は、名古屋城と名古屋テレビ塔。 やっぱり日本男子だからなのか、お城の画像を見るとワクワクする。


そして味噌かつと味噌煮込みうどんの画像が送られてきた。 味噌煮込みうどんは刹那チョイスで味噌かつは篠宮さんチョイスらしい。 個人的にはうどんが美味しそうだ。 ……うどん(カップうどん)でも食べようかな? うん。そうしよう。


次の会場は北海道 札幌ドームだ。 ライブが大盛り上がりしたのは言わなくても分かるだろう。 ここでも物販が飛ぶように売れ、品切れ寸前まで売れたとの事だった。(珍しく篠宮さんからの報告だった)


そして恒例のLINE画像。 送信されてきた画像には、札幌時計台と赤レンガ庁舎が写っていた。 札幌には行ったことがないから少し羨ましい。


そして食事の写真には札幌ラーメンと生ウニが写っていた。


ラーメンを啜り、滅茶苦茶笑顔の刹那が写っている。 そして美味しそうに生ウニを食べるスタッフさん達の姿。


俺はスマホを握り締め声にした。


「……滅茶苦茶悔しい! あのウニ! 滅茶苦茶美味しそうじゃないか! 絶対葡萄酎ハイに合うと思うぞ! そしてあの札幌ラーメン! 羨ましい! ちくしょ~!」


大方スマホを壁に投げそうになってしまった。


……今日の夕飯は回転寿司に行こう。うん。そうしよう。絶対に! そしてウニを食べるんだ!!


俺は財布をポケットに捩じ込んでマンションを出た。 いざ回転寿司!



そしてドームツアー最終の東京ドーム。


俺はドームの中の最前列で刹那の登場を待っている状態だ。


ドームの中はファンで溢れかえっている。物凄い熱気だ。


ドーム中の照明が落ちて中は真っ暗となる。いよいよライブスタートだ。


レーザービームがステージを照らし駆け巡る。そしてステージ奥から刹那の姿が現れた。


「皆~! お待たせ~! 今日がドームツアー最後の東京ドームだ~! 皆盛り上がっていくよ~! 先ずはこの曲からスタートだ~! 付いてきてね~!」


ワァァァァァァァァァァ!!


ファンの大歓声と共にライブがスタートした。


当然俺も大声を張り上げペンライトを振り回す。


それからライブは大いに盛り上がる。 熱気が凄い。Tシャツ1枚(刹那のライブTシャツ)だけしか着ていないのだが、暑くて脱いでしまいそうになる程だった。


そしてライブスタートから約3時間。


「皆~! 私のライブに参加してくれてありがとう~! すっごく感謝だよ~!」


刹那のブロンドの髪が物凄く綺麗に靡く。 青い瞳がとても神秘的に映る。 刹那の素の姿を見せてからは、より一層ファンからの支持を得た。結婚の話はファンにとって滅茶苦茶ショックだったみたいだが、祝福をしてくれたファンが8割を超えたらしい。


刹那のファンは刹那が結婚していてもファンを辞める様な事はしなかったみたいだ。むしろファンが増えた。


「これがラストの曲になるよ~。この曲は私の愛して止まない旦那様が私の為だけに作ってくれた曲で~す! 初公開の曲だよ~! 配信もしてないし、これからも配信する予定は無いからね。 今日限りの曲だから、此処にいる皆はとてもラッキーだよ! じゃあいくよ! To my darling !!」


刹那のラストソングは俺が作曲した To my darling だった。 俺は歌詞を作っていなかったが、刹那がこの日の為だけに作ったみたいだった。 歌っている刹那と目が合った。刹那はとても嬉しそうな顔をして俺に向かってウインクをする。 俺はそのウインクに答える様に小さく手を振った。


歌い終わった刹那は最後のMCを軽くする。 そして大盛況の中ドームツアーの全工程は終了した。



俺は興奮したままマンションに帰り、物販で買ったCDをかけて余韻に浸っていた。 すると


ガチャッ


玄関が開く音がした。そしてリビングの扉が開くと


「圭介さ~ん! やっと帰ってこれました~! 寂しかったですぅ~💧」


刹那が勢い良く俺に抱きついてきた。


俺は刹那を受け止めて優しく抱き締める。


「お帰り刹那。そしてお疲れ様でした」


「ただいまです圭介さん♥️」

















 






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