第64話

彼方君の協力のお陰で割と早めにチーズINハンバーグとクラムチャウダーが完成した。


「よし、次はケーキを作らないとな」


「えっ、丹羽さん? ケーキ作れるんですか!? 凄いですね!」


「○ック○ッド先生を観ながらだけどな。彼方君も多分作れると思うぞ。何せ俺が作れるのだから」


「う~ん。自分、自信がないっす……」


「ケーキが上手く作れたら栞は喜ぶと思うぞ。あいつ甘い物大好きだから」


「うっす! 美味しいケーキが作れる様に特訓します!」


そんな話を彼方君としながら、俺は抹茶ケーキの材料を袋から取り出して作成に掛かった。


……流石○ック○ッド先生だ。 時間は掛かってしまったが、一応形になったな。初心者の俺もやれば出来る事が証明された。


ケーキが出来上がった時


" ピンポーン "


インターフォンが鳴る。


「悪い彼方君、対応してくれるか?」


「分かりました」


彼方君はインターフォンのマイクに向かって


「はい。どなたですか?」


「あっ! わ、私です。栞です。開けて貰っても良いですか?」


「少し待って下さいね。今ロックを解除しますから」


彼方君は急いでロックを解除しに行く。


少しして栞が部屋に入ってきた。


「彼方さん、もう来られていたんですね」


「早めに着いたから丹羽さんの手伝いをしていたんだ」


「いやぁ助かったよ。俺だけじゃこんなに早くは出来なかったから。彼方君には感謝だな」


「そうだよ兄ちゃん。彼方さんに感謝するんだよ!」


何故か栞が偉そうに胸を張ってドヤ顔している。 何かムカつくな。


「料理も出来ない奴が何言ってんだ」


「に、兄ちゃん! それは言っちゃ駄目な奴!」


「ちなみに彼方君は料理作るの上手いぞ?」


「昔から母ちゃんを手伝っていましたからね。そこそこは出来ますよ」


「栞も一人暮らしなんだから、料理位出来る様になれよ?」


「……頑張ります」


「栞さん、もしよかったら俺が教えようか?料理」


彼方君がそう栞に提案すると、栞は目を輝かせて


「良いんですか!? 是非お願いします!」


「お、俺で良ければいくらでも」


彼方君は照れたのか顔を上に向けて視線を反らしている。 栞も恥ずかしかったのか、下を向いてモジモジしている。


いやぁ初々しいね。 俺、何だか2人を見ていると嬉しくなってくるな。


「さて、そこのお2人さん。そろそろ刹那が帰って来そうな時間だから、テーブルのセッティングを手伝って貰えるか?」


「あっ、はい!」


「り、了解だよ!」


俺の呼び掛けに2人は慌てて動きだしテーブルのセッティングを始めた。


テーブルセッティング中に、彼方君と栞の手が触れ合うといったハプニングがあり、2人が同時に


「「あっ//////」」


と言って触れ合った手を急いで離していた。


その後2人共に違う方向を向いてモジモジ。


……何だか空気が甘過ぎておじさん砂糖を吐きそうですよ。


そうこうしていると


" ガチャッ "


玄関のドアの鍵が開いた音がする。


お、本日の主役が帰ってきたみたいだな。


玄関のドアが開き


「ただいま帰りました~。あれ? 圭介さん、お客様ですか?」


そう言いながら刹那はリビングに入ってきた。


「お帰り刹那」


「お帰りなさい刹那さん」


「お帰り姉ちゃん」


「ただいま帰りました♥️ いらっしゃい栞ちゃん♪ で、何で居るの彼方?」


「俺だけ対応酷くない?」


刹那はテーブルの上にある料理(自分の好物ばかりが並んでいる)に気付き


「あれ? どうしたんですかこれ? 何かお祝い事ですか? ウチの好きな物ばかり並んでるんですが」


……え? もしかして……


「せ、刹那? 今日は何の日か分かってないのか?」


「? 何の日ですか?」


きょとんとした刹那の顔を見た俺達3人は思わずズッコケそうになった。


「おいおい姉ちゃん! 自分の誕生日も忘れたのか!?」


刹那の誕生日を俺が言うまで忘れていた彼方君が言う言葉では無いと思ったが、それは言わないでおく。


「! そうでした! 今日はウチの誕生日でした! 仕事が忙しかったから忘れてました!」


刹那は自分の頭をコツンと叩き、首を軽く傾げて えへっ♪ と小さく舌を出す。


……可愛いから許す!


「と、とりあえず今からささやかながら誕生日パーティーをしようか。その為に栞と彼方君を呼んだんだよ」


「ありがとうございます♥️ ウチ、滅茶苦茶嬉しいです♥️」


俺の言葉を聞いた刹那は子供の様にはしゃいでいた。


俺達3人は顔を見合せて笑った。


俺以外の3人は椅子に座る。 席は彼方君の隣に栞が座り、彼方君の前に刹那が座った。


俺は冷蔵庫から抹茶ケーキ(ホールで作ってみた)を取り出し、テーブル中央に置く。 そしてケーキに蝋燭(2と1の数字を形取った蝋燭)を刺して火を着ける。


リビングの電気を暗くして


「じゃあ始めようか。先ずは定番のハッピーバースデーの歌から」


俺は刹那の隣に座り、心を込めて歌を歌う。


「「「ハッピーバースデートゥユゥー……」」」


俺達3人の歌が歌い終わり拍手をした後


「刹那、21歳の誕生日おめでとう。さぁ蝋燭の火を消して」


と刹那を促した。 刹那は滅茶苦茶笑顔で " フゥ~ッ " と蝋燭の火を吹き消した。


リビングの電気を明るくした後、俺達3人はもう1度拍手をする。


「刹那さん。お誕生日おめでとうございます!」


「姉ちゃん、誕生日おめでとう!」


「ありがとうございます♥️ ウチ、今とても幸せです♥️」


そう言った刹那の笑顔はとても可愛く眩しかった。


「さぁ、食事にしよう」


俺達は早速料理を食べる事にした。


チーズINハンバーグにナイフを入れると、ハンバーグの中からトロッとしたチーズが流れてくる。 う~ん。自分で作った物だが、実に美味しそうな出来映え。 食べやすい大きさに切り分けて1口。


ハンバーグの肉汁とチーズが絶妙な味わいを醸し出す。 とても旨いと自画自賛する。


刹那は満面の笑顔でハンバーグを食べている。 彼方君と栞も笑顔だ。 頑張って作った甲斐があったという物だ。


お次は彼方君お手製のクラムチャウダーを戴くとしよう。


俺はクラムチャウダーを1口戴く。


お、滅茶苦茶旨いな。濃厚な味が食欲をそそる。


「このクラムチャウダー、凄く美味しいです。圭介さんはやっぱり料理がお上手ですね♪」


「このクラムチャウダーは彼方君が作ってくれたんだよ」


「彼方が? むむむっ! 彼方の癖に生意気な!」


「姉ちゃん!その言葉は酷くない!?」


「彼方さんの作ったクラムチャウダー 物凄く美味しいです。 ……私も頑張らないと……」


その後賑やかに食事を終えた。勿論抹茶ケーキは食べやすく切り分け(残りは冷蔵庫にINする)美味しく戴いた。 この抹茶ケーキも旨いと自画自賛する。


刹那は滅茶苦茶絶賛してくれた。


さて食事も終わった事だし、プレゼントを渡す事にしますか。 俺のプレゼント……刹那は喜んでくれるだろうか?



















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