第17話

気付けばPM12:00を過ぎていた。


「刹那、お腹空かない? 昼飯どうする?」


俺が刹那に昼飯の話を振ると、刹那は ハッとした顔をして


「確かにお腹空きました。 あっ💦 ごめんなさい💦 このサプライズのプレゼントの事ばっかりしか考えてなくて、これからの予定迄は頭にありませんでした。 ……どうしましょう」


凄くオロオロした顔をしている刹那を見て、俺は不謹慎ながら可愛いと思ってしまった。


しっかりしていそうでどこか抜けている。 俺も人の事は言えないが。


刹那には物凄い散財させてしまったので、此処は俺が昼飯代位出そうと思っている。 刹那が払ってくれた金額に比べれば 月とすっぽん・ビー玉とダイヤモンド位の差はあるけれど。


「刹那、昼飯代は俺が持つから何か食べに行こうか? 何が食べたい? 好きな物を言ってみな」


……1人5000円位迄なら出せるぞ。 確か財布の中には20000円は入っていた筈だ。


「えっ!? そんな駄目ですよ!? 今日は圭介さんのお誕生日ですので、ウチが出します!」


「昼飯代位俺に出させてくれるか? 少しは刹那に格好付けたいんだが。……って言ってしまう事が格好悪いんだけどね」


おどけた雰囲気でそう言うと、刹那は クスリと笑い


「ウチはそんな飾らない圭介さんが大好き❤️ 愛してます♥️ 分かりました。それじゃあ遠慮なくご馳走になりますね♥️」


「おう。どんと任せてくれ。 でも、あんまり高いのは控えてくれると助かるな」


……締まらない事を言ってしまう俺……。情けないな。


「そうですね……あっ!そうだ♪」


「ん? 決まったのか?」


「ウチ、お昼御飯は圭介さんが食べたい物が食べたいです♪」


へ? 俺が食べたい物が食べたいって?


「いやいや、刹那が食べたい物で良いんだぞ? 俺の事は気にする事なくて」


俺がそう言うと、刹那は首をフルフルと横に振って


「ウチは圭介さんが食べたい物が食べたいんです。 決まり! それに……ウチ、圭介さんの御飯の好みを知りたいから。 ウチも圭介さんの好みに合わせていきたいし」


「……本当に良いのか? 俺が食べたい物で」


「はい。それで良いんです♥️」


俺は刹那に念を押すと、刹那はニッコリと笑ってそう答えた。


「……多分後悔するぞ」


俺がボソリとそう呟くと


「?」


俺の言葉が聞き取れなかったみたいで、刹那は小首を傾げていた。


早速ディーラーから次の目的地に移動しようか。 と、その前に刹那に交渉するか。


「なぁ刹那、お願いがあるんだけど?」


「何ですか圭介さん? ウチ、圭介さんのお願い事なら何でも聞いちゃいます♪ ……え、エッチな事でもドンと来いです…よ//////?」


いやいや、そんなお願いはしないから。しかもこんな場所で。俺は変態か!


「や、違うよ」


「むぅ。違うんですか。残念です」


「そんな訳無いだろ? こんな昼間からそんなお願いする訳無いよ」


「……じゃあ夜ならするんですか////// 分かりました。 じゃあ帰りにドラッグストアに寄って//////」


刹那さんや、ピンク妄想から離れなさい。


俺は刹那の言葉を無視して


「俺のお願いとは」


「……む~っ! スルーされました……。じゃあ何ですか?圭介さんのお願いって?」


「刹那の車を俺に運転させて欲しい! 昼飯の場所迄で良いから! お願い!」


両手を合わせて刹那にお願い交渉をすると


「そんな事ですか? 良いですよ?」


「良いのか!? やった! 滅茶苦茶嬉しい! 言ってみるもんだなぁ♪」


お願い交渉があっさりと成立し、俺は嬉しさのあまりガッツポーズを取ってしまう。


「ふふっ。圭介さんめっちゃ可愛い❤️ 物凄く好きだなぁ❤️ ウチ キュンキュンしちゃう。 ウチの車もいずれ共有財産になるんだし、何時でも運転して良いんですよ。 あっ、あの計画も進めて良いかな? でも、また圭介さんに怒られちゃうかも……?」


俺は刹那が言った言葉には気付いていなかった。



刹那の車を運転させて貰い、目的地近くのコインパーキングに到着。 やっぱりこの車は最高だ! 走りがスムーズで、安定感が半端ない。 シートも包み込んでくれるみたいな感じで乗り心地が物凄く良い!


車種は違うけど、本当にこの車が俺の物になるなんて……夢みたいだ。 本当に良いのかな?


コインパーキングに車を停めて、車から降り移動する。


コインパーキングから歩いて5分。 俺達は目的地に着く。


「刹那、俺が食べたい物があるのは此処なんだが。本当に此処で良いのか?」


「はい。ウチ、此処で食べるのは初めてですが、滅茶苦茶楽しみです」


「刹那は食べた事あるのか? 意外だったな?」


「これくらいありますよぅ! ウチを何だと思っているんですか!?」


「芸能人」


「芸能人でも食べます! まぁ、家でインスタントですけど」


「インスタントなんかい!」


「まぁいいじゃないですか。さぁ、入りましょう♪ ウチお腹ペコペコです♪」




俺達が来た場所とは、サラリーマンの味方 ラーメン屋だ。 値段も安くボリュームがある。そして美味しい。 最高だよね?


刹那は俺に合わせて無理をしているんじゃ無いか? と思ったが、案外そうでも無かった。 店の中に入りテーブル席に座ると、刹那は眼を輝かせてメニュー表を見て


「わぁ♪ 色々な味が有るんですね♪ 醤油・塩・味噌・豚骨。どれにしようかなぁ♪ 迷っちゃいます♪ あっ、変わり種でトマトなんてあるんだぁ! ……本当にどうしよう? 全部食べてみたいなぁ」


とはしゃいでいた。


「俺はっと、安定の醤油チャーシュー大盛で。トッピングで野菜増しとチャーシュー増しにしようかな。後チャーハンを頼むよ。 刹那は?」


刹那の方を見ると、刹那は難しい顔をして


「……塩も良いし、味噌も捨てがたい……。トマトも美味しそう。量は普通で良いかな? 多分大盛は残しちゃいそうだし……。トッピングは絶対チャーシュー一択! あっ、ゆで卵も入れたいなぁ……」


と真剣に悩んでいた。 ……何か滅茶苦茶庶民的で可愛い。


あのトップアーティストで女優、1000万円以上する車を即決で購入出来る刹那がラーメンの味で真剣に悩んでいる。 こんな 由井刹那 の姿をファンが見たら、卒倒物だろうな。(嬉しすぎて)


……悩む事5分。


「決めました! ウチ 味噌チャーシューラーメンでトッピングにチャーシュー増しとゆで卵。そして烏龍茶にします。 ふぅ。凄く悩んじゃいました♪ だって、どれも捨てがたいんですもん」


「その気持ち解る。どれも食べてみたいからなぁ」


「わぁ、圭介さんもウチと同じなんだぁ♥️ 何だか物凄く嬉しい♥️」


店員を呼び注文をする。 店員は " 少々お待ち下さいませ。 " と挨拶をして厨房へ注文を伝えに行く。 その際 刹那の方を何度も振り返り


「あの人ってもしかして 由井刹那さん? いやいや、そんな筈は? 由井刹那さんがうちみたいなラーメン屋に来る筈は無いからなぁ……。でも、そっくりなんだよなぁ……」


そんな声が聞こえてきた。 その気持ち分かりますよ。 


そんな声が聞こえていたかどうかは知らないけど、刹那は " まだかな~♪ 楽しみだな~♪ " と嬉しそうに呟いていた。


まもなく注文したラーメンが到着。


「ご注文は以上ですか?」


「はい」


「ごゆっくり」


店員は立ち去る際にも


「やっぱり似てるんだよな~?」


と呟いていた。


俺達は到着したラーメンを美味しく戴いた。 俺は何時も通り完食したが、刹那には少し量が多かったらしく、1/3程残していた。 刹那は


「食べれると思ったのに~。悔しいなぁ」


と呟いていた。















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