第10話

居酒屋から出た俺達は大通りに移動を開始した。 勿論タクシーを捕まえる為だ。


大通りに出た所で丁度良いタイミングで一台のタクシーを捕まえる事が出来た。


タクシーの後部座席に刹那を乗せて


「すみませんが彼女を彼女が指定する場所まで送って行ってください。 多分これで足りると思いますのでお願いします。お釣りは結構ですので」


と運転手さん(女性ドライバーさん)に一万円を渡す。


「えっ!? 乗って帰るのはウチだけですか? 圭介さん達は?」


「俺達は電車で帰るよ。流石に刹那を電車に乗せる事は出来ないからね」


「そうですよ。刹那さんは俺達と住んでいる場所が違いますから」


俺の推測だが、この前俺のアパートに刹那が来た時自分の車で来ていたから、多分俺達の住んでいる場所より距離が離れている場所に住んでいるのだろう。 俺と赤坂は結構近い所に住んでいるから一緒に帰っても問題ない。


俺と赤坂が刹那にそう言うと、刹那は少し頬を膨らませて


「何だかウチだけ仲間外れにされた気分です。ウチも圭介さんと一緒が良かったなぁ」


と言ってきた。俺は刹那の頭に手を乗せて


「はいはい。我が儘言わないの。刹那が無事に帰ってくれた方が安心するから……ね?」


と言って頭を撫でた。


「……もっと。もっと頭を撫でて。そしたらおとなしく帰るから」


上目遣いでお願いしてくる刹那。 ……どうしよう。滅茶苦茶可愛くて離したくなくなる。 いやいや、煩悩退散!!


俺は2・3回刹那の頭を撫でて


「はいおしまい。 おとなしく帰るんだよ?」


「……はい、分かりました//////」


「帰ったらLINE頂戴ね。安心するから。 じゃあ運転手さんお願いします」


そう言ってタクシーの後部座席のドアを閉めて発車してもらった。


刹那の乗ったタクシーが見えなくなる迄見送った後、赤坂に


「じゃあ俺達も帰りますか」


「あ、ああ。てかお前……恥ずかしくなかったか? 見た目完全なバカップルだったぞ?」


「……ぶっちゃけ滅茶苦茶恥ずかしかった。 言うな。死にたくなる」


「正直お前が滅茶苦茶羨ましい。自分の彼女があの由井刹那だぜ? 何の冗談かと思うぜ」


「俺もそう思ってるから」


そんな事を話ながら俺達は駅に向かって歩き出した。






~刹那side~


はぁ~~♥️ 圭介さん滅茶苦茶格好良かったなぁ~♥️


ウチを優しくタクシー迄優しくエスコートしてくれたし、あ、頭まで撫でてくれたし。 圭介さんの手、凄く暖かかったなぁ。 あんな事されたらウチ、もっともっと圭介さんの事好きになっちゃう。いや、愛してしまう。 もう圭介さん以外考えられない♥️ これは絶対に圭介さんと結婚しないとな。 多分圭介さんと別れる事になったら死ねる自信がある。


居酒屋での圭介さん、男らしくて胸がキュンキュンしちゃった……♥️


暴走したウチを怒ってくれた時、ウチ…嬉しすぎて泣きそうだった。 それに、ウチの事 せ、刹那って呼び捨てにしてくれた時、ウチ、ウチ……キャーーー♥️


「彼氏さん格好いい人ですね。私の旦那にも見習って欲しい位ですよ」


と運転手さんがウチに話し掛けてきた。


「そうなんですよ! 私の彼は世界一格好いいんです! 誰にも負けないくらいに! 彼は私の事滅茶苦茶大切にしてくれるんですよ❤️」


「へ~。そうなんですね。幸せですね♪ ご結婚は考えられているんですか?」


「ええ♪ でも、彼からプロポーズしてくれるまで待つつもりです。私的には直ぐにでも結婚したいと思ってるのですが」


「そうなんですね。 でも男って、そういう所滅茶苦茶ヘタレですよ? 結婚したいと思うなら、彼女さんからドンドンアピールしていかないと! うちの旦那もそうでしたから」


「へ~。そうなんですね。でもアピールってどんな……」



ウチは運転手さんと恋ばなをしながら家に帰りました。


運転手さんのアドバイスを忘れない様にしなくちゃ。







電車に揺られて30分。俺達はアパートがある最寄りの駅に到着した。


改札を抜けて直ぐの所で


「じゃあここで解散な」


「おお♪ 今日はありがとうな。滅茶苦茶楽しかったし、珍しい物もみれたしな。満足だよ」


「珍しい物って……お前なぁ」


「ははは。本当に丹羽が羨ましいよ。俺もあんな可愛くて優しい彼女欲しいな~」


「赤坂はイケメンだから、直ぐに彼女出来るって」


「嫌みか? お前の彼女に勝てる女性は居ないぞ? ……怒ったら怖いけどな」


「ぶっちゃけそれな。俺もそう思った」


俺達は顔を見合わせた後、一拍置いて笑い合った。


「じゃあまたな。気を付けて帰れよ」


「お前もな」


俺は赤坂と別れて帰路に着いた。



アパートに着き、2階に上がる階段を登りきった所で


ピロンッ


LINEの通知音がスマホから鳴った。


確認すると  " Setuna  " の文字が表示されている。


お、どうやら無事に帰ったみたいだな。


画面をタップして文章を確認する。



" 今帰りました! 電話しても良いですか? "



" うん。いつでも良いよ " っと。 送信。


すると、既読の文字が着いた直後に着信が。 早っ!


俺は通話をタップして


「もしもし?」


『あっ、圭介さん? ウチです。刹那です』


「ああ。無事に帰れたんだね。安心したよ」


『はい。圭介さんのおかげで無事に帰りました』


「別に文章だけでも良かったのに」


『……帰ってきたら急に圭介さんの声が聞きたくなっちゃって……迷惑でした……か?』


「うんにゃ。俺も刹那の声が聞きたかったから」


『圭介さん……♥️ 好き♥️ 大好き❤️』


「俺も刹那が好きだよ」


『~~~~♥️ ウチ今滅茶苦茶幸せです♥️』


部屋に入ってから、時間の許す限り刹那と話をした。 もっとも俺は刹那の話を聞く役回りだったけど。













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