エピローグ

しばらくの月日


鰭耳魔法少女「危ないっ!」(ざぶぅん)

子ども「わあああんっ!おがーぢゃーん!」

鰭耳「もう大丈夫、泣かなくていいからね」

母親「あぁ、鰭耳魔法少女さん……ありがとうございます……」

鰭耳「いえいえー、大丈夫ですよ。市民の味方、鰭耳魔法少女ですからっ!」


 ……ボク達の戦いは、ひとまず終わった。ボクも狐耳さんも、たまに二人で夜間巡回をしているけれど、まぁ、怪物だとか、これといったことは起きていない。

 ボク達の後に、魔法少女は何人か増えたけど、それぞれ、好きなように力を使っている。趣味に使ったり、仕事に使ったり……たまに悪いことをする人もいるけど、そこはまぁ、ボクら2人が"説得"しに行ってるから、今のところ、街は大丈夫みたいだ。

 先輩は目的を果たしたから、魔法少女稼業は後進に任せるって言っていた。その後どうするかを聞いたら、"好きな風に生きる"んだってさ。

 研究員さんは今は司法的な罰を受けているところだけど、「罪と同時に過去の功績も含めた処罰を」って先輩が弁護に協力したみたい。戻ったら資産を使って街の修繕や人助けに尽力するとも言ってた。


……そんなこんなで、ボクらはそれぞれ、新しい日常を送っている。


リポーター「……この通り、今回も鰭耳魔法少女さんの活躍によって、川に落ちた子どもが助け出されました。それでは次のニュースです。工事現場で活躍中の、牛角魔法少女さんですがーー

ぷつっ


先輩「後進たちも頑張っているし、私たちも出番無しだな」

素猫耳「そうですね。怪物もいなくなったし、魔法少女の在り方も変わりますね。ところで先輩」

先輩「なんだ?」

素猫耳「あの、お互い夏休みだからってボクの家に泊まりに来るのはちょっと……」

先輩「だめなのか?」

素猫耳「ダメですよ!あなた女子高生でしょう!?それが男子学生の家に泊まり込みとか……」

先輩「……問題になることをするつもりか?」

素猫耳「いや……はあぁ……まずもって先輩が歳下だったなんて……」

先輩「おい、煎餅なくなったぞ(ぱりぱり)」

素猫耳「分かりましたよぉー」

ガチャ

黒髪女「あーっ!また先輩、素猫耳くんの家来てるー!?」

先輩「よう」

素猫耳「うぉっ!?黒髪女さん!?」

黒髪女「ちょっと!ワタシというものがありながら、こんな若い女の子連れ込んでー!!」

素猫耳「ちちち違うんだ!これは先輩が勝手にー!!」

先輩「騒ぐなよ、暑苦しいだろう」

素猫耳「それは先輩が……って 先輩ボタン外しすぎ!!見えちゃうっ!」

黒髪女「こらァー!どこ見てんのッ!」(ぐい)

先輩「猫耳ー、シャワー借りるぞー」(バタン)

素猫耳「……」

黒髪女「……」

黒髪女「……素猫耳くん、次はワタシ達がシャワー浴びよう」

素猫耳「えっ、いいですけど……って、ワタシ"達"って?え?あの、黒髪女さん?」

黒髪女「それと!今日は泊まってくからね!ワタシが見張ってるからね!」

素猫耳「え!?ええ!?」

先輩「猫耳ー、リンス切れてるぞー」

黒髪女「先輩そのまま出てくんなー!!」


 人は誰しも、色んな"意志"を持って生きている。それは愛情だったり、憎悪だったり、欲望だったりするけれど……それ自体は悪いものじゃなくて、"人が生きる力"そのものなんだ。

 でも、たまにそれが間違った方向に進んじゃうこともある。取り返しがつかない結果を招くことだってある。

 ボクは魔法少女として、そういう人達を助けていきたい。人が正しい道を選べるように、人に希望を与えることができる存在になりたいんだ。

 それがボクの"意志"。ボクが、魔法少女の力を使う理由だ。

 そしてきっと、そういう存在を、人はこう呼んでいるのだろう。

 「ヒーロー」だって。

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猫耳魔法少女「だめぇっ、やめてくださいっ!」キモオタ変態ストーカー「ぐへへへ」 月川 @tsuki_kawa

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