2話


数日後


猫耳「先輩、おはようございます」

先輩「ああ、猫耳か。こないだはご苦労だったな、大丈夫か?」

猫耳「はい……なんとか……すみません、ボクが至らないばかりに」

先輩「いや、気にするな。お前一人に任せた私達の責任だ」

猫耳「で、でも、ボクがもっと強ければ……」

先輩「……それより、気になる事を言っていたな」

猫耳「えっ」

先輩「奴らの行動パターンがどうとか……」

猫耳「あっ、はい!そ、そっちですね!」

先輩「……どうかしたか?」

猫耳「いえ!大丈夫です!行動パターンですね!」

先輩「?まぁいい。報告を聞こう」

猫耳「はい、あいつら、少しずつ強くなっているって話しましたよね」

猫耳「もしかしたら、戦う度に、ボクのパターンが覚えられてるのかも……って思いました」

先輩「……(やはりか)」

猫耳「前の敵には効いた攻撃が、次の相手には避けられるというか……」

猫耳「とにかく、回を重ねるごとに、戦いにくくなってるんです」

先輩「なるほど、つまり敵側に学習されている可能性がある、と」

猫耳「はい。そう感じました」

先輩「それについては、うちの研究員が同じような結論を出していたな」

猫耳「えっ、研究員さんが?」

先輩「あぁ。私が前線にいる時、怪物が強化される法則性を分析していてな。結果、私の行動パターンを読み取り、個体間で情報の共有を行っているという仮説を導き出した」

猫耳「やっぱり……」

先輩「それに、お前が組織に加入したときも、それを裏付けるような事があったからな」

猫耳「ボクが?」

先輩「そうだ。お前が初めて倒した怪物はーー私が一度敗北した相手だった。」

猫耳「えっ!?」

先輩「研究員の出した仮説があったからな。私には完璧に対処していた奴の動きも、初めて戦うお前には対処できなかったんだろう」

猫耳「……」

先輩「そこでお前をエースに据えたわけだ。……いつか、お前だけでは対処しきれなくなることは、初めから分かっていたことだ」

猫耳「そうだったん……ですか……」

先輩「お前の力不足じゃあない。むしろ、お前に当てがうしかできなかった私達に責任がある」

先輩「だから気を落とすな、お前は与えられた任務を精一杯やったんだ」

猫耳「……はい」

先輩「それよりも今は、逃走した怪物の対処だ」

猫耳「えっ。先輩がなんとかしたんじゃ……?」

先輩「私も、被害の拡大を聞いて急行したんだがな……既に行方を眩ませた後だった」

猫耳「……」

先輩「一度取り逃がした相手だ。いつ出てくるか分からん。警戒を怠るなよ」

猫耳「はい」

先輩「……厳しい戦いになるだろう。だが、お前が頼りだ」

猫耳「……はい」

先輩「今回のことは、私から研究員にも伝えておくとする。後々、新たな作戦も必要になってくるだろう」

猫耳「わかりました。……あのー……そういえば先輩」

先輩「ん?何だ?」

猫耳「研究員さんって、どんな方なんですか?ボク、まだ一度も会ったことなくて」

先輩「あぁ……そういえばそうだったな。……なんというか、一言で表すなら、天才だな」

猫耳「天才、ですか」

先輩「私もそれなりの付き合いだが、常人とは一つも二つもかけ離れた発想をする奴だ」

先輩「怪物の行動分析、出現予想……それに、組織の出資者も奴だからな」

猫耳「えっ、ということは、お金持ちなんですか?」

先輩「まぁ何処から出てくるのかは知らんが……私達が回収したコアは、事実上研究員が買い取っていることになる」

猫耳「……どういう研究なんだろう」

先輩「曰く、コアを見れば怪物の全容が分かるらしいが……ま、私のような凡人には理解しきれん話さ」

猫耳「はぁ」

先輩「魔法少女の力の源が意志の力だという仮説を立てたのも奴だ」

猫耳「恐怖を乗り越えた意志の力で強くなるって話ですね」

先輩「そうだ。……というより、お前に教えた情報の殆どは、研究員の仮説や調査が元になっている」

猫耳「す、すごいんですね……」

先輩「そもそも魔法少女への変身とは――」



素猫耳「……はぁ、疲れた。あんなに喋られちゃなぁ……」

素猫耳「しかし、すごいよなぁ……先輩も、研究員さんも……」

素猫耳「先輩はああは言ってたけど……ボクが怪物と戦い始めてまだ3ヶ月……」

素猫耳「先輩はこんなのを一人で2年間も守ってきたんだ……」

素猫耳「……強くならないと……!」

素猫耳「ん?」

怪物「……グギ……」

素猫耳「っ……!?」

素猫耳「怪物っ!?いつの間に!?」

素猫耳「(くそっ、間に合うか!?)変身!」

きらきらりん☆

猫耳「悪を挫く市民の味方!猫耳魔法少女ッ!ここに見参!」

怪物「グギィ!」

猫耳「さぁ怪物、かかってこい!」

猫耳「(なんとか時間を稼いで……せめて広い場所まで誘導しなきゃ……!)」


猫耳「ここでならっ……」

怪物「グギギ……」

猫耳「(この駐車場なら誰もいないっ。戦うならここしかない)」

猫耳「ボクが、止めるんだ……!」


キモオタ「はぁ、今日の仕事も疲れた……」

キモオタ「あら、あれは……」

キモオタ「(ね、猫耳ちゃん!!)」

キモオタ「(う……でも正体知った後だし……なんか気まずい感じで別れちゃったし……出づらい……)」

キモオタ「と、とりあえずカメラの準備だけしとこ……」


猫耳「せあああっ!」

怪物「ギギッ!」

キモオタ「ああっ!もう!また蹴りが外れた!」

猫耳「はぁ……はぁ……」

キモオタ「必殺の飛び蹴りも……当たらなきゃ意味ないよ……」

猫耳「まだ……まだッ!」

怪物「グギッ」

キモオタ「ああっ、またっ!」

キモオタ「何度やっても無駄だよ猫耳ちゃん!見切られてるよ!」

キモオタ「……でも、何で?怪物は猫耳ちゃんに反撃してない……?」


猫耳「……はあっ、はあっ」

怪物「ギギ……」

猫耳「……どうした怪物っ、ボクはここだぞっ」

怪物「グギギ……ギギッ」

猫耳「(今だッ!てあああっ!)」

怪物「グギッ!?」

キモオタ「また避けたっ!」

猫耳「……(読み通り!)」


猫耳「(この怪物は、ボクの蹴りに完璧に反応して回避する。そう、"完璧"なんだ)」

猫耳「(例え攻撃の予備段階でもーー)」

怪物「ギギッ!」

猫耳「(この大雑把な蹴りですら、きちんと回避してくれる!)」

キモオタ「あれ?猫耳ちゃん笑ってる?」

怪物「グギエェ……」

猫耳「(こっちの動きに対処するなら、意図的に覚えさせてやればいい!)」

猫耳「(そして"完璧"な回避のパターンをこっちが覚えればーー)」

怪物「ギ」

猫耳「(フェイントのしようはいくらでもある!)」

猫耳「とりゃあっ!」

キモオタ「ボディブロー!は、初めて見た!」

怪物「!!」

猫耳「ここでっ!」

キモオタ「決まった!回し蹴り!」

ずどーん☆

猫耳「はぁ……はぁ……」

猫耳「た……倒した?」

猫耳「!コアが……転がってる……!)やっ……た!倒したあっ!」

キモオタ「やった!!猫耳ちゃんが勝った!!」

キモオタ「……と……うん。や、やっぱりファンなんだな、あははは……」


猫耳「さて、コアを……」

???「あの怪物を倒すなんて、さすがね」

猫耳「!!」

???「初めまして。猫耳さん。お初お目にかかるわ」

猫耳「あ、あなたは……?」

???「私は兎耳魔法少女……同業者と言っておこうかしら」

猫耳「は、はぁ」

兎耳「ふふ……。これは貰っていくわ。」

猫耳「ちょ、ちょっと!」

兎耳「何かしら」

猫耳「それはボクが倒した怪物のコアです!返して下さい!」

兎耳「あら?そう?でも、怪物を倒した人のモノになるなんて、どこにそんなルールがあるのかしら?」

猫耳「なっ」


猫耳「そ、そんなの詭弁ですっ。だってだって、ズルいですよ!」

兎耳「詭弁?なら、そうね。ここで貴女を倒して奪い取れば文句は無いのかしら?」

猫耳「!!」

兎耳「……ふふ、そんなに身構えちゃって……ほら」

猫耳「(足元がっ!?)わっ!?」

くるん どすん

兎耳「それじゃあ、これにて」

猫耳「わ、あっ、ちょっと!」

猫耳「……い、行っちゃった……」

猫耳「はぁ……な、何なんだ……まったく……」

猫耳「(嫌な人だけど、すごい力を感じた。戦って勝てる相手じゃない気もする)」

猫耳「はぁあぁ、タダ働きかぁ……」


キモオタ「おおおっ!?」

キモオタ「なんだあの子はっ!?ニューカマー!?クール&ビューティー!?」

キモオタ「可憐……いや、華麗だ……」

キモオタ「しかしやはり、ワタシは猫耳ちゃんの方が……いやでも猫耳ちゃん男だったし……でももしかしたらあの子も男かもしれないし……」

キモオタ「……帰ろ……はぁ……」


・・・


数日後


先輩「ご苦労。首尾はどうだ?」

猫耳「はい。なんとか、今回も対処できました」

先輩「そうか。さすがと言っておこう」

猫耳「ありがとうございます」

先輩「それに、お前の活躍のおかげか、最近奴らの出現数も減ってきている」

猫耳「!!ほっ、本当ですかっ?えへへ……」

先輩「このまま奴らを完全に駆除できれば、大手柄だぞ。」

猫耳「へへ……そうですね。そしたら街にも平和が……ん?」

先輩「どうした?」

猫耳「あ、いやぁ……もし怪物がこのままいなくなったら、ボクらってどうなるのかなって」

先輩「ん……そうだな、出番が無くなって、このまま解散、各々の日常に戻るだろう」

猫耳「……そうですか……なんだか、それもちょっと寂しいですね」

先輩「寂しい?」

猫耳「先輩と会えなくなるし……ボクの活躍できる場所も、なくなるんだなーって……」

先輩「仕方あるまい。それが我々の宿命だ。」

猫耳「はぁ、怪物と戦えなくなったら、ボクなんか……」

先輩「……怪物は、駆除しなくてはならないっ!」(ダンッ)

猫耳「っ!」

先輩「お前の力は、お前のヒーローごっこの道具じゃないんだ!怪物を倒し、人々を守るための力だ!」

猫耳「は……はい」(しゅん)

先輩「……ふぅ……すまなかった。大きな声を出してしまったな。」

猫耳「いえ……」

先輩「今日はご苦労だった。またよろしく頼む」

猫耳「はい、失礼します」

パタン

先輩「……ふぅ、らしくもない」

先輩「……思い出してしまったな……あの記憶を……」


素猫耳「はぁ、びっくりした」

素猫耳「先輩怒ってたなぁ……何かマズイこと言っちゃったのかなぁ……」

素猫耳「あ……結局こないだの兎耳さんのこと聞くの忘れた……」

素猫耳「まぁいいや……今日は帰ろう……」

素猫耳「あ」

素猫耳「ヤバっ、今日飲み会の日じゃん!」

素猫耳「あーくそ!遅刻しそうだし!やばいよぉー!」


・・・


数時間後


がやがや

キャッキャ

素猫耳「……」

男「よーぉ、飲んでるかぁー?」

素猫耳「え、あ、うん」

女「ねぇー、素猫耳くんって、結構可愛い感じの顔してるね?」

素猫耳「あ、ありがとう」

素猫耳「(き、聞いてなかったよ!ご、合コンだなんて!)」

素猫耳「(あぁー……なんかあっちは年上の女の人ばっかりだし……気まずいというか何というか……)(キョロキョロ)」

素猫耳「(あー、あの人すごくキレーだなー……)」

黒髪女「……(わなわな)」

素猫耳「(あれ?あの人、なんか冷や汗すっごいけど……どうしたんんだろ?)」

女「ねぇ、黒髪女ー、あんたももうちょっと話したら?」

黒髪女「えっ、いやっ、だ、大丈夫!」

女「何よ、年下はヤダとか言ってた癖に、照れてるじゃない!」

素猫耳「(それに……どっかで見たことあるような……)」

女「そーそー、聞いてよ素猫耳くん、この子、こんな美人なのに、家すごいんだよ?」

素猫耳「えっ(あっ、なんか話振ってくれた)」

黒髪女「ばっ……馬鹿っ!その話はやめてってば!」

女「えー?いいじゃん。ねぇ素猫耳くん、コスプレとか好き?」

素猫耳「(いや、まさか自分が少女のコスプレ着て戦ってるとかは言えないしな……)き、嫌いではないですよ」

女「この子、コスプレイヤーなの。よくフリフリの衣装買って……」

黒髪女「わああああ!やめろって言ってるのに!!」(ぺしぺし)

女「いいじゃん、ほら、素猫耳くんも好きだって言ってるし……それに」

女「あんた、会場着くなり、ずっと素猫耳くんのこと見てたじゃない。よかれと思って話の機会を――」

黒髪女「そんなんじゃない!!」

素猫耳「(うわー、よく分からないけど、そうも全力で否定されるとちょっぴり寂しいような……)」

女「ほらぁ、どう?素猫耳くん。この子、どう?」

素猫耳「はぁ……でも、素敵な方だとは思います」

黒髪女「(ピクッ)」

男「おっ、こっちでいい感じになってるのかな?何なら、二人で話してきたらどうだい?」

素猫耳&黒髪女「「えっ」」

女「ほらぁー、いいじゃんいいじゃん、あっちの方で、ほら!」

黒髪女「ち、ちょっと待っ――」

ドドドド……


素猫耳「……結局、こうなっちゃいましたね……」

黒髪女「う、うん……」

素猫耳「(……しかし、何を話せばいいのやら……)」

黒髪女「……」

素猫耳「(あっちも気まずそうに下向いてるし……何とか場を和ませないと……)」

素猫耳&黒髪女「「あっ、あのっ」」

素猫耳&黒髪女「「!」」

素猫耳「すっ、すみません!どうぞ!」

黒髪女「……(クスクス)」

素猫耳「(あっ、笑ってくれた)」

黒髪女「ふふ、じゃあ……こっちから話すね」

素猫耳「(笑った顔、可愛いなぁ。なんだかよく分からない成り行きだけど、得してる気分だぞ)」

黒髪女「素猫耳くん、どっかで会ったことないかな?」

素猫耳「(どきっ)(えっ、まさか、ボクが聞こうとしてた事を先に言われたぞ……)え、あの……わ、分かんないですけど、ボクもそう思いました。でも、会ったことがないような気も……」

黒髪女「……そっか。ありがと」

素猫耳「(えっ、終わり?)」

黒髪女「分からないなら、多分、初対面だね。それ以上は気にしなくてもいいから」

素猫耳「え?」

黒髪女「じゃ、そろそろ戻ろうかな」

素猫耳「えっあっはい、……あ、黒髪女さん、煙草忘れてますよ」

黒髪女「え?ああ、ありがとう……でも、いいや、禁煙するから」

素猫耳「あ、そうなんですか?」

黒髪女「吸ってると、いざって時に困るからさ。素猫耳くんにあげるよ」

素猫耳「あ、ありがとうございます……?(ボク吸わないけど)」

黒髪女「さて、戻って飲み直そうか。猫耳くんは?」

素猫耳「あっ、はい、飲みます」

素猫耳「(うーん……初対面なのかなぁ……でも何か引っかかるような……)」

素猫耳「……いいや、戻ろ」


一時間後

女「それじゃーねー!続き楽しんでねー!」

男「またなー!頑張れよー!」

素猫耳「(うー……だいぶ飲んだな……みんな解散しちゃったし……さて……)」

黒髪女「(すーすー)」

素猫耳「(……人気のない公園のベンチに二人きり……そして彼女は寝ている……)」

素猫耳「(これは……何か色々とチャンスなんじゃないか……?シチュエーションとしては絶好だぞ……?)」

素猫耳「(……いやいやいや、でもそんな不埒な考えで彼女を傷付ける訳には……)」

黒髪女「……猫…耳……」

素猫耳「(……でも、こうやって見ると、やっぱり可愛いなぁ。……好きなタレントに似てるし……だから会ったことあるかもって思った……とか?)」

素猫耳「(さておき、どうするかな……さすがにこのまま家に連れて帰る訳にも……)」

素猫耳「(……いや、いっそ連れて帰っちゃうか……成り行きでこうなったんだから仕方ないし、ボクは悪くないし……)」

ガチッ

素猫耳「(!!)」

怪物「ガチガチ……」

素猫耳「か、怪物!!いきなり!!」

黒髪女「むにゃ?」

素猫耳「(まずい……ふらふらする……早く変身して倒さないと……)変身!」

きらきらりん☆

猫耳魔法少女「悪を挫く市民の味方!猫耳魔法少女ッ!ここに見参!」

怪物「ガチッ!」

猫耳「(黒髪女さんを一旦安全な所に……!)」

猫耳「(ぐっ、アルコールのせいか……いつもより身体が重いけど……抱きかかえてジャンプだっ!)」

怪物「ガッガチッ!」

猫耳「(追ってきた!とにかく黒髪女さんを……!)」

黒髪女「すーすー」

シュタッ

猫耳「(……よし、ここに寝かせて……)来い怪物ッ!」

怪物「ガチッ!」

猫耳「(速い……!今のボクの動きに対応してパターンを更新してきたか……)」

猫耳「(ボクも新しいパターンを作らないと……!)」

怪物「ガチォ!」

猫耳「くっ!?」

猫耳「(かなり攻撃的になってる……!手数で相手の攻撃を封じてコントロールしたのが失敗だったか……!?)」

猫耳「てああっ!」

怪物「ガァチ!」

猫耳「おっとと……危な……」

怪物「ガチガチ……」

猫耳「(くそ、小技での牽制は効かないか……どうする……?)」

怪物「ガガガ!」

猫耳「わぁ!?っ……てて……考える隙も無しかよ……」

猫耳「(ここは一旦引いて体制をーー……じゃない!)」

猫耳「(黒髪女さんがいるんだ……彼女を守らないと……!)」

怪物「ガッチン!」

猫耳「くっ……手を出す隙がない」

猫耳「遠距離攻撃……ボクにも、兎耳さんみたいな技が使えたら……!」

怪物「ガガガガチッ!」

猫耳「(突進……!これを避けたら背後が狙える……!?まずい!こっちの方向は!」

怪物「ガアッ!」

猫耳「(背後には黒髪女さんがーー!!今避けたら危ない!)」

黒髪女「……むにゃ?」

猫耳「(アレの直撃を受けたら……いや、でも避けたら黒髪女さんが……!ボクが止めないと……!)」

猫耳「ボクは、あの人の、ヒーローになるんだっ!!」

黒髪女「……猫……耳……ちゃん……?」

猫耳「行かせるかあああああっ!」

怪物「チッ!」

猫耳「」トクン


ドスッ


怪物「ガチ……ガチ……?」

猫耳「……はぁ、はぁ……」


ズルゥリ……


怪物「ガ……ガガ……」

猫耳「やった……のか……?」

怪物「ガァァァ……チ……」

猫耳「(消えていく……倒したのか……)」

猫耳「……はぁ……何だったんだろ、今の……」

猫耳「一瞬、怪物の動きが遅くなったような……」

猫耳「(……でも、コア壊しちゃったな……)」

猫耳「まぁ、よかった、のかな?……はぁ……また、タダ働き――

黒髪女「すーすー」

猫耳「……ま、タダってこともないかな、へへ……」

猫耳「さて……変身したついでに、送ってくかな……」

猫耳「もしもーし、起きて下さーい(ゆさゆさ)」

黒髪女「……むにゃ?」

猫耳「お姉さん、こんなところで寝てると危ないですよ」

黒髪女「……ふぁれ?猫耳ちゃん……?」

猫耳「ええ、市民の味方、猫耳魔法少女です。さ、家まで送ってあげましょう」(スクッ)

黒髪女「へ?あ、あの……」

猫耳「どっちですか?ボクの足があればひとっ飛びです」

黒髪女「……(カァァ)……あっち」

猫耳「はい!じゃあいきますよ!掴まってて下さいね!」

黒髪女「(ぎゅ)」

猫耳「(あぁ……これって役得……)」

シュタタタタ……


兎耳「……あの一瞬で、狙ってコアだけを破壊した……のね」

兎耳「厄介ね、猫耳の"新たな力"は……」


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