猫耳魔法少女「だめぇっ、やめてくださいっ!」キモオタ変態ストーカー「ぐへへへ」

月川

1話

猫耳魔法少女「だめぇっ、やめてくださいっ!」

キモオタ「ぐへへへ」


猫耳魔法少女「なんで写真撮ってるんですか!?」

キモオタ「うへへ、いいアングルだねぇ、もっと視線こっち向けて!」

猫耳魔法少女「変態!変態!セクハラですっ!?通報しますよ!?」


猫耳魔法少女「(スカートの中撮られてて集中できないっ……!)」

キモオタ「おっ、いい表情」


猫耳魔法少女「(で、でもせめてコイツを倒さないと……!)」

怪物「キシャー」

猫耳魔法少女「構ってられないっ!せえぇぃっ!」

怪物「グギョアー」

キモオタ「うーん、何度見てもいい蹴り」


猫耳魔法少女「(!!怪物が向こうに逃げた!これなら!)」

キモオタ「あっ!待って!……うぐぐ、逃がさないよ猫耳魔法少女ちゃん!」


・・・


猫耳「……ふぅ、ただいま戻りました。」

先輩「ご苦労、首尾はどうだ?」

猫耳「ばっちりです!怪物のコアもたくさん回収できましたよ!」

先輩「ほう、確かに。これなら報酬は弾みそうだな」

猫耳「でも……最近は怪物も少しずつ強くなってるような」

先輩「ふむ。やはりそう感じるか……だが、強くなるのは奴等だけじゃない。お前もその分強くなっている」

猫耳「……はい、ありがとうございます!あっ、そうだ先輩」

猫耳「また変な人がいたんですよ!こっちが戦ってるのに写真撮って……」

猫耳「もうアレは変態ですよ!ストーカーです!」

先輩「あぁ……また出たか」

猫耳「何とかならないんですか?気が散って戦いに集中できないんです」

先輩「……ん、まぁ、そんな姿じゃ、変な輩も出てくるさ。それに」

先輩「"そういう"のはお前が望んだことじゃなかったか?」

猫耳「ち、違いますっ!それは誤解ですよ!ボクは――!」

先輩「はは!冗談だ。まぁ、何だ。変態は無視していくしかないさ」

先輩「お前はエースなんだから、しっかりしてもらわないとな」

猫耳「うぅ……わかりました」


・・・


数日後


怪物「グギギィ!」

市民「うわぁぁ!また怪物だ!」

猫耳「出たな怪物!このボクが来たからには、これ以上やらせないぞ!」

市民「魔法少女だ!猫耳魔法少女が来てくれたぞ!」

猫耳「(……今日は変態さんはいないみたいだ……よしっ!)」

キモオタ「(ビールうめぇwwww)」


猫耳「せいっ!はぁっ!」

怪物「グギギギ」

猫耳「(……こないだのやつよりは遅い……でも)」

怪物「グゲー!」

猫耳「(また防がれたっ!)」


猫耳「なら……これならっ!……どうだあああっ!」

怪物「!キィィ!」

猫耳「……!?避けられた!?ボクの蹴りがっ!?」

怪物「グゲグゲー!」

猫耳「(こいつ……遅いんじゃない!動きに無駄がなくなってるんだ!)」

怪物「キィー!」

猫耳「!?」(ベチーン)

猫耳「く……油断した……っ……」

怪物「グキィ」

猫耳「ひっ……やられる……っ!?」


怪物「グギギギギ……」

猫耳「!?(反転した!?……た、助かった……」

怪物「ゲゴゲゴガー!」

猫耳「(……じゃないっ!こいつ、ボクを無視して、どこへ向かう気だ……?)」

猫耳「(……!あっちにはショッピングモールが……!)」

猫耳「(まずい!早く止めないと!)」



アナウンス「緊急事態!当店に怪物が接近中です!お客様は従業員の指示に従って速やかに退避して下さい!」

猫耳「一体どこに……」

猫耳「先輩達の話だと、ショッピングモールなんかは狙われやすいって話だけど……」

客「キャアアア!!怪物よ!!」

猫耳「あっちか!」


猫耳「今度は逃がさないっ!」

怪物「グギギ…」

猫耳「(さっきは蹴りを外したけど……もしかして、こいつら)」

猫耳「(戦う度に、ボクに対応してる……?)」

怪物「グギィ」

猫耳「(なら、どうする……?大技は無駄に撃てない……)」

怪物「ギリギリ」

猫耳「(どうにか、こいつの弱点を見つけないと……!)」


キモオタ「うん?避難?」


キモオタ「うーん、まだ飲み足りないけど……仕方ないか。」

キモオタ「ひぁっ!?何?この揺れ?」

キモオタ「……もしかして、怪物?」

キモオタ「ってことは……猫耳ちゃん!!」

キモオタ「ウヒョーー!!猫耳ちゃーーん!!」


猫耳(ゾクゾク)

猫耳「な、なんだこの寒気……いや、それより」

怪物「グギギッ」

猫耳「(やっぱり全力で戦わないと……)」

猫耳「くっ」

怪物「ギギッ」

猫耳「(勝てる相手じゃない!)」


キモオタ「お?」


キモオタ「猫耳ちゃーーん!!」

猫耳「(!!変態さん!?こんな時に……!)」

キモオタ「よしよし、カメラOK……と」

怪物「グギ?(ぐるん)」

猫耳「!!」

怪物「グギィ!」

猫耳「(しまったーー!?狙いが……!!)」

キモオタ「へっ?」

怪物「グギギッ!」

猫耳「危ないっ!!」

キモオタ「わあああっ!?」

猫耳「ッ!!」


(ドゴォ)

猫耳「く……そ……」

キモオタ「ね、猫耳ちゃん……?」

猫耳「逃げ……」

キモオタ「猫耳ちゃん!!猫耳ちゃんしっかり!」

怪物「グギギェー」

猫耳「(もうダメなのか……こんなところで……)」

キモオタ「う、うおおおおっ!」

怪物「グギ?」

キモオタ「猫耳ちゃんのピーンチ!!そして我が人生絶好のチャーンス!!」

キモオタ「担いで……逃げろぉっ!!」

怪物「グギェー!」

キモオタ「ふおぉぉぉ、お、重いッ……酒とタバコでここまで鈍っていたとは……」

キモオタ「だがここで諦めるワタシではないっ!猫耳ちゃん、助けてあげるからねええぇぇ」


・・・


キモオタ「いやー……気絶していたとはいえ、勢い余って連れて帰ってしまった……」

キモオタ「しかし……うーん……」

素猫耳「すーすー」

キモオタ「……これって(がさごそ)」

素猫耳「んんっ……」

キモオタ「……やっぱり男だよね?」

素猫耳「すー……」


キモオタ「く……まさに我が人生最大の失態……!勢いに任せて男を連れ込んでしまうとは……!!」

キモオタ「せっかく秘蔵のドレスやコスプレを着せてムフフなことをしようと思ったのに……」

キモオタ「うーん……しかし、いや……よく見ると綺麗な顔を……」

キモオタ「いやいや何を言ってるんだワタシは。猫耳ちゃんの可憐な姿に幻想を抱きすぎて、おかしくなってるんじゃないのか」

キモオタ「ワタシが欲しいのは猫耳ちゃんの可憐な!お!パン!ツ!決して男の安らかな寝顔ではないっ!」

キモオタ「……しかし……はぁ。切ない幻想だった……あんな可愛い子が男だったなんて…… 」

素猫耳「……うーん?」

キモオタ「げっ!?」

素猫耳「ここ……は……?」

キモオタ「や、やぁ」

素猫耳「!!ななななな」

素猫耳「何ですかっ!?えっ!?ここは!?変態さん!?えっ!?」

キモオタ「おおおおお落ち着いて猫耳ちゃん!いや、その中の人!」

素猫耳「中……、っ!!!」

素猫耳「うわあああぁっ!?変身解けてるっ!?見られたっ!?」

キモオタ「い、いいから落ち着いて」

素猫耳「うわああああ怪物と戦う可憐な魔法少女の中身が残念な男子学生なんだってバレた!!」

キモオタ「そこまでは聞いてない」

素猫耳「終わった……ボクの人生終わった……」

キモオタ「落ち着いて、落ち着いてってば」

素猫耳「……さようなら、父さん、母さん……」

キモオタ「ちょっ、だから落ち着いて猫耳ちゃんの中の人!台所から包丁を出さないで!!」

素猫耳「止めないで、死なせて下さい」

キモオタ「わー!やめろ!!」

どんがらがっしゃーん


キモオタ「……あいててて……ハッ!?ワタシの大事なメイド服がグシャグシャに……ん?」

素猫耳「いたた……う?」

キモオタ「!!(ドキッ)」

素猫耳「う……あ、あの……」

素猫耳「お、重いので退いて下さい……」

キモオタ「あ、わわわわ、ごめん!」

キモオタ「(なんて表情するんだ……というか……ワタシもワタシだな。何をドキドキしてるんだ……相手は男だぞ……)」

素猫耳「ん、んーっ、コホン、と、とにかく」

素猫耳「この事は内密にお願いします。もし口外した場合、あなたを今度こそ警察に突き出しますから」

キモオタ「あ、あぁ……うん……こっちもショックが隠しきれないよ……」

素猫耳「……では、長居する訳にもいきませんので、ボクはこれにて」

キモオタ「あっ、ち、ちょっと!」

素猫耳「助けていただいたことには感謝していますが、もとよりあなたが近付いてきたことが原因なのですから。そこはお忘れなく(バタン)」

キモオタ「待っ……」

キモオタ「……行っちゃった……」

キモオタ「……」

キモオタ「はああああぁ……男……男か……」


素猫耳「はああああぁ……ボクの正体が……バレてしまった……」

素猫耳「……いや、これできっとストーカーはしなくなるだろう、うん」

素猫耳「……はぁ……」


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