第18話おじいさんからの依頼
「ガーズ!大丈夫か?」
俺は、急いでガーズの元へ行った。ガーズは地面に転がり、空を見上げ、涙を流していた。
「お前があの剣士の攻撃から守ってくれたのか?だとしたらありがとな。」
ガーズは俺の声を聞いて、立ち上がった。
「いや、礼はいらない。冒険者として当たり前のことだ!」
ガーズはにっこり笑うと、みんなも、笑みを浮かべた。
「皆さん、僕はもう炎魔法しか撃てないどうしようもない魔法使いじゃありませんよ!」
ファイスは仁王立ちをして、俺らにスキルブックを見せつけていた。
「ファイス、他の属性魔法も覚えたのか?炎魔法以外も十分カッコいいぞ!」
ファイスのスキルブックを見てみると、炎、水、氷、雷、風、土、闇の魔法が使えるようになっていた。
白馬との戦闘の件は本当だったのか。
「ガーズ、そしてみんな。お疲れ様の〈エンタイルリール〉!」
ワズは俺らを回復してくれた。
やはり、改めて仲間はいいなと思った。
俺らは、ウォーティアにある遺跡に入り、オーブを回収した。
「やっぱり、いつ見ても、オーブは綺麗だなぁ。」
青色で激しく戦って手にした甲斐があったなと思わせるくらい綺麗だ。
オーブを回収した俺たちは、ウォーティアを後にし、ボートでリアルドへ向かった。
「ファイス、俺らのこと思って、他の属性魔法覚えてくれたんだな。」
「当たり前じゃないですか。僕も人一倍活躍したいですからね。」
ファイスはボートを漕ぎながら、ニッコリ笑った。
俺たちは、やっとちゃんとしたパーティになれた気がした。
そう思うと、俺は自然と笑みが溢れた。
リアルドに帰って来て、皆んなは疲れ果てていた。なので今日のところは、明日の集合時間、場所を決め、解散した。
今日は、いろんなことが大きく動いた日だった。そんなことを考えている間に、夢の世界へ行ってしまった。
(どうだ?順調か?お前さんのスキルいいだろう。活躍できてるだろう。)
この声、どこかで聞いた気がする。太く、大きい声。誰だったっけ。けど知ってる。
(後で奪うから...待ってろ。)
「ハッッッ!」
急いで目が覚めた。だったんだ?少し悪い夢を見た気がする。
あの夢のことを気に留めながら、俺は集合場所へ向かった。
俺は、支度が少し、長引いて遅れてしまった。
「ごめん、少し遅れた。」
「大丈夫ですよ。それじゃあ行きますか。」
すると、
「あのー、旅のお方ですか?もしそうであれば、時間いただけると、嬉しいのですが...」
白い髭のおじいさんが話しかけて来た。
「いいですよ。皆んなもいいよな?」
俺の声に対し、コクコクと頷いた。
おじいさんは話を始めた。
「リアルドの近くにある、石の塔があるんじゃが、最近そこに、何者かが住み着いたらしいんじゃ。よければ、様子を見て来てくれんか?
報酬は、装備を強くしてやる。どうじゃ?」
塔に住み着いてる?まあ、報酬は結構いいし、皆んなも引き受けに賛成のようだし、断る理由もなさそうだ。
「わかった。今すぐ、塔の様子を見てくる。」
そう言って、俺たちは石の塔に向かった。
「塔には、何がいるんだろうな?もしかして、虫とかぁ?」
「えっ、虫(ですか)!?」
ガーズがそう言った瞬間、ワズとファイスがビクッとなった。
ちょっと歩いて、石の塔に着いた。
「ねえ、行くのやめない?」
「そうですね。やめましょう。」
ワズとファイスが怯えているが、無視して、中へ入っていった。
暫く上へ上がると、何が動く音がしっかりと聞こえた。
それを聞いて、皆んなが少し、怯える。
恐る恐る階段を登り、最上階には...
「誰だ!?金はないんだ!何回言ったら分かる?もう帰ってくれ!」
そこには、ボロボロの服を着た男がいた。
「いやぁ、別に金は取らないが、俺らは塔の中を見に行ってくれと言われて、ここに来たんだ。」
「なんだ...お願いだから、もう少しここに居させてくれ。あと、2日でいいから。」
「ああ。なんでここに隠れてるんだ?」
「俺は多額の借金を抱えているから、前に借金取りが来たんだ。だからもう嫌だと思って、ここに。」
「そう言うことか。俺らは別にお前の居場所をバラしたりはしないから、まあ居ていいと思うぞ。」
「ありがとう。」
そうして俺らは、石の塔を後にし、おじいさんには、何も居ないと伝えた。
幻技者の征服記 @aonorem
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