第16話第三の秘境「ウォーティア」
俺らは今リアルドでボートを借り、第三の秘境「ウォーティア」へ向かっていた。
ザーザーと波が揺れる音がなんとも心地いい。
だが、あの夜にあったことは今でも、忘れられない。あの氷結の剣士は俺らが今まで出会ってきた何よりも、気配が禍々しく、一歩下がりたくなるような威圧感だった。
「なあ、カエラ。俺らの前方に小さく見えるあれが「ウォーティア」か?」
「ああ、多分な。たとえ、立ち寄りにくい場所でも、賊がいるかもしれない。常に緊張しておくこと。」
みんなは、小さく頷いた。
しばらくボートを漕いでいると、ウォーティアがはっきりと見えてきた。島は丸い形をしているように見える。
俺らは、力を合わせて漕ぎ、なんとか上陸できた。
しかし、ここからが本番だ。
辺りは草木で生い茂り、無人島のような、誰も手入れしていないような感じがした。
「よし。それじゃあ念のため、警戒しながらゆっくり進んでいくぞ。」
俺はそう言って、いつでも認知できるように、常に〈宝探し〉を発動しておくことにした。
しばらくゆっくり進んでいくと、〈宝探し〉が何かを探知した。
そこには...
前方7メートル:無垢の剣士
無垢?剣士?何か氷結の剣士と関係があるのだろうか。
「〈宝探し〉が探知するに、前方7メートルに無垢の剣士という奴がいるらしい。
「それ拙者知っているぞ。奴は色々な属性を付与した剣士になれるらしい。だから多分氷結の剣士とは奴のことなんじゃないか?」
やっぱりそうだ。こんなタイミングで出会うとは...
「おい!そこにいる4人の冒険者!ここで何をしている?」
無垢な剣士に気づかれてしまった。これはまずい。
無垢の剣士は続けて
「まさか...オーブを取りに来たんじゃないのか?
フフッ、残念だがそれは不可能だ。なにせ俺がこのウォーティアのオーブを守っているんだからな!」
俺らがしようとしていることは全て見破られてしまった。
俺が覚悟を決めて、剣士の前に出ようとした時、遠くの方から、沢山の足音が聞こえる。
まさか、賊が来たのか?
「なんだぁ?賊か?なんでもいいまずはあっちから、潰すか。
おい、ノール少しの間このオーブを守っておいてくれ。もし、あの4人組が来たら容赦なくやっていい。」
そう言って、剣士は仁王立ちして、空を見上げた。
すると、激しい轟音と共に、赤い炎が剣士を包んだ。剣士の鎧も右手に持ったレイピアも激しく燃えた。
あれが、無垢の剣士の本当の姿。
いや、あれは無垢の剣士のほんの一部でしかないのだろう。
すると、剣士は早歩きで賊の方へと向かったその数秒後、下っ端賊の悲鳴が次々と聞こえる。
「おい、今奴がどっか行ってる間に、馬の方を攻撃しよう。反対の意見はないか?」
みんなは大きく頷いた。
俺はまずあの白馬を〈宝探し〉で弱点や攻略方法を見た。
爆炎の白馬(ノール)弱点:水魔法
攻略方法:水魔法で白馬を纏っている炎をなくし、物理攻撃を入れる。
水魔法...ファイスは炎魔法しか使えないし、どうしたものか。
と悩んでいると、白馬が突然鳴き始め、凍りを纏った。剣士が氷に変えたのだろう。
これはファイスの炎魔法が効く。
「よし、奴が氷属性に変えてくれたおかげでファイスの魔法が効きやすくなった。
作戦は、まずファイスが炎魔法を撃って、氷を剥がす。その隙に俺とガーズで攻撃、ワズは、援護。それでいく。」
「任せてください!」
ファイスの力強い声で俺らは、白馬の前へと走り出した。
「ヒヒーン!」
白馬は大きく鳴き、俺らの方へ駆け出した。ファイスはすぐさま魔法を準備し、打てる体制に入った。
白馬は俺らを追いかけ回し、疲れたのか、一旦距離を置いた。
「ファイス、撃て!」
俺が掛け声を出すと、ファイスの杖に、炎が集まり、勢いよく前へ放った。
「〈インフィニティファイア〉!」
ファイスの声と共に炎は白馬の方へと、撃ち込まれ、白馬は炎に包まれた。
すると、
「随分と、ノールと遊んでくれてたみたいじゃないか。お前ら...
ウォーティアのオーブは絶対に渡さないぞ。」
そこには、激しい炎を纏った、白馬に乗った剣士の姿があった。
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