第14話ファイスの過去

全速力でリムへ帰ってきた俺らは、ゴルドに熱抑剤を渡しに行った。


「ゴルドさん。言われた通り熱抑剤持ってきましたよ。ちなみに、もう俺たちを砂漠へ行かせるような、真似はしないでくださいね。」


俺は、口角を上げて、死んだ目でゴルドにそう伝えた。


「ありがとうございます。砂漠で何かあったんですか。大変な目に合わせたのなら謝ります。ごめんなさい。」


ゴルドが礼儀正しく謝ったので、俺らが悪者のようになってしまった。

そしてゴルドは急いで母の元へ走っていった。


「今日は、うちに母がいないので泊まっていきませんか?」


ファイスが突然言い出した。


「じゃあ、遠慮なく泊まらせてもらおうぜ。」


ワズとガーズも頷いた。

ファイスの家は、リムの入り口から、北にあるこの村では1番大きく豪華な外装だった。


「お邪魔します。おお、結構中も豪華だな。」


「そうですか?大きな街にはこれより大きな家は何軒でもありますよ?」


中は、綺麗に整理整頓されており、庶民には馴染みのない内装だ。


「それでは、椅子にでも座って、待っていてください。今からは料理を作りますから。」


と言って、ファイスは俺らを椅子に座らせ、杖を置いて、キッチンで料理をし始めた。


「ファイスのお母さんはどんな人なの?

やっぱり裕福で気品がある人?」


「いえ、母はとてもケチで庶民的ですよ。そもそもこの家は約4年ほど前に他界した、父がお金を払って建てたものなんです。」


ファイスのお父さんはそれなり裕福だったのだろうか。そのことについては触れなかったが、ファイスは続けて、お父さんのことを話し始めた。


「私の父は、4年前、秘境「ラルーダ」で命を落としました。しかもその場にいた賊たちにやられたそうです。その時、母もその場にいたそうで、父は他界する直前『ファイスを大事にしてやってくれ』と言われたらしく、そもそも昔は母とあまり仲が良くなかったんですが、その日から僕のことを愛してくれるようになったんです。」


ワズが涙目になりながらファイスを見つめていた。

ファイスにも辛い過去があったんだなぁ。親を失う気持ちはよくわかる。


「ファイスぅ。そんなことがあったんだなあ。困った時はいつでも拙者に頼れよ。」


ガーズが机に水たまりができるほど涙を流している。確かに泣ける話ではあったが、涙を流す量がおかしい。それほどガーズが仲間想いということなのだろうか。


「さて、私の話で少し暗い雰囲気にしてしまいましたね。料理ができたので一緒に食べましょ。」


出てきたのは、ジューシーな大きな肉だった。食卓に並べられた瞬間、辺りをいい脂の匂いに包まれている。

俺らは食事を終え、風呂に入り、もう一度集まって、次の目的地を決めていた。


「次に近い場所は…「ピラルド」って言う砂漠にある秘境だな。」


「「砂漠はやめよ?(やめません?)」」


ワズとファイスが必死に否定した。今日のことでトラウマを植え付けられたのだろう。


「わ、わかった。じゃあ砂漠は最後に行こう。

次に近い場所は、「ウォーティア」って言う海の近くにある秘境だ。誰も異論はないな?」


みんなはコクコクと頷いた。


すると、ガーズが…


「そのリース海と言うとこには、大きな…っちょ!」


「あのガーズさん。絶対フラグになるので言わないで下さい。お願いします。」


ファイスがガーズの爆弾発言を阻止している。

まあ、そうなるよね。


「よし、次の目的地も決めたことだし、今日はもう寝よう。ファイス、ほんとに泊まっていいのか。」


「はい、全然いいですよ。じゃあ、皆さんの寝るところを言いますのでついてきて下さい。」


俺らは、階段を上がり、ついたのは、ダブルサイズのベットが3つある。大きな部屋へと連れてこられた。


「ここは、お客さんが泊まる様に確保している場所です。なので好きに使っていいですよ。」


俺らは小さく頷いた。

多分みんなが思っているだろう。

ファイスの家、豪華すぎないか!?


この日はありがたくベットを使わせてもらい、一瞬で眠りについた。

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