第13話ゴルドからの頼み事

俺は眩しい日差しで目が覚めた。

そして、いつもより早く支度し、ワズの元へ向かった。


ワズはもう目が覚め、冒険の支度をしていた。


「大丈夫か?もし体に異変があれば、今日は休んでいいぞ。」


「全然平気だよ。気が乗っちゃって、MP消費を気にせず、魔法を撃っちゃっただけだから。

さあ、みんなが待ってるから、もう行こ。」


ワズは俺に笑顔を見せて、部屋から出ていった。

ほんとに大丈夫なのだろうか。少し過保護になってしまっただけだろうか。


ワズと一緒に集合場所へ、着き、リムを出ようとすると、


「ファイス!それから旅仲間の皆さん!頼み事を聞いてくれませんか?」


息を切らしながら走ってきたのは、ゴルドだった。


「なんだ、ゴルドが頼み事って珍しいな。」


ゴルドが頼み事について話し始めた。


「実は、俺と母さんの2人で宿屋を営んでいるんですけど、母が急に熱が出て、寝込んでしまいました。この村には、医者がいませんし、俺は宿屋の経営に忙しいので、

すみませんが、リムから北にある、「メルト」という村にいる、青い屋根の家に住んでいるドワーフという老人から薬をもらってきてくれませんか?」


「まあ、ファイスの友人の頼み事ですし、全然いいですよ。みんなもいいよな?」


3人はコクコクと頷いた。


俺らはゴルドに手を振り、リムから北へあるメルトという村に向かった。


しばらく歩き、辺りは砂漠の地帯になった。蒸し暑く、砂煙が視界を邪魔している。

すると、ガーズがとある噂話を話し始めた。


「拙者は見たことがないが、このサルド砂漠には、たまにギガワームという、巨大なミミズのようなモンスターが出てくるらしい。そいつはこの通りを歩くものを狙い、

長い身体を活かして、締めてくるらしい。」


なんだそれ、まさかフラグでも立てているのか?


その話を聞いた途端みんなが歩く速度を上げた。

やっとの思いでメルトに到着した。

俺らは、早速ゴルドが言っていたドワーフという老人を訪ねた。


「すいませーん。ドワーフさんはいますか?」


「わしがドワーフじゃが、なんのようじゃ?」


白い下髭を生やし、丸眼鏡をかけており、医者のような白衣を着て出迎えてくれた。


「あのー、熱を抑える薬が欲しいんですが…」


「熱抑剤のこのじゃな。すぐ持ってくるから待っておれ。」


ドワーフは腰を押さえながら、奥の部屋へと入っていった。

2分ほど待っていると、熱抑剤を持って帰ってきた。


「ありがとうございます。ドワーフさん。」


そう言って、ドワーフの家から出てみんなが駆け足しながら待っている。

多分、思っていることは同じだろう。


ギガワーム怖え!


俺らはメルトを出て、早歩きでリムへ戻った。

すると、目の前の地面が大きく揺れ、やがて、赤色が特徴的な、巨大なミミズが俺らの行手を阻んだ。

やっぱりだ。フラグ回収しちまった。


「な、何これ。気持ち悪すぎ!あーもうこれだから、砂漠は…」


「デカすぎませんか。いくらなんでも…」


「初めてこんなものに出会った。拙者の心が震えるぅ…さあ、かかってこい!」


1人を除いて、身体が震えている中、俺は〈宝探し〉を発動し、弱点や、攻略方法を見た。


ギガワーム 弱点:炎魔法 攻略方法:物理攻撃するなら頭を狙う。魔法攻撃は身体全体に効果がある。


俺はこの攻略方法に沿って指示を出した。


「ギガワームの弱点は炎魔法だ。

だからファイスはどんどん炎魔法を撃ってくれ。物理攻撃は頭しか効かないようだから、俺とガーズは頭を狙う。ワズは援護してくれ。」


みんなは大きく頷き、ファイスは早くこの勝負を終わらせたいみたいだ。


「〈インフィニティファイア〉!〈インフィニティファイア〉!〈インフィニティファイア〉!」


ファイスが手短に終わらすべく、ギガワームに炎魔法を撃ちまくった。

ギガワームは、ファイスの強烈な魔法攻撃により怯んでいる。


「ガーズ今のうちだ!頭を狙うぞ!」


俺とガーズは怯んでいるギガワームに容赦なく攻撃した。

早く終わらせたいからだ。こんな気持ち悪いものを見たくないからだ。


「〈ギガファイア〉!〈ギガファイア〉!〈ギガファイア〉!」


ファイスがさらに炎魔法を重ね、気づくと、ギガワームは、ドロドロになっていた。

気持ち悪さのあまり、ギガワームを、なんの抵抗もさせず、オーバーキルしてしまったようだ。


俺らは、別の攻撃を大幅にくらい、息を切らした。


「なんとか、終わった。よしもう帰るぞ…」


ワズに関しては涙目になりながら、リムへ走って帰った。

もう二度と会いたくない。そんなことを思わせるようなモンスターだった。

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