第12話連携できるほどの絆
「ドルディア」がなぜ、薄暗い空気に包まれているかわかった。
ゾルダックを隊長賊とした、下っ端賊の無数のゾンビがこの秘境を乗っ取っているからだ。
「おい!俺は賊だ。オーブを取る前に隊長賊を討とう。」
みんなの飲み込みが早くて、とても助かった。
そして今、俺たちの前に立ちはだかっているのは、隊長賊ゾルダック。
しかも、後ろから次々と下っ端賊がやってくる。これはキリがない。
ゾルダックは全身鉄の鎧を身につけ、先が輝く、大きな斧を持ち、鉄兜の隙間から俺たちを睨みつけている。
俺は〈宝探し〉でゾルダックの攻略方法を見た。
隊長賊ゾルダック 攻略方法:鎧をつけた状態だと、回復魔法が効かないが、あの鎧は案外脆い。だからまず、魔法攻撃や物理攻撃で鎧を壊す。
なるほど。敵には確実に弱点がある!
「あいつの鎧は脆いらしい。だからまず、ワズは周りの下っ端賊をやってくれ。俺ら3人は、なんとかして、鎧を壊す。全て壊しきったら、ワズは隊長賊にとっておきを打ち込んでくれ。」
ワズは頷き、周りの下っ端賊を次々と消し去った。
俺らは、一斉にゾルダックの方は走り出し、鎧を傷つけた。
しかし、相手はもちろん抵抗してきて、俺の方は向かって、斧を振り下ろした。
だが俺は鎧を壊すのに必死で、躱すのが遅れた。
「守りは任せろ!カエラ!」
辺りに鈍い音が流れ、俺は、ガーズの盾に守られた。
「おうよ!お前が助かった。」
ガーズに向かって、グーサインをした。
ガーズはさらにゾルダックへ注意を払った。
「〈メガファイア〉!」
ファイスの掛け声と共に、辺りに轟音が響き、ゾルダックは炎に包まれ、鎧は熱で壊れかけている。
今のうちに、俺とガーズは、ゾルダックの攻撃を躱しながら、ゾルダックから全ての鎧を取り除いた。
「ワズ!今だ!打ち込めぇ!」
俺の合図に反応したワズはゾルダックへ向けて、
「〈リンテッドフォルテ〉!」
その威力は周りにいた下っ端賊をも巻き添いにし、ゾルダックや下っ端賊は跡形もなく消え去った。
すると、ワズは全てのMPを消費し、その場に倒れ込んでしまった。
「ワズ!大丈夫か?みんな、早くオーブを取ってリムへ帰ろう!」
ファイスとガーズは大きく頷き、遺跡の中にある黒く、輝いたオーブを手にし、遺跡を出た。
すると、さっきまで薄暗い雰囲気だった、天気は雲ひとつない快晴になっていた。
俺たちは、少し、嬉しさのあまり笑みをこぼしながらも、俺はワズを担いでリムへと大急ぎで戻った。
リムへ戻ると、急いで宿屋でワズを寝かし、ひとまず一悶着ついた。
他のみんなも今日の戦闘で疲れ果てており、ファイスは自宅へ、俺とガーズは宿屋に戻った。
それにしても、なんだったのだろうか。あのゾンビ賊は。
あんなもの伝説でも、人の話でも聞いたことがない。
そんなことを考えながら、俺は夜を明かした。
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