第9話強硬の堅物
朝になり、いつもようにガルムの入り口付近へ集まっていた。
すると、
「あ、あのあなたたちはパーティなのだろうか?も、もしよければ拙者をパーティに入れてもらえないだろうか?」
急に来た。しかも拙者て。一人称拙者て。
俺らの前に現れたのは、ガタイがよく、大柄な男だった。
「とりあえず、あそこにあるベンチにでも座ってゆっくり話しましょ」
なんかこの展開見たことある!?
ファイスの時と同じだ。
俺らはベンチに座り、大柄な男が話し始めた。
「拙者は、何回もパーティから跳ね除けられてるんですよ。しかも理由が多種多様で、例えば、
『一人称がうざい』とか『真面目すぎる』とか散々言われてきたんですよ。なのでパーティに入れてください。」
大柄な男から出てきた言葉は、どれも笑える話ではなく、俺らは、呆然としていた。
「ま、まあ別に入れてもいいんじゃないか?な、2人もいいよな?な?な?」
俺は絶対断られると思い、強引に押し込んだ。
2人は、苦笑しながら、軽ーく頷いた。
やはり仲間は多い方がいいと言う、浅はかな考えしか思いつかなかった。
「拙者の名前は、ガーズだ。よろしく頼む。」
そして俺は、以前ファイスに言ったことと全く同じことをガーズに言った。
「そう言うことなら都合がいい。いや、都合が良すぎる。俺の専門職は、大盾なので、どんどん盾がわりにしてくれ!」
ここにきて盾役が来た。これはパーティが安定するかもしれない。
3人で話し合い、どんな実力か試してみることにした。
「じゃあ、これからゴブリンの森へ行くから、ついてきてくれ。」
すると、
「わかった。それでは、今から念のため、回復薬の買い出し、それから盾の手入れ、あと鎧の手入れも必要なので、大体21時間後にここに集合という形でどうだろうか。」
俺は、先を急ぐ真面目堅物を止めた。
「ちょいちょいちょっと待ってくれ。さすがに準備が念入りすぎないか?今日はただガーズの腕を知りたいだけなんだ。しかも回復のことなら、ワズがいる。大丈夫だ。もし、ゴブリン討伐に手こずったら、俺やファイスがいる。だから大丈夫だ。そうい
うことはまた、秘境へ行く時にしてくれ。」
「そうか、わかった。先走ってすまない。」
やっとわかってくれた。まあ、素直でいい奴だし、あとはどれだけやれるかだな。
そして、俺ら4人はゴブリンの森へと入っていった。
「じゃあ、早速自分なりにできる範囲でいいからしてみてくれ。」
俺が軽い指令を出した。
「よし!どこからでもかかってこい!全て拙者が受け止めてやる。来ないなら俺が直接潰してやる!」
ガーズはゴブリン向かって一直線に体当たりしにいった。それを見たワズとファイスは、魂が抜けかけていた。あれ、盾役どこいった?
っていうか勝手に自分の道突き進んでるんですけど!?
しかし、破壊力は並外れていて、次々とゴブリンを薙ぎ倒し、ゴブリンが俺らに近づく暇もなく、あっという間に消し去った。
コイツ、いくらなんでも、自由すぎる。
「どうだった?感想を聞かせてくれ!」
ガーズの目はそれはとてもキラキラと輝いていた。
「そうだな、できる範囲のことをやれといったが、流石に自由すぎる。もうちょっと、仲間のことを優先してくれると、もっと盾役っぽくて、とても助かる。」
「わかった。これからはもっと守りに徹するので、どうか...見捨てないでくれ。」
ものすごい涙目で言ってきた。流石にワズとファイスも降参したのか、俺を優しい表情で見つめていた。もう、なんでもいいから、オッケーしといてくれという意味だろう。
「わ、わかった。見捨てないから。ああいう癖は冒険の間で直していったらいいんだし。これからよろしくな。
ちなみに俺はカエラ、青髪の子がワズ、赤髪の子がファイスだ。」
ワズとファイスは一緒に頭を下げた。
ガーズはまた、目を輝かせていた。よほど嬉しかったのだろう。
しかし、これでわかった。ガーズはいくらなんでも、真面目で自由すぎんだろ!
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