第8話一つ目のオーブと謎の槍使い

俺とワズ、ファイスの3人でオーブを取りに行く道中、俺はずっと両親のことを考えていた。あの人は時に優しく、時に厳しく俺を怒ってくれていた。そんな人がダルフーンとか言う奴に打たれるなんて...でももう大丈夫と言ってあげたくなった。


「そこのお前、一体ここへ何をしに来た?」


聞き覚えのあるような声だった。

俺は、考えなくともすぐに出てきた。

俺が、遺跡へ入った時に見つかりそうになった奴だ。

そいつは、先が鋭利な考えられない長さの槍を持っていた。こんなもので突き刺されたら、一発で穴が開くほどだ。


「あなたこそどうしてここに?」


ワズが聞き返した。


「俺が持っていた、俺があの遺跡で大事に保管しておいた、秘境の地図がなくなったんだ。だから、何か怪しいと思ってここにきて見たんだ。」


そいつがそう言った瞬間、ワズとファイスが俺のことを見てきた。

そりゃあ見るよなぁ。


「何だお前ら、やけにその貧弱そうな男の方をチラチラと見ているが?」


そいつがさらに怪しい視線を俺に向けた。


「いやぁ別に、俺の顔に何かついてたんだと思いますよ。」


「そ、そ、そ、そうですよ。全然気にしないでください。」


俺とワズは必死に言い訳をした。


「お前ら怪しいな、貧弱そうな男が持っている、鞄の中を見させてくれ。何もなかったら、俺が頭を下げる。」


やばい、どうしよう。と思っている間にそいつに強引に取り上げられてしまった。


「さて、中身は...お前らこの巻物はなんなんだ!?まさか、あの時妙に人がいる気配があったのは、まさか貧弱な男だったのか?」


バレた。俺は、そう言われる前から、頭を思いっきり下げていた。


すると、そいつは槍の鋭い刃先を俺の方へと向けていた。そしてそのまま俺を突き刺そうとしたその時...


「やめてください!その地図はちゃんとお返ししますから、カエラさんの命だけは!」


ワズが必死に説得しようとしていた。

すると、


「それじゃあ、いい提案をしよう。地図も貧弱な男の命も返してやる。だが、この地図を使い、すべてのオーブを集めたのち、俺のところへ持ってこい。いい提案だろう?」


何だコイツ。俺らにオーブを集めさせるつもりなのか?でもたとえ断ったとしても、ここで俺の命、もしかしたら2人の命だって落としかねない。

そう思い、承諾しようとしたら...


「いいでしょう。それでは、早くここから去ってください。」


ワズが先に承諾していた。

俺とファイスも目を合わせ、頷いた。


「じゃあ、俺はワーダス神殿でいつでも待っている。」


そう言って、この場から立ち去った。


「色々とありがとな、ワズ。どうやら、この3人の思っていることは、一致しているようだな。」


すると、もう一度大きく頷いた。


「あいつをワーダス神殿で直接討つんでしょ?」


「ああ、そうさ。俺たちならやれる。」


不思議と、俺とワズの距離がグッと縮まったように感じた。


オーブがある遺跡は意外とシンプルで部屋が一つしかなく、オーブが厳重に保管されていた。

俺たちは、一度周りに人がいないか確認し、ショーケースを開けた。

中に入っているオーブは、緑色でどこから見ても、光輝いている。それを俺は鞄の中に大切にしまい、颯爽と「オラビア」を出た。

オーブ1つを取るのに、こんなに労力がいると、3人とも思っていなく、疲れ果てていた。

俺たちは、今ある力を最大限に使い、なんとかガルムまで帰ってきた。

今日までの旅を振り返って見ても、かなり濃い旅をしていると思った。

そのまま今日は宿屋で夜を明かした。

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