さまざまな秘境へ

第7話俺vs隊長賊

俺は少年の頃から、努力家だった。勉強に対しても、もちろん修行に対しても、だが、自分的に結果が報われることはなかった。

両親は、突然俺の前から消えた。なんで消えたかを親しいおばさんに聞くと、秘境に行った際、ダルフーン賊に打たれたらしい。

俺は、ずっと、涙を堪えて、家で泣いた。ものすごく泣いた。

その時に俺は、ふんわり思っていた。

この世から、賊を無くそう...と


翌日...

ついに、秘境へ向かう日だ。俺は、大体偵察担当になるなと思い、忍び薬を何個か買っておいた。これで、〈宝探し〉の能力を少しでも、幅広く使おうと思ったからだ。


俺が街の入り口に着いた頃には、もう、ワズとファイスが待っていた。


「じゃあ、張り切っていくぞぉ!」


俺ら3人は大きくハイタッチした。少しだけ、パーティの品が上がったように見えた。


俺らはガルムを出て、変わらず南へ進んでいった。今回はゴブリンの森はスルーした。MP消費などの問題もあるからだ。


「ねえ、ファイス、秘境へ行くのは怖い?」


「いいえ、全く怖くありません。なんたって僕は、1人ではないのですから。」


俺ら2人と同じことを言っている。やはり気が合うのかもしれない。ワズは、嬉しそうに笑顔を見せた。


約50分ほど歩いただろうか。突如俺らの視界には、ジャングルのような地形で囲まれているかのように中にどでかい遺跡が現れた。

皆、これが第一の秘境「オラビア」だと察した。

すると...


「おい、他の賊がいたらややこしくなるから、急いで目当てのものを回収しろ!」


太く、とても通りやすい声で、仲間をまとめていた。あれが、賊だ!


「おい、2人とも、もうわかっていると思うが、あれが多分賊だ。今から大まかな作戦を言う。まずは、俺の〈宝探し〉で正確に判断するから、お前らはここで待ってろ。」


2人は、大きく頷いた。

俺は、忍び薬を飲み、〈宝探し〉を発動させた。すると、下っ端賊、下っ端賊、下っ端賊、隊長賊ダルフーン。


俺は、この表示を見た瞬間、寒気が一気にきた。

たしかにそうだ。あいつが、俺の両親を。

今はそんなことを思っている暇はないと思い、説明を続けた。


「俺がもし見つかっちまったら、急いで俺のところまで来てくれ。援護してくれると助かる。」


仲間に指令を与えて、俺は、恐る恐る足を踏み込んだ。早く行かないと、オーブのことも心配だ。俺は最初より早足で賊のところへ向かった。ようやくついた俺は、1人だけ孤立した、下っ端賊を見つけ、ゆっくりゆっくり移動し、そいつを不意打ちで仕留めた。

すると...

警報音のようなものが止まらなく鳴り響いた。

くそ!コイツは囮だったようだ。


「誰だ、オメェ。このダルフーン様がいるってのに、オーブを回収しに来たとは、運が悪かったな。」


俺の前にいたのは、片目を失い、下髭が特徴的ないかにも、船長のような男だった。

流石に、異変に気付いたのか、ワズとファイスも、俺の元へ来てくれた。

しかし、下っ端賊が段々と増えている。

多分、オーブ回収を一旦やめ、本気で俺たちを仕留めてから、安全に回収するつもりだろう。


俺はこうなることくらいわかっていた。

そして俺は〈宝探し〉を発動した。

下っ端賊、弱点:腰回り


隊長賊、弱点:脚


このことを2人に伝え、ファイスは、下っ端賊を、俺は隊長賊を、ワズは援護を頼むと言った。


俺は気合を入れ直して、ダルフーンの元へ切り掛かりに行った...

だが、現実は思った通りにはいかなかった。

ダルフーンの脚に鋭い刃が通ったが、硬くて、全く切り落とせない。俺がもたもたしている間に、ダルフーンは、右手に持っている、大剣で跳ね除けられた。


「カエラさん!今回復します。〈リーニング〉!」


俺の痛みは一瞬で引いた。ワズの腕は本物だ。しかし

やばい。今のところ見せ場はなしだ。どうしよう。

すると、

(カエラさんのレベルが、91になりました。〈宝探し〉のグレードが9になりました。

効果:半径60メートル以内にあるすべての、人、食料、資源、敵、敵の弱点、敵の攻略方法が全てわかる。


そうか、一応相手に攻撃したからか!

攻略方法!?なんだこれは!?早速〈宝探し〉を発動して、ダルフーンに視点を向けてみた。


隊長賊、弱点:脚、攻略方法:まず、近くに寄って、剣の攻撃を躱す。あの大剣は重いので、もう一回振るのに時間がかかる。その隙に脚を何回も切る。別に切り落とそうとしなくても良い。


「おいおい、早く来いよ。俺様がぶった斬ってやるからよぉ。」


わかったぞ。全てわかった。

俺は、攻略方法と同じ手順で行動した。

一回近くに寄って、剣を振らせて、その隙に脚を何度も切る!


「うおおおおおお!」


すると、ダルフーンは、よほど痛かったのか、地面に倒れ込んだ。

今だ。俺はダルフーンに向けて、何度も剣を振り回した。

やがて、ダルフーンは、ドロドロになって地面に溶け込んだ。


初めて、こんなの倒した。やはりこの〈宝探し〉、侮れない。

一方、下っ端賊をと交戦していたファイスは、なんと、もう殲滅しきっていた。

さすが腕だけには自信がある、男。


「カエラさん!やりましたね。」


ワズが近寄ってきた。

同時にファイスも来て、みんなでハイタッチをした。そして、オーブの元へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る