第4話スフィー村の鍛治師

俺はついさっき、仲間になったワズと草原を歩き、スフィー村まで向かっていた。そういえば、俺はまだ武器を何も持っていない。スフィー村に鍛治師がいるか聞いてみよう。


「なぁワズ、スフィー村に武器を作ってくれる鍛治師っているか?」


「それなら、スフィー村の北西辺りにストーグという腕利きの鍛治師がいますよ。私はまだ、その人に武器を受注したことはないのですが、母親曰く、武器を打っているのではなく、魔法で生み出してるそうですよ。」


「魔法?魔法で武器が作れるのか?」


「まあ、しようと思えばできるみたいですが、多分〈創造〉スキルで作っていると思います。ただし、大きければ大きい物ほど作るのに、MPを多く消費します。なので作れても、1日2、3本程度です。」


魔法、そして〈創造〉というスキルがあるのか。まあ、そこしか鍛治屋はないんだし、行ってみるか!


俺は内心不安になりながらも、スフィー村へと向かった。


「着きましたよ。ここがスフィー村です。」


思っていたより、住人が多く、行商人もいたり、店が多くあったりと、雰囲気が賑やかで温かい村だ。


「じゃあ、私は一回家に戻って、支度をしてきます。」


「わかった。じゃあ俺は、そのストーグって言う鍛治師の元へ行くから。支度ができたら、そこまできてくれ。」


そう言うと、ワズは別れざまにこう言った。


「絶対に、秘境の地図のこと誰にも言わないでくださいね。もしここに賊の調査班がいたら大変なので。」


「わかった。絶対に言わない。」


そう言って、俺は、ワズと一度別れ、ストーグという鍛治師の元を訪ねた。

北西にある、大通りと比べると、静かな場所へとやってきた。ここは、住人の家も少なく、薄暗い。その道をしばらく道なりに歩くと、古びた建物がポツンと一つ佇んでいた。多分ここが、ストーグの家だと思い、ノックしながらこう言った。


「すいませーん。ストーグさんは、いらっしゃいますか?」


すると...


「何だい?俺がストーグだけど。」


扉を開けて出てきたのは、身体全体に鍛え上げらた筋肉がついており、とても怖そうだ。


「あのー、知り合いから魔法で武器を作る鍛治師がいるっていうのを聞いて、作ってもらうかなと思って...」


「あーそうかい。ってうかあんたこの村の住人じゃねえな。誰から俺のこと聞いたんだい?」


「一応、ワズから聞いたんだけど...」


「ああ、あの子かい。最近話してないなぁ。俺が閉じこもってるもんだから。まあ、立って話すのも辛いだろ。中入りなよ。」


と、優しく歓迎してくれた。中は思ったより普通でしっかりと打つための道具が備わっていた。俺は、魔法で作るのに何であるのかと疑問に思い、思い切って聞いてみた。


「なぁストーグ、何で魔法で武器作るのに、鍛治道具がこんなにもあるんだ?」


「ああ、それはずいぶん昔のものだよ。まだ、ちゃんと素材から作ってた時のものさ。今はもう飾り物として置いてるんだ。」


「ふーん」


この人にも、ちゃんと鍛治師をやってた時期があったんだなぁ。


「ってことで、何を作って欲しいんだ?何でもいいぞ。まあ、初回ってことで無料にしてやる。」


まじか、ちょうどよかった。今は一文なしだからよかった。やっぱり片手剣かな。攫われる前もずっと剣術を練習してたし。鎧は、あまり重いものだと、行動しづらいし、脛当て程度にしておこう。


「じゃあ、片手剣と脛当てを頼む。」


「オーケー。じゃあちょっと待っててな。」


そう言うと、ストーグは奥の部屋に移動した。きっと何かの準備だろう。

....

しばらくすると、ストーグの「〈創造〉!」という大きな声が部屋全体に響いた。やっぱりワズがぃっていた通り、〈創造〉というスキルを使っているようだ。しばらくすると、ストーグが戻ってきて、


「はいよ。ご要望通り片手剣と脛当てだ。一回装備してみなよ。」


言われた通り、俺は脛当てと片手剣を装備した。正直これが魔法で出されたとはとても驚いた。


「おぉ!いいなこれ。ありがとなストーグ。」


「気に入ってもらえてよかった。また修理したい時が有れば、気軽にきてくれ。次からは料金が発生するがな。」


そうこうしている間にワズが支度をし終わったようだ。


「カエラさん!」


「おぉ、ワズ。ちゃんと装備は買えた。このストーグのおかげでな。」


そう言うと、ストーグが笑みを浮かべて、ワズに話しかけた。


「ワズ!元気にしてたか?今回は俺の店を紹介してくれてありがとな。」


「ストーグさん。いえいえこちらこそありがとうございます」


と、久しぶりの会話はとても楽しそうだ。


「じゃあ、ワズそろそろ行くか!って回復薬ないけど大丈夫かなぁ。」


そう言うと、


「私、これでも全ての回復魔法を使える一級魔術師なんですよ。回復は任せてください。そのかわり、攻撃は任せました。」


ワズ、意外とすごい奴だったんだなぁ...なんて思いながら、俺はワズに向かってオッケーサインを出した。


「2人とも、気をつけて行くんだぞ!」


俺らはストーグを後にして旅をスタートさせた。


.....と2人が去った後、ストーグは座り込んで、考えた。


「確か、ワズの隣にいたカエラ...だったっけ?俺の〈透視〉スキルは嘘をつかねぇ。ずっと気になってたんだ。あえて言わなかったけど、あいつ、秘境の地図を待ってやがる。しかもおまけに〈宝探し〉まで。あいつ只者じゃ絶対にない。レベルも90って高すぎる。何か裏があるはずだ。よし、ちょっくら「イーガスト」にでも行って、あいつの故郷「マルラ」の歴史を調べるか。


そう言って、ストーグはスフィーから遥か南にある、政治の中心地「イーガスト」へと向かった。

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