第四十三の論争 のぞき見のめんへら


ようし!お守りも買ったし後は渡すだけだよー!

おっ!ちょうどよく一人でアホそうな顔でぶらぶらしてるねー!

よーし!…渡すぞー!


いきこんでいた足が急に止まる。

さっきまで…そういうノリではしゃいでたけど…私今から告白するんだよね…

急に鼓動が早くなり口内がパサつく。

告白・・・


彼女はなかなか訪れないせっかくのチャンスを逃してしまった。

そもそも彼がひとりでいること自体が珍しいのだ。

「どーしたの?一人なんて珍しいね♪」

先ほど彼女に威圧してけん制をかけてきた女子は打って変わって猫なで声で彼に話しかける。

「ん?ああ、あいつら全員迷子になったみたいで一人で探してたんだ」

「もー♪それってキミのほうが迷子なんじゃないのー?」

「…そうだったのか」

「意外とおっちょこちょいなんだねー♪」

彼女は指をくわえて木の陰から見届けるしかなかった。

彼が仲良く楽しそうに女子と会話をする光景を

彼のその不機嫌そうな顔から察するに告白を快諾するだろう。

「…まあいつもはあいつが俺を引っ張っていってくれるからな」

「あいつって…」

「ああ、いつも煩わしい幼馴染を語るアホだ」

自分のことを話題に出され体がびくりと動く。

「ああ…あの子ねー♪でもいつもうるさくてキミの周りにずっとついてきて迷惑してるんじゃないのー?私が距離を置くように言っておこうかー?」

「…いいや、それは困るな」

「「…え?」」

少し声が漏れてしまったが二人の声が重なったおかげで違和感は言うほどなかった。

「俺はあいつに完全に依存しちまってるからな、あいつがいなくなったら俺の通知表の数が自然数じゃなくなる」

「そ、そっか~でもそれは利用してるだけでしょー?」

「だ、だったら私が代わりにキミの世話を焼くよー?」

「…いいや、俺はあいつがいい」

「確かにうるさいしうざいしすっげえ怖いけど…」

「なんというか…その…」

「かわいいだろ…?あいつ…」

「そ、そっか…わ、わたしキミの班の人を探してくる…」

告白の出鼻を折られもはやジャバラになってしまった彼女は涙目になりながら逃げていった。

「…結局なんの用だったんだろ…」


え…?

「か…かわいい…?」

「なんというか…その…」

「かわいいだろ…?あいつ…」

彼女の顔が真っ赤になる。

「か、かわいい…」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

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