第四十三の論争 はじめてのめんへら


「もー!!やっぱり私と話してくれなかったじゃーん!」

「寂しかったんだからねー!」

「オメーも友達かなんかと話せばいいじゃねえか」

「それにオメーバスの中でずっと寝こけてたぞ?」

「それはキミが話してくれないからだよー!!」

まあ話してくれてても寝たふりしてくっつこうとしてたけどねー…

「ったく…じゃあ俺は違う班だしもどるぞ…オメーもちゃんとしろよ?」

「ああ…もう!」


彼が彼女に離れた刹那の隙にクラスの女子に肩を叩かれる。

「彼を狙ってるの?」

「い、いやー…そんなことないよー…」

「…そう!よかった!彼は私が狙ってるんだから邪魔しないでよね?」

「え…?」

「幼馴染だか何だか知らないけど、あんなにくっついちゃってさ、まったく…卑しい女だよ」

「ひぃぃ…女子中学生が使うような言葉じゃないよぅ…」

「とにかく!今日の修学旅行で私彼に告白するから!邪魔しないで?」


…もたもたしてたら…先を越されちゃう…

それに…私が彼にさんざんモテないとか言っちゃってるから…絶対了承しちゃう…

でも…そっちのほうがいいのかな…

私と付き合ってくれるわけもないん…だもんね…

今だって彼は幼馴染ってだけで私と居てくれるだけなんだもん…

でも…なんで…わかってるのに…

そうやって言い聞かせなくちゃいけないのに…

こうやって考えてると…胸が張り裂けそうになって…


・・・いや、なんで彼を取られなくちゃいけないんだろう


そうだよ…なんで私が邪魔になるの?


邪魔なのは…あっちだもんね


彼は…私の…


彼は私のものにしたい…誰にも渡したくない…もし私が彼の彼女にふさわしくなくても…

他に…私のほかの女を…選んでほしくない…


私のものだ


この時に初めてメンヘラが芽吹いた。


クラス全員で伊勢神宮へと向かう。

彼は彼女を見捨てて男友達と性懲りもなく話しながら歩いている。

しかし彼女は自分の班に紛れて歩くわけでもなく彼を徹底マーキングするわけでもなく一番後ろの離れたところで歩いていた。

誰にも知られたくない見られてはいけない計画があったからだ。


私は…今日ここで告白する!

まずは恋愛成就のお守りを買って彼に渡す!

それで「やっぱり効果覿面だよーなんでかってー?ほら、好きな人と一緒にいられるからさー」っていって彼に渡すんだー//

よし!完璧な作戦だよー!

問題は私以外の彼を奪おうとするハエをどう追い払うかだねー…

まあいいや、後で彼のズボンを下ろしてドン引きさせてけん制させよう、彼もいつも裸でうろうろするし多分問題ないよねー

どうせ羞恥心なんてないだろうし、


「!?!?!?」

「んあ?どうした?」

「い、いや…なんだか悪寒が…」

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