第二十五の論争 新たなメンヘラの出現

「君にとって私って何?」

どうやらとても濁った眼をしている、それに聞いてくる文言から察するにこいつは何かを考えているうちに自己嫌悪に至ったか?いや…早計だな何かしらが見つかったか?

そう言えば以前中学生に告白されたな…だがこのアホに知りようがないだろうしな…。とりあえずジャブ程度に冗談が通じるか試してみよう、その反応次第で怒りか病みかわかるしな。

「…チー鱈って焼いて胡椒振るとうまいんだぜ?つまみに最高だ」

「ははは…そうだよね…こんな私嫌になっちゃうよね…」

なるほどな?これは純度百で病んでるな…何かフラッシュバックでもしたか?よく見てみれば手に力が入らないようにぶらりと下がっている…ただ俺の話を聞いてないってのは腹立つな…。

「ああ、嫌いだ」

「ぐすっ…ひっぐっ…」

「おいおい…誰にやられた?」

「きみ・・・」

「そうかで、誰にやられた?」

「…サイコパス」

「そうかで、誰にやられた?」

「ううぅぅ・・・・」

「顔をこっちに向けろ」

「ううぅ…ぐすっ…」

「オメーは悲しいだろうが…俺は気持ちいいぞ?つまり何にも問題はない」

ああ、また強く泣き出した…ゾクゾクするな…こいつのこんないい顔は…誰にも見せるものか。

「都合の…いい女でもいいから…今は…ひとまず今は…抱きしめて…!」

面倒くさいくらい病んでるな…まあいい…俺はひとしきり満足したからそろそろ話を聞くか…。

「で?なにがあったんだ?いままで大概なことをオメーはやらかしたが見捨てるなんてことはなかっただろ?安心しろって」

「ううぅぅ…本当?」

「本当じゃなきゃこの前水切りして間違えて財布投げた時に川に飛び込んで探さねえって」

「うん…そう…だよね…いつも君に迷惑かけてばかりで…」

うっっわめんどくさ。

「なんで…そんなに病んでるんだ?」

「別に…これと言って…理由なんてないよ…」

瞬きを二回続けてしたな…精神的動揺が見られる…原因はなんだ…?そういえば力の入ってない手でスマホを弱弱しく握っていたな…

ネットで何かそういう記事を見たか…?、いいや…あいつは自分の都合のいい情報しか入らないからな、となればラインで…いいや匿名性に欠くな…。

ん…?わずかに右の頬に涙の伝っている量が多い?そうか…となれば…。

「電話でなにかしら言われたか?」

「・・・!!」

「・・・・やっぱり君にはかなわないね…」

やはりか…こればっかりには俺も頭を抱える…何しろ俺にも責があるからな…。

「また…君には私は釣り合わないって…別れろ…て…うぅぅ…」

「なるほどな…確かに釣り合わないかもな」

「・・・え?」

「俺にはもったいないくらいの女性だぜ?」

「そうだな…いつもならこっぱずかしくて言えないが…」

「オメーはよく自分のことを魅力がないって言うけどな…」

「笑えない冗談だ…今すぐにやめろ」

「俺がいつもオメーをどんな目で見てるのか…わからないのか?」

「次にそんなことを抜かしてみろ…着衣を禁止する」

「君が…本気で怒ったのを…久々にみたよー…」

「最後に怒ったのは…私が電子レンジで生卵を温めた時だね…」

「今となれば笑い話さ」

彼女の顔が少し綻ぶと同時に気が軽くなったことを彼が確認すると物腰を柔らかく変えた。

「次から…電話がかかってきたら俺に渡せ…いいな?」

「でも相手は公衆電話からかけてきてるんだよ?」

「関係ない…本気の俺を…」

「舐めるなよ?」

コイツの前ではかっこつけるけどほんとは俺も一人になったとき目線を感じてるからな…しつこい奴は嫌いなんだ。

これは…長くなりそうだな。

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