第二十三の論争 コーヒーVSビール党
「いつも君はキャラメルマキアート飲んでるよねー」
彼女は買い物が終わるのを待ってベンチに腰かけていた彼に話しかける。
「ん?もう終わったか?」
「君はずいぶんと安上がりで時間をつぶすのが得意だねー」
「・・・ほんとは買い物デートしたかったんだからねー?」
「そうは言うけどよ…食料品を一緒に買っても楽しいか?」
「こういうところこそ一緒にいたら夫婦みたいでいいんだよー、やっぱり乙女心のわからない童貞だねー」
「俺別に初めての相手お前じゃねえぞ?」
「・・・・つまらない冗談はやめてよ…ね!!」
「オメーにとってはつまらないかもしれないが俺はたのしかったぜ?」
「まったく…そんなんだから陰で哺乳類って呼ばれるんだよー?」
「事実だからいいっての…」
「私にもヒトクチ頂戴?」
「ん」
「うっひょ~!飲みかけペロペロ気もぢい゛い゛!!!」(やっぱり甘いねー)
「・・・・・本音と建前が逆でもこれは嫌なんだが…」
「それにしても君ってコーヒー全く飲めないのにそればっかり飲んでるよねー」
「コーヒー飲めないからこそこういう甘い奴を飲むんだ…苦いのは現実だけで十分だからな」
「そう?じゃあ私がもっと君の現実とやらを甘くしてあげるよー?」
「オメーは苦い側の人間だ」
「でも味も確かに大事だが…人通りのあるところでコーヒーを飲む自分というものに酔ってるってのもあるかもな」
「確かに…君がコーヒー飲んでる姿は絵になってたよー」
「でも…いつもの君の姿を知ってる立場としては…少し台無しかなー…」
いつもの彼
「コーヒーいるー?」
「ブラックやんけ!そんな泥水をすすらせようってか!」
「紳士さをそぎ落とした英国男性か?」
「確かにそうかもな…だがあんなもの飲めたもんじゃねえ…」
「でも君はあんなにビール党なのにぐびぐび行くじゃん」
「私からしたらビールなんて苦いものよく飲めるよねー」
「ったくこのバカ舌め…ビールには麦芽の甘みってのがあんだよ」
「そんなこと言ったらコーヒーにだって豆の風味が…」
「俺はその風味もそこまで好きじゃないんだよ…」
「それは君の舌がおこちゃまなんじゃないの~?」
「うるせえなー…別にいいだろ?」
「それにコーヒーはさっきキミが言ったように風情とか大人びた恰好良さとか嗜好性があるじゃん」
「それに比べて…ビールなんて連想できるものなんて薄汚れたおっさんじゃん!」
「まあそうかもなー」
「認めましたね?」
「ん?まあ…そうだけど…?」
「これは私が討論で勝ったってことかな?」
「はぁ?そんなの認められるわけねえだろ…」
「キミだって前同じようなことをしたじゃん!(第二十一の論争 ショート論争より)これだってコーヒーとビールはどっちが優れてるかじゃないの?」
「ったく…まあ前のがあるからな…でなんだよ?」
「私の気が済むまでキスさせて?」
「…なんだ…ずいぶんとかわいらしい願いだな」
「えへへ…じゃあかがんで?」
「はぁ?今からかよ!こんな人の往来があr」
「むぐっ!!んんん!!!」
客「わー…あんなに激しく…」
客「最近の若いもんは…」
カップル客「みて!あんなに熱烈に…」「それじゃあ俺たちも…」
(息が…できな…)
3時間後
「あ…脈がない」
「・・・・・・・・・」
「遠回しに脈なしってことを伝えてるの?」
「ゆるさない!!」
彼は二度死ぬか?
いいや死ぬのは奴らだ。
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