第二十の論争 現金派VSカード派②
彼は負けを認め彼女の勝利が決まった。
「えへへ…勝ったんだね?それじゃあ約束通りに・・・」
「ああ…負けたことは認めるさ…だがな…金はねえんだ…」
「じゃあ!体で払ってもらおうか!嬢ちゃん」
「やっすいAVみてーなこと言いやがって…話を最後まで聞け」
「買えなかったのは理由があってな?」
彼はおもむろに袋を渡す。
彼女がトイレに行っているときに何かを買ったらしく今日一日持ち歩いていた。
彼が袋の中のものを取り出すとラッピングされた箱があった。
「?誰かに贈り物をするの?ずいぶんと豪華なラッピングだけど…」
「ほんとうは帰ってから渡したかったのだが…」
「おら…オメーへのプレゼントだ…」
「ええぇぇ!!!!」
箱に施されたラッピングを丁寧に慎重にはがすとブランド物ではないようだが本革を用いた高級そうな財布が入っていた。
「一万弱もしたぞ…少し早いが…誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントってことで…」
「嘘っ!!!うれしい!!ありがとう!!」
興奮のあまり飛び跳ねる彼女を尻目に彼は照れくさそうに言った。
「そんなに喜んでもらえたのなら…奮発したかいがあったってもんだ」
「ありがとう!!だーーーーいすき!!」
「うぉっと…飛びついてきやがって…」
彼は顔を赤くさせて迷う表情を見せたのち彼女を軽く抱きしめ返し小さな声で
「・・・・・・・俺もだよ…」
「え?」
彼と彼女の顔が一斉に赤くなる。
「ねえねえ!今なんて言ったの?聞こえなかったなーもう一回言ってほしいなー?」
「ったく…なんてやろうだ…」
「えへへ…」
にっこりと幸せそうな無垢な笑みを彼に向けると彼は直視できないまぶしさを感じふと目をそらした。
彼女は帰り道に彼と手をつないでるんるんと幸せの絶頂にいるというのを全身で表現するかのようにスキップで帰っていた。
彼たちを暖かく見守るように落ち行くすっかり寒くなった夕日が彼らを照らしていた。
西日の逆光で後ろからは彼女たちのシルエットしか見えなかった。
服屋の店員「買わねえくせに店の前でイチャイチャするな」
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