第二十の論争 現金派VSカード派
彼らはまたもショッピングデートに足繁く通っていた。
「あっ、このコートかわいいー!」
「かってに買えよそんなもん」
「もー…冷たいなぁー…たまにはプレゼントしてくれてもいいじゃーん」
「たまにラーメンとか食う時におごるだろ?」
「でも女性ってプレゼントに弱いんだよー?」
「そうか、吸血鬼が十字架に弱い理論だな?」
「ちょっと何言ってんのかわかんない」
「それでも俺の女か?幼馴染か?そんなにボヤボヤ生きてるとカイワレ大根が頭からはえるぜ?」
「自給自足できて上々だねー」
「俺だって金がねえんだテメエで買いな」
「私はいつも家事とかで助けてるんだからーこのくらいいいでしょー?」
「お互いに価値を求めるようになっちゃオシメーだな」
「それに…ここ現金のみか…俺はカード派だって知ってただろ?」
「確かに払えないってのはわかってたけどさー」
「そうだ!じゃあカード派と現金派で討論しようよー」
「私が買ったらコートねー」
「俺が勝ったら別れてくれ」
「・・・・え?」
「なんで…?」
「なんでそんなこと言うの?」
「冗談なのはわかるよ?でもなんでそんなひどいこと言うの?」
「ねえなんで?」
「なんでなんでなんでなんでなんで」
「・・・ごめんて」
「じゃあ君が勝ったらちゅう♡してあげるねー」
「今回は報酬なしかー…」
「なんかいった?」
「いいえ」
彼らのいつもの周波数のかけ離れた高度なやり取りの中で討論が起きてしまった。
「なんで君はカードなの?」
「んー…俺のは歳が歳だからデビットカードなんだが…」
「やっぱりタッチ決済の魅力だろうな…」
「でも口座とかにいちいち入金とかしなくちゃいけないから結局どっちも同じくらいの手間じゃないの?」
「だってよくキミ口座に入金してくるって出かけるじゃん」
(・・・ほんとうは女友達と密会してたりする言い訳に使ってるんだけどな)
「なんだか…いきなり君を殺したくなってきちゃった」
「さすが幼馴染だな…だてに長年連れ添ってねえ…」
「でも口座に入れたら現金を管理しなくてもよくなるだろ?オメーこそよく物をよく無くすんだし心配だろ」
「甘いな…カードのほうがなくしそうなんだ!(ドヤァァ)」
「いばるな」
「現金のほうが管理も簡単だしねー」
「カードもそんなに変わんねえだろ」
「慣れてないからたぶん現金のほうが楽なんだと思うよー」
「それに私たぶんキャッシュレスになったらお金を使いすぎちゃうと思うからねー」
「確かになんも考えてなさそうだしな」
「なんか今日の君あたりが強くなーい?」
「あとは…そうだな…ポイントがたまるとかか?」
「それとネットで買い物をするときはカードじゃなきゃいけないんだし」
「でもそれで得られるのなんて微々たるものじゃん、それにもカードが使えないところとかが問題じゃないの?」
「今回みたく使えないところもあるんだからさ」
「でも現金が使えないところはないんだよー?」
「う…」
「それに所詮現金がなかったらカードも使えないじゃん」
「カードなんて現金を保存している媒体にしかすぎないんじゃない?」
「ということは現金のためにカードにしてるんでしょ?」
「じゃあ現金のほうが上に属するんじゃない?」
「今日は…ずいぶんと強いな…」
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