第十九の論争 現代の彼ら
彼は薄暗い彼女部屋で目を覚ます。
「ッツ…いたた…」
「おはよう♪」
「なんだ…どうなってんだ?」
「さすがに蛍光灯で頭パリーンはきつかったかー」
「そう…だったな…」
意識を刈り取られた彼の前には彼が夢の中で見ていた過去の彼女とは打って変わってすべてが大きくなった彼女がいた。
「なあ…悪かったよ…凍った柱を舐めさせて寒中放置したのはあやまるよ」
「私まだベロ痛いんだからねー」
(あれすっげえおもしろかったな…またやろ…)
「私そのことで怒ってるんじゃないんですけど…」
「え、じゃあなんだろ……あっ!わかった!」
「クラスの女子に膝枕してもらったことだろ」
「・・・・・・ふーん」
「え」
「そうだったんだ」
「あ」
「そのことはあとで詳しく…」
「あ」
「知ってる?人間って2,5リットル出血したら死ぬんだってー」
「2,49リットルまでにしなくちゃねー…」
「わかりやすく墓穴を掘ったな…」
「で?…何で怒ってんだ?」
「わからない?」
「うん」
「まあ無理もないかー…」
「正解はね…」
「どうして…私の誘いを断るの?」
「え」
「こないだ私お願いしたよね…」
「私をこの木の板で尻を…ハアハア!!…赤くなるまで…罵りながら…叩いてって…ハアハア!!…」
彼女はどこから取り寄せたのかパドックのようなものを片手に激しく息を漏らしていた。
「私…!ダイエット頑張ったんだから!ダイエット成功したら…君が言うこと聞いてくれるんでしょ?」
彼女は確かに言い張るだけのことはあり先月と比べてもずいぶんと痩せていた。
「ああ…確かに…頑張ったな…」
「でしょ!ほら!はやく!!」
「俺は…そうやってぐいぐい来られると…萎えるんだよ!」
彼の手には先日発見した中学時代に撮った彼女とのツーショット写真が握られていた。
(…拝啓、中学時代の俺へ…お前に恋焦がれています。)
彼は目を覚まして現実に戻るのではなく過去の世界で楽しくやってたほうが気が楽だったのかもしれない。
部屋を掃除しているときに出てきた思い出の写真の中に…入れたのなら…
「ほら!はやくっ!!」
目をハートに輝かせ口からは興奮のあまり唾液が綻び出てきていた。
彼としてもその手のプレイはお好みだったが、彼女がすこし気持ち悪いように思えた。
(あの頃の…こいつはかわいかったな…)
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