ちゃんとした論争 悪筆②
こうして討論になったときには彼が沈黙を掻っ切るのは決まっているのか彼が切り出した。
「オメーは俺の字を見て汚いと思ったのかもしれないがな、俺はこの字が綺麗だと思うんだ!」
「それはない」
「いいや、オメーの言っている綺麗な字ってのは、ほかの人の字と比べて形が綺麗だとかわかりやすいとかだ、
だがそれは、形の整い方がほかの人より相対的にきれいなんだ、俺から見たら俺の字はほかの人より力強さがあり相対的に綺麗だ。」
「つまり絶対的に綺麗な字はないんじゃないのか?」
「こいつは、こういった書体が綺麗に感じるしかしこいつは…って感じでな?」
「するとどうだ?それは綺麗な字ではなく、好きなフォントの字の話になるということだ」
普通ならばすでに彼の矢継ぎ早に紡がれる屁理屈に圧倒されて戦意喪失をするだろう、だが彼女は腐っても幼馴染こんなものには慣れ切っていた。
「でも…仮に綺麗という概念、定義が使えないとしても君の字は読めないじゃん?」
「そしたら君は草書体は読めないけど美しいものとして~とかいうんでしょう?」
「読めないんだから不便だよね?この紙は人に見せるものなんだから」
「…フッ、流石だな一筋縄ではいかないか…」
「私だって討論は強いほうなんだからねー」
「だが…甘いな…俺は綺麗か汚いかで言ってるんだぜ?」
「だから君がさっき綺麗って定義はないって言ってたんじゃん」
「いいや…一つあるな」
「な、なに?」
「綺麗というのは世間からの総評価だろう?」
「つまりみんなに綺麗かどうか聞けばいいんだ」
「はん!何を言い出すかと思えば…そんなのは火を見るより明らかだよー?」
「じゃあ聞いてくるぞ?ついてこい」
「おいリョナ公」
両那「うん?」
「この
両那「…綺麗?」
「ひ、卑怯だぞー!!!」
「なんだよ?言ってたか?字の指定があったか?」
「これをクラス全員にするだけだ、時間の無駄だが続けるか?」
「もう…いいよ…君にはかなわないよぅ…」
「俺に勝とうなんて2秒早いぜ?」
「僅差やんけ」
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