ちゃんとした論争 悪筆

「それじゃあ今日までに進路希望を出すように」

先生のあまりやる気のないのか腑抜けた声が生徒を促す。

「あーー…めんどくせぇー」

「あれっ?もう書き終わったの?」

腐ってる彼に進路希望の紙を書きあぐねている彼女がひょこっと彼の紙を見てくる。

「あー?オメーはまだかけてねえのか?絶対お嫁さんって書くなよ?」

「ざんねんっ!もうそこだけペンで書いちゃった♪」

「あぁ…そう…じゃあ第二希望に総理大臣って書いときな」

「まぁまぁ、そんなめんどくさがらないのっ」

「なんでこんなのを書かせられるのかねぇ?めんどくせえったらねえよ」

「まあ確かにそうかもねー(ガサガサッ…ベリッ!)」

彼女は賛同しつつも腹が減ったのかパンの袋を開ける。

「だーかーらー!!くーうーな!!っての!!」

「ぱくっ…もぐもぐ…」

「おらっ渡せ!」

「あぅぅ…かえしてよぅ…」

「かわいくてもだめ!」

「えへへ…」

「えへへ…」

お互いにやけあう。

「おーい、キモオター!」

キモオタ「ぐふっ…呼びましたw?」

「はいこれコイツの齧ったパン2万な?」

キモオタ「えふふっ…えふw…えふw安いもんですな~」

「まいど」

「私は君が喜んでくれるなら…」

「逆に一番罪悪感が強くなるから嫌がれ」

「ていうか…そんな字で出すの?」

彼の書いたつぶれまくった字を見て唸るようにそう呟く。

彼女としては小学生の頃からも見慣れている速度を重視するあまりになんとも完読不能の文字群、その解読不能さはまるで天狗の詫び文といえる。

「チッ…あぁ?なんか文句あんのか?」

「よーめまーせーん!」

「久々にやんのか?テメエ…?」

「いいよー…私もしてほしいことがあるからねー」

「それじゃあ俺が勝ったら…完全なカロリー管理と俺の字に文句をつけないことだ」

彼女の余裕の笑みが少しゆがむが彼女もなにか爆弾を抱えているのか元の笑みに戻る。

「い…いよ?私が勝ったら…うふふ♪」

「あくまで手の内を明かさないつもりだな?」

「まあいいだろう、この勝負…もらったぞ?」

彼としても幼いころからずっと言われてきたのだろう、対処法は完璧にできていた。

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