第七の論争 珍しい純愛
一人の能動的な女性を先頭にクラスの一同がそろっていた。
大きく定員割れをした高校のためそこまで人数はいないがそれなりにクラスの割合としてはかなりの頭数がそろっていた。
ギャルA「さっきの授業のあれはいったい何なの!!!?」
甲高い声で尋問が始まる。彼女はあまり人付き合いが得意とはいいがたい、そのためそれなりの人数に圧倒されてたじたじと
した様子で質疑応答を始める。
「えっ、あっ、あのー…」
ギャルA「なに!!?聞こえないんですけどー?」
「な、なんで彼じゃなく私にきたの?…ですか?」
彼女の自信のなさと社交性の無さがかなりでてしまい、おもわず敬語で話してしまう。
するとクラスの一同が異口同音に同じ返事をした。
「「「「あいつに口喧嘩で勝てるわけねぇからだよ」」」」
「ひ…ひいぃぃぃ…」
女A「悪いけど…まあこれが普通の反応だよ?彼もそれなりにモテるんだから行きどころのない嫉妬心の矛先になるんだよ」
「そんな~…」
「そういうことよ!ほら!聞かせてもらおうじゃない?言い分ってやつを!」
大勢に詰められて恐怖を抱いていた時になにか走ってくる影が見えた。彼女にとって地獄に降りた光る一本の糸のようにも思えた。
A「にしてもなんで授業中にやるんだよ」
「いや…暇だったし」
両那「サイコパスかな?周りの目とかさ?どうなの?」
「なんで俺がそんなこと気にしなくちゃならんのだ?世界は俺を中心に回ってるんだ」
A「なんか…すっごくうらやましいな…お前…」
「んぁ?皮肉か?ずいぶんと出世したもんだな?」
「昨日のことを話してたらなんかまた甘えたくなった…もういいやあいつ拉致って早退しよ」
「ああ…我慢できん…」
そう言い残すと彼は走り去っていった。
両那「あいつほんとすごいよな…」
A「うん…俺あいつより人生楽しんでるやつ見たことないわ…」
両那「本人の気の持ち方で人生の角度が変わるってか?」
A「認めたくねえな」
両那「そんなもんだろ」
「あ、人だかりができてると思ったらあいつおるやん、みっけ」
詰め寄られてそろそろ泣きそうになっている幼馴染を膝カックンの要領で腕で押し倒し何の抵抗もなく落ちていく彼女のお尻を腕で彼の身体に入り込むようにすくい上げ、あれよあれよの間にお姫様だっこになっていた
「よっ、早退すんぞ」
「ほえ?」
彼女はさっきまでの状況と今の状況の差があまりにも熱烈だったためかきょとんとした顔のまましばらく抱えられていた。
そして学校を出ていつもの通学路に入ると彼女はその状況に甘んじることとなった。
彼に抱きかかえられてぬくもりを共有する、ちゃんと普通のラブコメともいえるだろう。
(ち、近い~ドキドキする…)
(さっきは私を助けに来てくれたんだ…やっぱり私…彼に助けてもらってばっかで…彼無しでは生きていけない♡)
「なあなあ…そろそろ自分で歩いてくれよ…」
「やーだ♡家までだっこ♪」
「でもさー…ちょっと重t…」
「あ゛あ゛?」
「今の私はミサンガが切れてるってのを忘れんなよー?」
「い…いやー…か、軽いなー(棒)家まで抱きかかえるのも楽々だなー(棒)」
「じぃ――――…」
「な、なんだよ…」
「うふふっ♪私今とっても幸せだよー?」
「お気に召したようで…っと」
「ほら到着ひとまず俺の部屋だな…」
「もう着いちゃった?」
「はい、残念っと」
彼女を腕からおろすとふてくされたように頬を膨れ上がらせる。
「ふふ…かわいらしいな…」
といい頭をなでると少し顔を赤らめつつも嬉しそうにしている。
「そうだ、ちょっと頭をさげて?」
「申し訳ありませんでした…」
「そういう頭を下げてじゃなくて」
「慣用句じゃなくて物理的にだよー」
「あいあい…こうかい?」
めんどくさそうに背の高さに合わせると彼女が軽く背伸びをして彼の頬に
「ちゅっ…♡」とフレンチなキスをした。
彼らにとってキスは慣れているだろうにこのキスに関しては破壊力が絶大だった。
彼も思わずキスされた頬を撫でる。
これから彼女に甘えようとしていたが計算高い彼の脳内はすでに甘々になっていた。
「えへへ…それじゃ、私はコーヒーでも入れてくるよっ♪」
「あ、ああ…」
彼のリョナ心に純愛が勝っていた。甘くて甘いキス。
彼はあまりコーヒーは好きではなかったがやけに甘く感じた。
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