第22話 End of September (文化祭当日)
俺は緊張していた。ものすごい緊張していた。なぜなら、入船坂90の「炭酸レモネード」を完コピで、みんなの前で披露するからだ。大体、なぜクラスの男子だけで何かパフォーマンスをやろってなった?
竜二と大地がノリノリで決めたのだけは覚えてる。
ここ毎日、勉強、お化け屋敷、木崎のことで忙しいのに、休み時間全部使っても、やっぱり俺は覚えれなかったぞ。でもまあ三列目の右端だから目立たないか。
こないだ知り合った後輩の木崎も見に来るって言ってたし、お前にだけはこんな姿を見られたくなかった。女子の制服姿、しかも化粧して。
舞台裏で「俺たちなら出来る、俺たちなら出来る」ってぴちぴちのシャツ着て、腹みせして、スカートめっちゃ短く履いて、カチューシャして、口紅塗ってる竜二、お前に言われてもな……
出番を待つ舞台袖から玲花が歌ってるのが見える。南野ルナの「さよなら、でももう一度」を歌いあげる声に観客めっちゃ浸ってるし。玲花、歌うまいからな。てか、俺らをこの後した文化祭実行委員会、絶対恨む。
でも、練習で大地があんなに生き生きしながら、踊れるって知れたのは収穫だな。他のやつからも大地すげーじゃん、ってめっちゃ褒められてたし。しかも振り付け指導もしてたし。女子の制服も似合うしな。あれは確かにセンター張れるな。
「菊池玲花さん、ありがとうございました。次は3ー7組の男子によるパフォーマンスです。一生懸命練習しました。みんなのために踊ります。だってみんなのアイドルだから」
おい、誰が考えた、このセリフ。竜二、絶対お前だろ。やべ、みんなステージに上がり出した。
「聞いてください、入船坂90で『炭酸レモネード』」大地の声かえと共に、曲が流れた。
出だし レモネードが好きな君を 僕は横にして 何を頼む
間奏 レ レ レモネード レ レ レモネード
Aメロ 暑い日差しが 君をまっすぐ ここへ連れてくるよ
余計なものなんていらない かももしれない 好きなんだ
Bメロ シュワシュワの空気で シュワシュワの気持ちで
それがあればいつだって どこでも エンジョイサマーさ
サビ 炭酸のレモネードが好きな君を 僕は横にして 何を頼む
炭酸のピンク色をした君の頬 僕は横にして 願うことは
そっと 横顔に キスをしたいんだ炭酸レモード
やばいやばい、ウケる、ちょーかわいい、すね毛剃ってる、そんな言葉が踊りながら耳に入ってくる。だが、サッカー部の後輩たちが合いの手を入れてくれたおかげで、会場は大盛り上がりだった。
木崎は木崎で、踊りながら一生懸命見てやったのに、一瞬笑顔で手を降ってくる以外は、ずっと携帯でムービーを撮ってたしな。
踊り終わると、大地は他校の女子と男子に囲まれていた。竜二はというと、まじウケるんですけどーって言われながら、ポーズを撮って、ギャルの未来たちに写真を撮られていた。
TWINに木崎からムービーとメッセージが届いた。
【かっこ可愛かったですよ 笑 僕も一緒に踊りたかったです】
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