第15話 八月初旬 <東京編2>
え、え、え、二人っきり? うそ〜ん。大地と今晩二人っきりだってよ。俺は理性を保てるのか。春樹め、こんな仕打ちを俺は受ける筋合いは……これは仕打ちなのか……いや、チャンスだろ、チャンス。これは大地を独り占めする千載一遇のチャンスだ。俺はあの「二人っきりだね」と大地から言われてからエロいことしか考えれなかった。
「竜二、俺、先に風呂入るよ」
大地が片手に着替えを持って、風呂場へ向かった。
「お、おう」
風呂に入るだと。よし、テレビ見よ、テレビ。俺はテレビをつけた。テレビに集中しようとしたが、だめだ。シャワーの音が気になる。目を風呂場の方に向けると、風呂場のドアの前にピンクのボクサーブリーフが落ちている。
「だめだろーこれは。流石にだめだろー。反則だろー」
俺は小声で言った。もう何も集中できないので大浴場へ行き水風呂を浴びようと考えた。幸いにもこのホテルには大浴場があった。
「大地、俺、大浴場行ってくるわ」
風呂場のドアの前で叫んだ。
「わかったー。竜二さ、ごめん、パンツどっかに落ちてない?」
「落ちてる」
落ちてるよ、落ちてるよ、そりゃー目の前に落ちてるよ。ピンクの艶感が出てる、ツルツルの小さいボクサーブリーフが。
「ごめん、拾って渡してくんない?」
「ピンクのやつ?」
なぜ俺は確認したのだ。明らかに大地のしかないだろう。
「そうそう」
「ドア開けるぞ」
俺が開ける前に勝手に開いた。
そこには熱いシャワーを浴びたのか、頬や耳が赤くなってる竜二がいた。
「ありがとう」って言いながら、大地は俺の手からピンクのボクサーブリーフを、少し恥ずかしそうに奪い取り、ドアを勢いよく閉めた。下半身はもちろんバスタオルで隠されていた。
俺は何をチェックしてるんだ、と考えながら、急いで大浴場へ行き、水風呂に浸かった。
大浴場から帰ってくると、大地はブカブカの白いTシャツにあのピンクのボクサーブリーフだけ着て、エキストラベッドの上でairpodsを耳につけ、音楽を聞いていた。うつ伏せになりながら、携帯をいじっている。ツルツルしたボクサーブリーフに包まれているプリッとしたケツが、水風呂の効果がなかったかのように、俺の性欲をさらに掻き立てた。
パジャマとしていつも使っていた青色のサッカーパンツが一気に膨らんでしまった。大地に見られないように、俺はすぐにベッドの中に入った。
「てか、なんでお前、ズボン履いてないんだよ」
「ズボン、忘れた」
「お前、意外とおっちょこちょいなんだな」
エロいだけでなく、大地は本当に可愛いと再確認した。
「う〜ん、家だといつもこれで寝てるし」
その情報もっと早く知りたかった。大地がAirPodsを外さないので俺は聞いた。
「何聴いてんの?」
「入船坂の新曲、竜二も聴く?」
「うん、聴いてみたい」
俺はただ大地のことをもっとよく知りたいだけだった。
大地はダブルベッドに寝そべる俺の横にきてうつ伏せになり、片方のAirpodsを俺の耳に付けてくれた。入船坂も悪くないな、意外といい曲じゃんと感じた。
「タイトルなに?」
「君に伝えたいことがある」
聴きを終わると、大地にAirpodsを返した。
『君に伝えたいことがある』入船坂90
Aメロ ここにもし ぼくがいたら キミは何を伝える
ここにもし ぼくがいたら キミはなんて思うだろ
Bメロ 人の気持ちなんて 誰も 分からない
いつか分かって欲しいだなんて いつか知って欲しいだなんて
サビ でもキミには言って欲しいんだよね ボクのことを 好きだってさ
でもキミには聞いて欲しいんだよね きっとそれが 答えになるよ
キミの隣にいたい キミの側にいたい キミのために生きたい
キミの隣にいたい キミの側にいたい キミのために生きたい
キミに伝えたいことがあるんだ
「てか、このベッド、気持ちいいね」
俺の方を見ながら大地が足をバタバタさせている。
「大地、一緒に、寝るか?」
「うん」
ちょっと高い声で頷き、ベッドの中に入ってきた。俺は唾をゴクリと飲み込んだ。
「お前、もう眠たそうじゃん」
大地の目がウトウトしてたので俺は一応、聞いた。
「う〜ん、今日は疲れた」
「じゃあ、もう寝るか?」
俺はTシャツを脱いだ。
「え? なに脱いでんの?」
「いやこっちの方が気持ちいいし。ほらクーラーガンガンかけて、布団の中に包まるのがさ」
「それ、わかる」
「お前も脱げよ」
「脱いだらパンツだけになっちゃうから」とか文句を言いながら、大地は一旦ベッドから起き上がり、Tシャツを脱ぎ、プリケツを露わにした。丁寧に脱いだTシャツを畳んでエキストラベッドの上に置いた。その後、大地はベッドの中に入って、俺に背を抜けるように窓の方向いて、寝る体勢に入った。大地のが少し膨らんでるのも見えた。
俺は、自分の身体を大地の方へほんの少し移動させ寄せ、後ろから抱きしめた。
嫌じゃないのか、俺の腕抱きしめた。大地の髪からはまたイチゴの甘い香りがした。
「大地、シャンプー持ってきたん?」
「うん」
「お前、もう眠たそうだな」
「うん、今日は疲れた」
大地の目がウトウトしてる。
「電気消そっか」
「うん」
俺はすぐに部屋の電気を消した。
布団の中でお互いの小指が当たり、絡めあう。自然と手を握り合い、向かいあった。大地が俺のことを見つめている。暗闇でもわかる。
「竜二、おやすみ」
「おやすみ、大地」
君に伝えたいことがある……か。
俺は大地のおでこにキスをした。
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