第3話 心残り

その前に2つだけ、心残りがあった。1つは死のうと決めたときから生まれた心のもやもや。このもやもやの正体が知りたいと思った。2つ目は“生きる”という意味。人はなんのために生きるのか、どうしても知りたかった。


この2つを知るために、ぼくは本をたくさん読んだ。読んで読んで読みまくった。この世界とは違うもうひとつの世界。だけどぼくたちが生きている世界とも繋がっている世界。だから本を読んだら答えがわかるかもしれないと思った。


そんなとき、ぼくは1冊の本に出逢った。

ぼくと同い年の子が病気で生きたくても生きられない。でも、せっかく神様から与えられた命だから最後まで一生懸命生きる。どんなに辛いことがあっても生きることを決して諦めない。そんな女の子の話を書いたノンフィクションの話だった。


この本を読んだとき自分がすごく恥ずかしくなった。ぼくは健康なのに何を言ってるんだ。世界には生きたくても生きられない人がたくさんいる。学校に行ったり外で遊んだりしたくてもできない人がいる。毎日、今のこの瞬間にも世界のどこかでは誰かが天にのぼっていってる。ぼくの当たり前は当たり前じゃない。とても幸せなことなんだ。なのにぼくは自分から命を手放そうとした。なんて恥ずかしいんだろう。

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