第4話 Sランク冒険者、人を探す。
海のように深く、それでいて透き通った青い瞳。
月のような輝きを放つ、プラチナの髪。
自分の怪我に気付き、治癒までしてくれた優しさ。
にも拘らず、大木の幹ほどもあるドラゴンの首ですら手刀で落とす、人外じみた戦闘力。
エドワルドは、名も知らぬ少女に興味を持った。
何にせよ少女のおかげですっかり元気になったエドワルドは、驚異的なスピードで砂漠を走り抜けた。
そして予定よりも一日早い今日、少女と会った翌日には街のギルドに到着した。
「あのさ、人捜してんだけど」
「・・・でしたら、憲兵の詰め所にでも行かれてみては?」
面倒だと言わんばかりにジト目を向けてくる、ギルドの受付嬢フィーナ。
ギルドの顔でありマスコット的存在であるはずのフィーナは、エドワルドに対してのみ、当たりがキツ過ぎるきらいがある。
本来ギルド受付嬢の接客態度が悪いというのは致命的な問題なのだが、エドワルドとしてはありがたかった為、特例で不問とされていた。
これは決してエドワルドにマゾっ気があるのだとか、そういう訳ではない。
「憲兵はナシだ。・・・なぁなぁ、せめて居るのかどうか位は教えてくれたって良いだろぉ?」
猫なで声で食い下がってみると、フィーナの周りの空気が一段階下がった。
「嫌 で す 。キモチワルイ。相手がSランクだからって、そう簡単に個人情報は流せません。ギルドは信用が命ですから」
「青い目に白銀の髪。そんでもって俺よりも圧倒的に強い女の子なんだけど」
「そんな化け物がいてたまるか?!そして人の話を聞けぇ!」
個人情報は流せないのだと拒否する言葉をスルーして、話を続けようとするエドワルドにフィーナは絶叫する。
ギルド関係者の一部で夫婦漫才とも呼ばれている二人の掛け合いは、今日も街中に響き渡る。
街では、夫婦漫才が聴こえてくる日は平和な日として知れ渡っているのだが・・・知らぬは当人ばかりである。
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