第3話 魔法紋とパワードスーツ 3


 ジューネスティーンとシュレイノリアが、王都にあるギルドの高等学校に入学した際、始まりの村で、一緒に行動していたレィオーンパードをどうするかという事になった。


 レィオーンパードは、今回の特待生としての学費免除・寮費免除の中に含まれなかった事で、レィオーンパードは、ここで2人とはお別れかと思っていたようだ。


 ジューネスティーンとシュレイノリアの転生から、6年後に転生してきたレィオーンパードは、3年経ったとはいえ、まだ、幼く、ヒョウの亜人であった事で、周りからは、少し浮いている存在だった。


 転移者として、ギルドの寮で生活していたジューネスティーンとシュレイノリアは、レィオーンパードを同じ転移者同士ということもあって、受け入れ、2人の弟のように扱っていた。


 レィオーンパードと、ジューネスティーン、シュレイノリアの3人は、仲の良い三兄弟のようだったのだが、ジューネスティーンとシュレイノリアが特待生として、王都にあるギルドの高等学校に入学となれば、レィオーンパードは、1人だけ始まりの村に残り、1人で冒険者として生きていく事になる。


 ただ、レィオーンパードは、ジューネスティーン達が入学した後に、入れてもらえそうなパーティーを探していたのだが、当時13歳のレィオーンパードを受け入れてくれるパーティーは無かった。


 そんなレィオーンパードの状況を考えると、ジューネスティーンとシュレイノリアは、2人で貯めていた、ギルドの高等学校の学費を、自分達が特待生となった事で、浮いたので、2人が貯めていた費用を、レィオーンパードの学費に当てた。


 3人分の費用を貯めてと思って、予定していた金額には届いてなかったのだが、レィオーンパード1人分の費用なら賄えると判断すると、レィオーンパードを無理矢理、ギルドの高等学校に入学させたのだった。




 入学直後のジューネスティーンとシュレイノリアの評価は大きく異なっていた。


 シュレイノリアの魔法の能力が注目されていたが、ジューネスティーンについては、生身の状態での、体術はそこそこ、剣技も冒険者というより一般人程度だった事で、疑問を投げ掛けられていた。


 しかし、実戦仕様の訓練の際に、自作1号機のフルメタルアーマー型のパワードスーツもどきを使った事で評価が一変した。


 生身の訓練では大した成果は出ていなかったのに、実戦訓練の際に、そのフルメタルアーマーを使うと、一般的なフルメタルアーマーの防護力に加えて、機動性が高く、同じフルメタルアーマーを使った、学生どころか教官以上の力を見せつけた事で評価が一転する。


 そして、半年後には、自身の鍛錬によって身体能力を徹底的に強化したのだ。


 その体力強化によって、入学当時の一般人のような、ひょろ長い体格ではなく、アスリートのような強靭な体躯に変わってしまい、生身の格闘術においても、ジューネスティーンに勝てる者は居なくなってしまった。


 また、パワードスーツ以外でも、学校の授業が進むに連れて、ジューネスティーンの授業の内容の吸収能力の高もが評価された。




 ジューネスティーンの学習能力の高さは、非常に高かった事もあり、座学における、教授達の話した内容の把握は、かなり高かった。


 特に、座学における、戦略・戦術に関する内容について、ジューネスティーンは、かなり興味深く説明を聞いていた。


 その為、王国の軍学校と、ギルド高等学校の冒険者との間で、毎年行われる共同演習では、ジューネスティーンの作戦案が、採用される事が多かったが、ギルドの指揮官となった生徒では、作戦の遂行に問題があり、軍学校側に苦戦を強いたが、勝ちをもぎ取るところまではいかなかった。


 だが、ジューネスティーンが、最高学年になった年の、共同演習では、ジューネスティーンが指揮する事になり、その年だけ、ギルド学校の勝利で終わっている。


 ギルド側の攻撃は、今までパーティー毎に動くことが多かったので、軍学校の各個撃破戦法で、個々のパーティー毎に倒されていたのだが、ジューネスティーンが、その冒険者パーティーを連携させたゲリラ戦で軍学校の生徒を分断させ、罠に嵌めてから複数のパーティーに襲わせて倒し、徐々に戦力を削っていった為、結果として軍学校から勝ちをもぎ取った。




 ジューネスティーンは、一度習った事なら、殆どの内容を覚えてしまう記憶力の高さと、授業内容の応用力の高さで、生徒から重宝がられていた。


 説明下手な教授の授業では、授業内容を理解できなかった生徒が、多々居るので、生徒から頼まれては、授業内容の解説をする。


 最初は、授業の後に、レィオーンパードが、授業内容について、ジューネスティーンに聞いていたのだが、入学時にパーティーメンバーとなった、アリアリーシャが、戦略・戦術について、レィオーンパードと一緒に授業内容の復習を始めると、カミュルイアン、アンジュリーンもそれに倣って、一緒に授業の復習を行うようになった。


 その様子を見た他の生徒が、ジューネスティーンの説明が上手だとわかり、徐々に、授業後に授業の内容の解説を聞く生徒が増えていき、授業内容でわからなかったら、教授じゃなくてジューネスティーンに聞けば、その方が早いとなってしまった。


 その結果、休み時間にはジューネスティーンの周りに人が集まるようになった。


 また、授業内容から試験問題の予想についても的確で、教授達の話し方から、授業内容の重要性を察知して、ポイントとなる部分を的確に判断する。


 テスト前だけ、テストの問題の傾向だけを聞く輩もあり、ジューネスティーンの所属した年の生徒の成績は、かなりの好成績を残しているのだったのだが、そのジューネスティーンの周りに人が集まるのを、教授陣からは、あまり面白く見られてはいなかったのだ。

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