第4話 ホバーボードとサーチ魔法
ジューネスティーンは、ギルドの高等学校に入学すると、学校から、使ってない教室を工作室として貸し与えられた。
それは、入学前にギルドとの契約の中にある、パワードスーツの開発の為に用意された部屋となった。
材料は、用意されていたのだが、ただの金属だったり、使い古しの装備だったりと様々だった。
ジューネスティーンは、錬成魔法を使えた事もあり、それらの素材を錬成魔法でパーツを作る事から始めていた。
そんな中、パーツの製造の後に、パーツの組み立てを行なっていた時、偶然、ホバーボードの開発を思いついた。
それは、ギルドに提出するため、特待生としての条件の提出するパワードスーツの組み立てを、行なっているときに起こった。
それは、ジューネスティーンが借りている工作室で、1人で夢中になって行なっていた所に、帰ろうと、呼びに来たシュレイノリアによって起こる。
ほぼ、パワードスーツも完成に近い形になって、残りは外側の第二装甲を取り付ける時にそれは起こった。
パワードスーツは、魔法紋の能力向上と共に魔法紋発動時の発熱対策として、風魔法の魔法紋で冷却させるのだが、その魔法紋を第二装甲の内側に用意することで、内部の発熱を空冷させていた。
鎧の上に一枚の板を着けて、外側は、防御魔法を施し、内側は鎧に風を当てたり、第二装甲のヒートシンクとして機能させている。
組み立てに夢中になっていたジューネスティーンに、寮に帰ろうと呼びに来たシュレイノリアが、床に置いてあった第二装甲に誤って足を乗せてしまった事で起こった。
床に置いてあった第二装甲に足を乗せた瞬間、シュレイノリアの強すぎる魔力に、第二装甲の魔法紋が反応してしまい、風魔法が発動してしまったのだ。
風魔法付与された放熱版に足を乗せてしまい、魔法紋に魔力を流してしまったことで、置いてあった第二装甲から強い風が発生して床に向かって流れた事で第二装甲が浮き上がってしまったのだ。
浮き上がった第二装甲は、床という前後左右への固定する力を失ってしまったため、乗っているシュレイノリアのバランスが崩れてしまい、つま先が前に進んでいく。
シュレイノリアは自分の意思とは全く違う力がかかってしまったので、バランスを崩して後ろに倒れる。
後ろに倒れ尻餅をついただけなら良かったのだが、勢い余って、ゴロリと転がる様にひっくり返り、背中から落ちると、背中と後頭部を床に打ちつけた。
更に、その勢いは止まらず、そのまま両足の膝が頭の上までくる。
悪い事にその時のシュレイノリアは学生が着る女子の制服であるワンピースを着ていた。
当時は、現在の様に足の傷を隠すためにニーハイソックスを履いていたこと、膝までのスカートだった事で足の傷は外から見ることは出来ないと考えていた。
そのため、完全に下着姿のお尻が露わになるが、背中と後頭部を打ったため、直ぐには体制を立て直すことはできなかった。
痛みを堪えていると、顔に掛かったスカートと頭の脇に自分の膝がある事に気がつくと、自分が制服のワンピースを着ていること、顔に掛かっている自分のスカートと、自分の体勢がどうなっているのか気がつく。
そして、すぐ横にはジューネスティーンが居る事に気がつき、彼の位置から自分の体勢がどの様に見えているのかを想像すると、顔を耳まで真っ赤にする。
シュレイノリアは慌てて足を戻しながら、片手でスカートの前を押さえる様にして体を戻し、スカートの前を隠すと、もう一方の手で後頭部を押さえながら上体を起こす。
恐る恐る、ジューネスティーンを見ると、自分の淫らな姿には目もくれず、シュレイノリアが踏ん付けって飛ばした放熱板を見て、何やら考えていたので、ジューネスティーンは、シュレイノリアの格好がどうなっていたのか、全く気が付いてなかった。
放熱板は、部屋の中を滑る様に進んで、向こう側の壁にぶつかると、回転しながら、更に別の壁の方に滑ってぶつかっていた。
その動きを興味深げに見ながら、ぶつぶつ何かを呟いており、シュレイノリアについて全く気にかけてなかったのだ。
その時、放熱板の動きをみて、ジューネスティーンは、ホバーボードのアイデアを思いつく。
風魔法で放熱するだけでなく、風力を大きくする事でパワードスーツに、ホバー機能を持たせることを思いつくと、その構想で頭の中がいっぱいになってしまい、シュレイノリアが転んだ事を忘れてしまっていた。
ただし、シュレイノリアを放ったらかして放熱板の動きを追いかけてしまった事でホバーボードのアイデアを閃いたのは良かったのだが、周りに目もくれず放熱板を見て思考を巡らせていたことでシュレイノリアには怒られた。
普通の男の子なら、倒れたシュレイノリアのスカートの中を覗くだろうが、ジューネスティーンは、シュレイノリアには目もくれず放熱板を見ていたこと。
下着を見られなかった事に安堵するシュレイノリアなのだが、ジューネスティーンがあまりにその放熱板に気を取られて自分に全く興味を示さなかった事で、逆に頭にきてしまいジューネスティーンに罵声を浴びせる。
「ジュネス! 私は、背中と頭を打ち付けた。 痛い思いをしている私を労わらないのか! それに私のスカートの中より、その部品の方に興味があるのかぁ」
自分を気にせず飛んで行った放熱板を見ていたジューネスティーンに怒りをぶつけたのだ。
しかし、ジューネスティーンは、シュレイノリアの怒りを気にもせず、飛んで行った放熱板の事を考えていたので、とんでもない事を言ってしまう。
「シュレ、お前のパンツ姿なら、部屋で毎日見ているから気にならない。 それより痛かったのか? なら、頭見てあげようか?」
シュレイノリアは、転移時に魔物に襲われて、大怪我を負っていた。
その時の影響で、シュレイノリアは、夜1人で寝る事ができなくなってしまい、前日に転移してきた、ジューネスティーンを頼り、10年近く、兄妹の様に、同じベットで寝ていた。
ただ、ギルドの高等学校で別の部屋に移された時、シュレイノリアの不眠症が出てしまった。
あまりに酷い不眠症だったために、その対策として、寮長の隣のふた部屋をジューネスティーンとシュレイノリアの部屋にして、その壁にドアを付けて、自由に出入りできる様にしたのだ。
その為、部屋の中で、お互いの下着姿などは、よく見るのである。
何時も風呂上がりには、下着姿で動き回っているシュレイノリアを見ているジューネスティーンは、全く気にしてなかったのだ。
そのジューネスティーンの態度に、シュレイノリアの怒りは頂点に達する。
「洋服を着ている時の下着は、下着だけでいる時とは違うんだ!」
意味の分からない内容で、ジューネスティーンは、怒られた。
偶然ではあったが、ラブコメ展開のお約束の様なシチュエーションを無視したジューネスティーンの行動と、自分がそのパーツ以下の扱いをされた事に腹を立てていたシュレイノリアだった。
しかし、シュレイノリアの踏んづけた放熱板のおかげで、ホバーボードとパワードスーツのホバー機能のアイデアを、ジューネスティーンは思いつく事になるが、風魔法だけではホバーボードにならなかった。
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