第5話 またあの噂を聞きに行こう

あのユーカリが丘の噂を聞いたあの日から謎解きが始まったが、時間はかかるばかりで、困る。

だから有効策を講じていたのだが、そこに志津が来た。


「何してんの、和樹?」

「今、謎を解くための有効策をだな…」

「考えてたのね。 和樹らしいわ」

「俺は軽率な行動をして、部員からの信頼を失いたくないだけだ」

「軽率なのもいけないけど、慎重すぎるのもそれはそれで駄目よ」

「俺は一体、どんな風に策を講じればいい?」

「まずはもう一回、噂を聞きに行こうよ」

「そうするか」

俺は志津と一緒に噂を聞きに行く事にし、俺ら二人は部室を後にした。

校舎内をしばらくさまよった後に同じクラスの、立花たちばな 夏恋かれんがいた。

「佐倉と志津さんじゃないの。 こんな残暑にどうしたのかしら?」

「立花さんに聞きたいことあるのよ」

「何かしら?」

「ユーカリが丘の噂知ってるか?」

「知ってるよ、新聞のネタにしたいのかい?」

「まあ、そんな所だよ」

「暇を持て余してたから、教えるさ」

そう言って、立花は話をしてくれた。

立花の話によって、わかったことがある。

南公園あたりで紙飛行機が大量に飛んでいるのを見かけたり、たまに少女の姿が見える事もあるが、少女の姿はすぐに見えなくなるという事がわかった。

「ありがとう、立花」

「いいよ、また頼ってね」

そう言って、彼女は去った。

そして俺らは校舎内をさまようことをやめにして、部室に戻った。


「気は済んだかな、佐倉君?」

「もちろんだよ」

「なら、明日から調査だね」

「あの二人にLINEでもしておいて」

「分かったわよ」

「鍵は俺がやるから、帰っていいぞ」

「分かったよ」

志津を帰らせて、職員室に向かい、俺は職員室の中に入り、鍵を戻した。

教師は皆、仕事中だから、俺は教師の邪魔にならないように、そっと職員室を出た。

そして俺は蝉時雨が響く学校を出た。























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る