トゥインキー

@taruzo

トゥインキー

介護士としての仕事は想像していた以上に疲労を訴えるものだった。しかし、この〇〇老 人ホームに配属されてから四年、仕事の流れや利用者たちや同僚とのコミュニケーション の加減にも慣れてきた頃だった。それに最近、新しい利用者が増えた。越野甚爾と名乗るそ の人物は、つい最近までホームレスだったという。にもかかわらず、莫大な資金を有してお り、そのうえ紳士的で博識な彼は、最初こそ怪しまれはしたが、すぐさま人気者となった。 話は面白く、何せハンサムな顔立ちをしていたであろう雰囲気を醸し出しているため、介護 士の中でも人気は高かった。最近少し体調が悪いと言っていたため、すこし入念に様子を見 なければならない。彼の部屋は一一七号室。部屋に入るといつものようにソファに座りなが

ら小説を読んでいた。サイドテーブルには、作りかけのクロスステッチ。 「越野さん、お身体の調子はどうですか」 「ああ、安西さん。こんにちは。少し咳が出るんですが、大丈夫ですよ。」 いつもありがとう、と本を読む手を止めて頭を下げてくる越野さん。毎回このように丁寧に お礼を言われるので、そのうち「爵位はお持ちですか?」と間抜けな質問を真剣にしてしま うかもしれない。いつものように身の回りのお世話を、世間話をしながら進めていた。越野 さんの話は説教じみたものではなく、ホームレス時代のトンデモ話や若い頃のヤンチャ話 など、聞いていてワクワクするようなものだった。

「今日、〇〇市夫婦殺害事件の容疑者が、刑務所内で死亡しました」

部屋にあるテレビが、そんな音声を発した。正確には、テレビに映っているアナウンサーが。 ちょうど越野さんの話が終わり、絶妙な沈黙が生まれた時にそんなニュースが聞こえてき たものだから、この話に反応するかどうか、迷ってしまう。 「ああ、あの事件ですよね。死んだんですね、犯人」 反応する方を選んだ。何気なく、何気なく。越野さんは、この事件のことを知っているのだ ろうか。この事件は四年前のことだから、私もこの介護施設で働き始めたばかり、もちろん 当時は越野さんはいなかった。越野さんはそんな私の心情を察したかのように返事をした。 「あの事件ですね。〇〇での。」

かわいそうな事件でした。 この事件は〇〇市で夫婦が殺害された事件。文字だけ見れば「なんの変哲もない殺人事件」 だった。しかし、犯人が夫婦たちと数年交流を持っていた点、取調べでの態度と事件との異 常性が結びつかないなど、不可解な点が多い事件だった。 「まあ、当然、て感じですよね。人のこと殺してるんですし。でも苦しまずに死ねてラッキ


ーなんじゃないですかね。ずるいですよ、遺された人たちのことなんて気にも止めてないで しょうに」

「刑務所は、辛いところなのでしょうか」 そりゃまあ、入ったことないけど、ここよりは辛いと思いますよ。少し刺々しい言い方にな ってしまうことに気づき、私は言葉を選んで ここよりはしんどいかもしれないですね、と言った。

三ヶ月後、越野さんの容態が急変した。お昼ご飯の時間に急に倒れて、そのまま救急車へ運 ばれた。居合わせたのが私だったため、同乗し病室で彼の目が覚めるのを待ち続けた。施設 のことが気がかりだったが、同僚が代わりに出勤してくれたようで助かった。 このまま目を覚まさなかったら...と一抹の不安を感じたが、運ばれてから二時間ほど経過 し、彼は目を覚ました。ご迷惑をおかけしました、と細々とした声で私に謝罪した。もう彼 は七一歳になる。体に異常が出てきてもおかしくない年頃だ。もし重篤な病を抱えているの であれば、入院を考えなければならないだろう。そうすると、身寄りのない彼のお見舞いは きっと私たち職員がローテーションで行っていくのだろうな、などと考える。少し億劫であ る気持ちは、きっと人間的には隠さなければならない感情なのだろう。 「私はね、もう長くないと思います。ずっとあんな暮らしをしていましたし」 「何言っているんですか、そんなこと言わ」 ないでください。と、最後まで言うことができなかった。 「安西さんにね、聞いてほしいお話があるんです」 倒れて感傷的になったのだろうか。越野さんはベッドに横たわりながら私を見つめそう言 った。家族の話か、これまでの人生の話か、はたまた何か犯した罪の懺悔か。どのような話 でも、いつものようなワクワクする話ではないだろうなと、覚悟と緊張が私の体を少し痺れ させた。いいですよ、では少し高慢だ。どんなお話ですか、だ。これだ。 「もちろんです。どんなお話ですか」

彼は安心した表情で話し始めた。

「私の、親友の話です」


もっと野菜をとった方がいいなぁ。でも、このセットでもう自分の中で定着しているし...。 家で握ってきたかつお節ご飯のおにぎりが二つと水筒に入れた、冷えた水。そして、おやつ として買ったトゥインキ―。これが朝山幸平のいつもの昼食だった。栄養バランスを考える とこの食事はほめられたものではない。糖質まみれだが、工場勤務の男性にはこのくらいが っつりとした食事の方が午後の仕事もはかどるのかもしれない。昼になると公園にいる人 は少なくなる。騒がしい公園は別に嫌ってはいないが、静かな方が好きだった。なんに憂い もなく毎日を過ごす子どもたちを見て、嫉妬をしなくて済むから、彼は静かな公園の方が好 きだった。

でも、あそこで食べるよりも子ども達がいる公園で食べる方がいいな。 幸平は工場の食堂を思い浮かべた。あんなところよりも健やかな場所である公園で食べた 方がご飯だっておいしい。誰も笑わない。誰も見てこない。誰も、自分の昼食を踏んだりし ない。この静かな空間で、おにぎりとおやつのトゥインキ―を食べることが、彼につかの間 の安寧をもたらしていた。

「よお」

「あ、こんにちは!越野さん」 幸平はいつも一人で昼食を食べているわけではない。この越野甚爾という男が時々、この公 園にやってくる。幸平は越野に食べ物を買ってきたり、たまにお弁当を作ってきたりする。 幸平がベンチに座っていた越野の隣に腰掛け、彼の大きな腹の虫が鳴いたのがきっかけだ った。 「今日はあったかいなあ。こんな日は、外にお散歩に出るのもいいけど、家の中で日向ぼっ こしながら映画でも見るのがいいんだよ」 「ええ、それなら俺は冬がいい。こたつで厚着して映画観るの、わくわくするんだよ。守ら れながら観るのが」

「いやぁ、春だよ」 「冬だよぉ。あ、越野さん、今日お昼は?お弁当買ってきたんだけど...」 生産性のない議題で少し盛り上がりを見せたところで、幸平は越野に買ってきたお弁当を 差し出した。幕の内弁当だ。 「ああ、あ、いつもありがとう。でも今日、仲間からパンもらってな。もうおなかいっぱい なんだよ。ありがとう」 そっか、じゃあ、これあげる。と、幸平はトゥインキ―を差し出した。スポンジケーキの中 にクリームが入ったそのお菓子は、幸平の幼少期からのお気に入りだった。家の近所に輸入


雑貨のお店があり、そこでたまに入荷されるのを見計らって、一気に四箱ほど買ってしまう のは、幸平の悪癖とも言えない悪癖だった。トゥインキ―を受け取った越野はまた、ありが とう、と感謝を彼に伝えた。そしてそれをほおばりながら幸平との他愛ない会話を再開する。 トゥインキ―を先日四箱購入した話。それを聞いて、腐らせないよう注意する越野。 「大丈夫だよ、このお菓子は三十年間腐らないんだから」 迷信だよ迷信!カッカと越野があきれ笑う。そういえば、と越野は思い出したように幸平に 話題を振った。

「あの女の子とは、どうなったんだい」 「ど、どうもないよ。その子の妹を助けただけだし...」 一週間ほど前、幸平は幼稚園児くらいの女の子を保護した。保護というような大したことで はなかったが、いつもの公園の砂場で一人で遊んでいた彼女に男が接近しているところを 偶然目にした。女の子の明らかに戸惑っている態度と男の挙動から、男が女の子の保護者で はないことに気づき、急いでベンチから立ち上がり、男を追い払った。大人の男二人がお互 いこわばった表情で何かやり取りしている様子を不安に思ったのか、女の子は泣き出して しまった。幸平は突然泣き出した女の子に驚き、とっさに何をしたらいいのかわからなかっ たが、ふと自分の昼食を思い出した。まだ食べていない今日の分のトゥインキ―がある。そ れをあげよう。ちょっと待っててね、とベンチにトゥインキ―を取りに行った。美味しいケ ーキだよ、と女の子にあげれば、しゃくりあげは止まらなかったが涙は止まった。美味しそ うにそれを平らげた女の子は、「ありがとう」、と幸平に言った。そんな些細なお礼でも、幸 平の胸を暖かくさせた。しかし悠長にしている暇はなかった。はやく彼女を家に帰らせなけ ればならない。しかし、自分のようなものが家まで行ったら自分が変質者だと思われるかも しれない、などとうじうじ考えていると、「奈々!」と女の子の名前を呼ぶ声が聞こえた。 声の方向を向けば、制服姿の少女が険しい顔をしてこちらへ向かってきた。恐らく幸平のこ とを変質者だと誤解し、警戒しているのだ。

「あ、いや、ちが」

「おにいちゃんとあそんでた!」 この女の子が果たして誤解を解いてくれるか、望み薄だと思い、―自分が真実を話しても信 じてくれる可能性は低いだろうが―、姉と思われる彼女に、変質者が妹に近づいた事実を話 した。すると彼女は表情を一変させ、先ほど幸平に対して失礼な態度を取ったことを謝罪し た。 「そ、そのことは全然いいんです。ただ、ご両親とか、幼稚園とかには連絡しといた方がい いかな、と」

「そうですよね...本当にありがとうございます」 もうしばらく彼女たちには、この公園に来ない方がいいということも伝えた。物騒ですから、 お気をつけて、と伝えてその場を去ろうとしたら、彼女に引き止められた。誠実な彼女は、 なんと両親に会ってお礼を言わせてほしいと言ってきた。この子、しっかりしているのか不


用心なのかわからないな、と幸平は心配になった。お気持ちだけで大丈夫です、と断ろうと 思ったが、妙に押しの強い彼女に負け、三人で家まで帰ることになった。家に着くと、戸惑 いを隠せない母親がいたが、事情を少女に説明してもらうやいなや何度も何度も頭を下げ られた。そして彼女も妙に押しが強く、そのまま仕事終わりに晩御飯までご馳走になった。

「お、女の子がどうって話じゃないよ。変質者には気をつけないとって話だよ。第一、俺二 十歳だし雛子ちゃんは高一だよ、そんな、気持ち悪いと思われるよ」 意識していない、といえば嘘になる。しかし、幸平はそんな自分に嫌悪感を抱いていた。少 し親切にされたら異性として意識してしまう自分に。異性どころか越野以外の人間との交 流が希薄であった自分が勝手に舞い上がっているだけだと必死に自分に言い聞かせていた。 幸平の周囲の人間は、新興宗教に浸かってしまい、彼を虐待し続けた母と、そんな母を見て 見ぬ振りをし、ついには愛想をつかし浮気をして家を出て行った父、そして幸平をいじめの ターゲットとしてくる同級生や同僚だった。そんな悲惨な人生の中でも越野という素晴ら しい友人に出会えたことでも奇跡だと思っていたのに、こんなにも立て続けに優しい人た ちに出会えるわけがない、調子に乗ればバチが当たる、と幸平は自分の喜びを抑えることに 精一杯だった。

越野は幸平のことを、息子のようにも、親友のようにも思っていた。初めて出会った時は さえない青年だという印象を抱いた。しかし、次の日に会ったときに、自分のようなホーム レスの老人に食料を与えてくるような無償の愛、おかれた現状を恨まない清貧の精神を持 つ彼には、誰よりも幸せになってほしいと、心からそう思った。そして同時に、彼を残して 死んでいくであろう自分のあらがえないふがいなさを少し嘆いた。幸平を虐待していた母 親は、自分の夫の浮気を機に発狂し、彼が中学二年生の頃に自殺をした。人に好意を抱くこ とも抱かれたこともない彼にとって、川村姉妹、そして家族との交流はなにかの縁なのでは ないだろうかと、越野は期待していた。 「四歳差なんてあってないようなもんだろ、まあ、これから進展があるか楽しみだわ」 カッカ、と笑う越野に、顔を赤くして反論する幸平の残りの昼休みは、あと二十分だった。

仕事が終わり、従業員たちは今日飲み会を開く居酒屋の看板メニューで盛り上がっていた。 もちろん、幸平がその輪に入ることはない。

「おい、あいつ誘わねえの?」

「誘ったところでつまんねえよ。気遣うだけだって」 「どもっててきもちわりいし何言ってるかわかんねえしな」

「仕事もおっせぇし」 彼らが幸平に向ける感情は無関心ではなく明らかな嫌悪だった。中学を出てここに就職し たときからこの態度をとられているのだから、今更このことで悩むつもりもないが、それで


も毎日このように陰口や嘲笑の対象となるのは、彼のみぞおちをうずかせ、痛めつけてくる。 盛り上がる彼らに対して、ほぼ無感情で「お疲れさまでした」と告げ、工場を後にした。早 く帰ろう。-この間越野さんが言ってたあの映画、配信されてるかな...-先日、越野が勧め てきた映画を思い出す。フランス映画のラブロマンスらしい。口調の荒いあの老人は意外に もロマンチストなのだ。そんなチャーミングな友との会話を思い出し、幸平のみぞおちの痛 みをやわらげた。

「幸平さん!」 本当にびっくりした。春の夕方とはいえまだ肌寒く夏ほど日は高くないのだ。名前を呼ばれ ている時点で恐喝や暴行目的ではないとわかるが、驚きのあまり幸平にそんな分析をする 余裕はなかった。

「雛子ちゃん!?」 声の主は最近知り合った川村雛子だった。制服姿で、しかもこんなところ―いつも幸平が昼 休みを過ごしている公園前―でいったい何をしていたのだろうか。学校帰りなのか、制服姿 で公園前のポールに体重を預けていたところを幸平を見かけ、彼に近寄った。 「こんな時間に」

「また、うちでご飯食べていきませんか!?」 彼女に注意する前に、またご飯のお誘いを受けてしまった。

「え?」 「ほ、ほら、この間は明日も朝早いからって、ゆっくりできなかったじゃないですか!今日 だったら明日は土曜だし、ご飯のあとちょっとゆっくりできますよね!?奈々...妹もまた、 幸平さんに会いたいって言ってるし...!」 矢継ぎ早に話を進める雛子を少し落ち着かせたかったが、幸平は彼女の話がひと段落し、沈 黙が生まれるまで待つことにした。しかし、初めて会った時もそうだが、本当に彼女はもう 少し警戒心を持った方がいい、と幸平は自分にも言えること―自覚はないが―を思ってし まった。ちょっとした事件があってから一度家族で食事をし、その後何度か公園で会うだけ の男を食事に誘うためにこんな夕方まで外で待っているのは決して安全とは言えない。し かし、ここでせっかく誘ってくれているのに説教をするのはいささか生意気だろうと、幸平 は彼女に注意することをあきらめた。 「あ、また誘ってくれてありがとう。で、でも、お母さんとお父さんにご迷惑が」 「父と母にも言ってあります!!!!」 自分の前髪が彼女の声で後ろに持っていかれるのではないかと思うほどの大きな声だった。 どうして自分なんかを誘ってくれるのだろうか。もしかして、おいしい料理をたらふく食べ させて、太らせて食べるつもりなのではないだろうか、と誰にも伝えない意味のないジョー クを幸平は心の中で放った。正直、幸平は踊りたくなるほどうれしかった。五年間一緒に働 いている同僚たちにも食事に誘われない自分なんかが、素直ではつらつとした女の子に誘 ってもらえて、そしてその両親や妹までそれを了承してくれているという事実が幸平に天


にも昇るような高揚感を与えた。先ほどまでの不快なみぞおちの痛みとは違い、今感じるの は楽しみを目の前にすることで起こる愚かしい痛みだった。ここですぐさま返事をするの は気持ち悪いかもしれない、よし、と幸平は小さなさりげなく、「仕方なく」返事をする準 備をした。

「そ、そ、それならぜぜぜひ!!!!!!」

「幸平君ハタチ!?もっといってるのかと思ったよぉ、大人びてるから!どう!?飲 む!?」

「あなたもう調子に乗らない!幸平君、苦手なら飲まなくていいからね」 「こうちゃんね、ななね、おおきくなったらピンクいろになるよ」 「どうする!?ハイボールにする!?梅酒もあるけど!!」 「あなた!!あ、幸平君もっと食べてね、そんなに細いと心配よ!」 「もう、みんな落ち着いて!!!幸平さん困ってるから!!!」

食卓には所狭しと料理や飲み物が置かれていた。幸平は何から手を付ければいいのかわ からなかったが、今のところすべての料理を味わうことができていた。特に炊き込みご飯。 雛子の父、潔は気さくで少し強引だった。お酒が入っているのもあるが声が大きい。しか し、お酒があまり飲めずそれほど大食漢でもない幸平のことをからかうわけでもなく、ただ ただ幸平という人間に興味津々な人物だった。実際、お酒が入る前の彼は(入った後とそれ ほど変わらないが)奈々の件で土下座をする勢いで幸平に感謝の意を述べた。前回は仕事の 都合で幸平とともに食事をすることができなかったため、今日の彼との食事を非常に楽し みにしていたらしい。それを制止しているのが雛子の母、凛子だった。オールバックのポニ ーテールから少し怖い印象を持ったが、料理上手で潔よりは理性的、彼女もやはり優しさの 中に強引さを持つ人だった。彼女が作った炊き込みご飯は幸平の胃袋をわしづかみしたよ

うで、現に彼は三杯もおかわりしていた。 「きいてる?ねーねー、ななね、ピンクいろになるんだよ」 妹の奈々は先ほどからポテトばかりを食べ、幸平に構いっぱなしであった。「将来はピンク 色になる」という夢を延々と幸平に語っていたが、この幼児特有の謎の夢の掲げ方には幸平 も幼少期に心当たりがあったため、まったく意味が分からないでもなかった。 「すみません幸平さん、騒がしくて...」 「い、いえ!とんでもないです。すごく、楽しいし、嬉しい、です」 家族のにぎやかさを付き合いの浅い人間に知られる恥ずかしさを覚えた雛子は幸平に謝罪 した。しかし彼がこのような事で気分を害する人間ではないことは彼女も分かっていた。生 い立ちまでは知らないにしても、温厚で少し卑屈な性格の持ち主であることは、この数週間 で彼女が一番よくわかっていた。実際、それは事実であったし、このように家族全員がそろ う食卓を幸平はもう十年以上経験していなかったため、そのにぎやかさに戸惑いはしたも


のの、不快に思うことなど一つもなかった。皆が好き勝手に話しながら料理に手を付けてい き、気づけばもうすべての皿は料理の汚れだけで彩られていた。後片付けを手伝おうと幸平 は凛子に皿を台所に運んでいいか聞いたが、「お客様なんだからゆっくりしてて!」と断ら れてしまった。 幸平はリビングで胡坐をかき、その上に奈々を乗せて一緒にあやとりをしていた。ほうき、 はしご、ゴムゴム、流れ星、次々と作ってやると、奈々は大いに喜び、手先の器用な幸平に 一層なついた。幼少期におもちゃを買ってもらえず、友人と遊ぶこともなかった幸平にとっ て、毛糸一本でできるあやとりは一番熱中できる遊びだった。まさかこんなところで役に立 つとは、当時の彼は思いもしなかっただろう。奈々があやとりに飽き、幸平の胡坐の中です やすやと眠ったころ、流れていたテレビでは物騒なニュースが流れていた。

「××市で、白骨化した遺体が見つかりました。警察は事件と見て捜査を進めています」

「隣の市だ...物騒だね」 「そうですね......なにか、録画しているものでも見ましょうか!」 すこし暗くなった空気を換えようと雛子が提案した。彼女が選択したのはアイドルがクイ ズに答え、正解すれば名物料理が食べられる、というバラエティ番組だった。一発で正解し たり、珍回答が続いたりして、さきほど漂った重い空気は一掃された。その後、凛子と潔が 切った桃を運んできて、眠っている奈々には内緒で、四人で桃を堪能した。

「遅い時間まで、ありがとうございました」 「いいのよ~また来てね!いつでも歓迎するから!」 時計の針がもう十を指している。長居しすぎたか、と、少なすぎる家の訪問という経験から、 自分の行動は適切であるかがわからなかったが、凛子の反応を見ると、どうやら非常識な時 間ではないようだ、と幸平は安堵した。桃を食べながら酒をあおっていた潔は奈々と一緒に もう床に就いていた。

「私、そこまで送ってくるね」 「え!い、いや、大丈夫だよ。帰りは一人になっちゃうから、危ないよ」 「ほんと!すぐ!すぐそこまでですから!」 幸平の見送り役を買って出た雛子は、コートを取りに行った。夜中に娘を外に出してしまう 罪悪感から、幸平は凛子に謝罪したが、「いいのよ」、うふふ、と笑っていた。

「今日はほんと、ごちそうさまです。ありがとう、また誘ってくれて...」 静かな住宅街は春の夜の寒さを助長する。寒いことを理由に自分の口下手さを言い訳でき ればいいが、それが雛子に伝わっているかは定かではない。


「いえいえ!ほんと、私こそ、急に誘ったのに来てくれて嬉しいです!」 雛子は笑う。こんな風になりたかったな、と幸平は少し嫉妬した。明るくて、素直で、かわ いい笑顔で人を幸せにできて、愛されていいな、と。高校に行けていいな、両親に愛されて いいな、妹に慕われてていいな、友達もたくさんいるんだろうな.........。幸平はハッとした。 こんなことを思っても何も良いことがないし、雛子を悪者にしているようで良い気持ちが しなかった。話を変えよう。 「お母さんの料理、す、すごく美味しかった...炊き込みご飯とか」 「本当ですか!?ありがとうございます!うちの両親、食べるのも作るのもどっちも好き なんですよ。二人で昔に食べた料理のスクラップブックとか作ったりしてて」 そこから、いつもの公園まで何とか世間話が続いた。二人にとって、ぎこちないながらも紡 ぐ会話が少し心地よかったりもした。

―今日は、本当にありがとう。じゃあ、また。

―はい!また!

「は!?まだ告白してないのか!?へったれだなぁ~!?」 「し、仕方ないだろ!相手は高校生なんだし、第一、俺なんかに告白されて気持ち悪いって 思ってこの関係が崩れたら...」 幸平と雛子が出会ってから、三年が経過しようとしていた。そして、幸平が雛子に対して好 意を抱いてから、二年と半年が経っていた。更には雛子が幸平に好意を抱いてから三年...― この事実を幸平が知る由もないが―。あれから、幸平はたびたび雛子に食事に誘われるよう になり、川村家とも交流を深めた。工場では相変わらずいじめともいえる待遇であったし、 つらいことに変わりはなかった。しかし、越野という友人に加えて川村雛子という思い人の 存在は彼の人生に確実に光を与えていた。幸平はこの口の悪い友人に幾度となく相談した が、その内容はどうすれば告白できるか、ではなく、どうしたらこの思いを消すことができ るか、という旨だった。最初は真剣に聞いてくれていた越野だったが、幸平のあまりの意気 地なさに一年ほど前から「当たって砕けろ意気地なし!」としか言われなくなった。相談料 として毎回ご飯とトゥインキ―を彼に与えていたが、もうそんなものは良い、とまで言われ


る始末であった。 「お、俺みたいなブサイクでお金のない男に、しかも中卒のばかで、そんな奴に告白された ら、き、気持ち悪いでしょ、そんなやつ、家にあげてると思うと」 「幸平よお...そんな俺の友達の悪口言わんでくれや。泣いちまうよ」

「で、でも」 「雛子ちゃんは、三年も付き合いのある人間を気持ち悪いと思う子なのか?お前は、そんな 子が好きなのか?」

「そ、それは違う!けど...」 「幸平、お前は三年前も優しいいいやつだったけど、この三年でもっといい男になったと思 うぞ。明るくなったし、よく笑うようになった」 お前のことを一番知っている俺が言うんだ、信じてくれよ。 幸平は思う。越野の話はいつも面白いしワクワクする。説教臭くなくて、昔のヤンチャ話な んていつも笑ってしまう。彼がどのような経緯でホームレスになったのかはわからないが、 彼の豊かな人生の中から紡ぎ出された言葉には、いつも勇気づけられ、励まされる。それこ そ、お弁当とトゥインキ―では安すぎるほどに。 「じ、実は今日、またご飯をごちそうになるんだ...」 川村家でご飯を食べたあとは決まって雛子が幸平を公園前まで見送る。思い立ったが吉日、 とまではいかないが、今日は自分から積極的に話しかけることを決意した幸平であった。 今日は仕事は早上がりなので、いつもより早く川村家を訪れる予定である。いつもごちそう になるお礼といってはささやかだったが、川村家の二階の部屋の掃除を頼まれていた。幸平 は越野の励ましにより、謎の自信が湧いていた。今日想いを告げるわけではないが、雛子と たくさん話そうという自分の意気込みだけでもうすでに舞い上がってしまっており、その ことに気づいた越野が「あまり浮かれすぎるなよ、空まわる」と忠告するまで幸平の興奮は 続いた。やっぱ俺、ちょっと気持ち悪いな...と少し落ち込んだ幸平だった。

「ごめんね幸ちゃん!ほんと助かるわ~」 仕事が終わり、いったん家に帰って汗を流してから川村家を訪れた。幸平が掃除を担当する のは二階の物置部屋だった。掃除というほど汚れてはいない、恐らく、整理だろうなと幸平 は推測した。全然大丈夫ですよ、どこを整理すればいいですか、と問えば、山積みの段ボー ルに入っているものを取り出して、種類ごとに分けてほしい、あの子たちの工作とかお手紙 とか入ってるから!と言われた。

「わかりました」 さっそく作業に取り掛かる幸平。凛子もしばらく一緒に作業をしていたが、今日の晩御飯の 材料を何か買い忘れたようで、それを思い出した彼女は急いでスーパーへ買い出しに戻っ た。段ボールの量は多いが肉体労働でもないため、特段一人で困ることはなかった。黙々と


作業を続けていると、今までの段ボールとは明らかに重さの異なるものが出てきた。腰を入 れて床におろし、中を見るとそこには大量のノートが入っていた。一番上にあるものを好奇 心で開いてみると、どうやら雛子の落書き帳のようだった。背表紙には「かわむら ひなこ」 と幼児の字で記されてある。他にも、奈々の絵日記やひらがなの練習帳など、彼女たちの成 長が垣間見れるものがたくさん入っていた。自分のこういったものは使えばすぐに処分さ れていたため、本来は取っておくものなんだな、とすこし感傷に浸ってしまった。奈々の絵 日記を綴じ、作業を再開しようと思い段ボールの中に手を伸ばす。手に取ったのは、名前も タイトルも書かれていないリングノートだった。せっかく再開した作業だが、妙に違和感を 放っていたそれは、幸平の好奇心をくすぐった。表紙を開く。

××××年 〇月△日 ステーキ なかなかおいしかった、初めてだったけど、やっぱり。でもやっぱり、肉が固い。

××××年 ×月□日 シチュー うん、若いとお肉がふわふわでおいしい。なかなか食べられるものじゃないもんね、味わ って食べないと。

××××年 △月□日 カレー 煮込み料理の方があってる気がする。前回のシチューもおいしかったし。

いつか、雛子が言っていた、川村夫妻が作っているというグルメのスクラップブックだろ うか、いや、それにしてはお粗末だ。ただ日付と食べたものが記され、感想が一行から二 行ある程度。字の雰囲気からして、凛子の日記なのかもしれない。食べ物ばかりの。本当 に料理が好きなんだとなと幸平は感心した。失礼なのはわかっていたが、これで最後だか ら、と自分に言い訳をして、ページの真ん中あたりを開いた。

〇〇〇〇年 ×月×日 娘 出産した。かわいい女の子。「雛子」という名前にした。かわいい、かわいい。私の「凛 子」の「子」をつけた。古風でかわいい。

△△△△年 △月△日 娘 四歳になった。「まだだろう」、と潔に止められた。


××〇〇年 □月□日 潔が面白いことを言ってきた。食べ比べをしようって。良い案だと思った。

ちょうど雛子も、下の子が欲しいと言っていたし。

△△××年 〇月〇日 娘 生まれた。かわいい。「奈々」と名付けた。雛子も喜んでいる。

なんておいしそうなの。

雛子が十八歳になったら、奈々の肉と食べ比べをしよう。高校生の肉と小学生の肉、きっ とどちらもおいしい。最高だ。待ち遠しい。お母さんが守るからね。奈々にはできるだけ ストレスを与えないようにしよう。家畜だってその方がおいしい肉になるという。今まで のどの食事よりも楽しみだ。あと七年も待たないといけないのか、いや大丈夫。それまで は他の人間を食べればいい。かわいい。本当にかわいい。ああ、

ほんとうにおいしそう。

自分はいったい、何を読んでいるのだろうか。日記はそのページを最後に終わっている。 他のページを見ると、最初のページと同様にただ料理の感想を一行程度でまとめている だけだ。なんだ、なんなんだこれは、「凛子」、「潔」、「雛子」、「奈々」、間違いなくこれは 川村家の人間、いや、凛子が書いたものだ。心臓とみぞおちがいたい。工場で陰口を言わ れているときに感じるものと同じ、いや、それ以上だ。 彼らは、人を食べるのか。これだけでそう判断するのは正しいのか。わからない、わから ない。急いで他のノートをあさる。先ほどと同じような何も書かれていない表紙のノート がもう一冊出てきた。ノートを開くことへのためらいがなくなった。そのノートにはこう


記されていた。

人を食べることは豚や牛を食べることと変わらない。自分でも何が駄目なのかわからな い。潔しか、わかってくれない。潔だけが理解してくれる。潔に出会えてよかった。潔も 人を食べる人間でよかった。ありがとう。嬉しい。愛してる。早く二人を食べたいね。あ と、一年だよ。

ただその一ページのみ、記されていた。人が人を食べる。あの二人が、雛子と奈々を食べ ようと、殺そうとしている。あんなに、あんなに仲良しなのに、なんで。 幸平は無意識のうちにその二冊の日記を自分の鞄の中に入れていた。その日の晩御飯の 味は、よく覚えていなかった。

「幸平さん、大丈夫ですか、顔色が...」 いつもの帰り道、公園前で雛子が幸平の顔色を心配した。食事中もずっと浮かない顔をし ていたため、体の具合が良くないのだろうかと思ったのだろう。 「あ、う、ううん。そんなことないよ。きょ、今日も、ありがとう」 そう笑ってみせると、雛子も安心したように笑った。 どうしてこんなにかわいいわが子を殺そうと、食べようとするのだろうか。無理に笑った のがたたって、幸平の心情はめちゃくちゃになった。 「あの、さ。雛子ちゃんの誕生日、一週間後だよ、ね」 「あ、はい!当日家族でパーティーするんです!部活の合宿で当日はできないかもって 思ってたんですけど、ちょうど当日に帰ってこられるから!」 幸平さんも、よかったら来ませんか、と雛子は顔を赤らめた。しかし、幸平の返事はノー だった。その日は約束があるんだ、ごめんね、と断った。一瞬悲しそうな顔をした雛子だ ったが、すぐに笑顔を取り繕い、冗談のように言ってみせた。 「じゃ、じゃあ、誕生日過ぎてからでもいいから、私とお出かけしませんか!」

いつか、越野がうわごとのように言っていた言葉を思い出す。 ―できねえ約束は、しちゃいけねえんだよ。相手を傷つけちまうから。 「うん、もちろんだよ。すっごくたのしみだね」 自分は、嘘ならどもることなく息をするようにつける人間なのだと幸平は初めて知った。


ごめんね越野さん、せっかく、せっかく俺と友達になってくれたのに、ほんとごめん。思い とどまったんだ。でも、警察に行っても相手してもらえなくて、俺、ばかで、こんな方法し か思いつかなくて、ほんと、ほんとにごめん。おかしいよね、きもち、わるい。で、でも、 越野さんに迷惑とか、かけない。あ、で、でも、今から、自首、しに行くんだけど、この公 園、もう来ない方がいいかも。もし何かあったら、怪しまれるかも、しれないし。おれ、俺 さ、父さんとも母さんとも、学校の人とも仕事の人とも仲良くできなくて、すっごい寂しく て苦しかったんだけどさ、越野さんに会えて、う、う、れしい、かったよ。あ、ありがとう。 友達に、なってくれて、あ、あとさ、これ、これ。銀行いって、おろしてきた。あの、母さ んが死んだときの、保険金。たぶん、これから、健康に暮らせる分は、あると思うから、ご めんね、はじめ、から、越野さんに、お金わたせば、よかったんだよね、お弁当とトゥイン キ―って、そんなに、だよね。ごめんね、き、気が付かなくて。ほんと、ばかでごめん。で もさ、もうさ、この方法しか、わかんなかったんだよ。おれ、あの二人のこと、すっげえ好 きだった。でも、二人が、雛子ちゃんと奈々ちゃん、食べよう、って、殺そうって、するか ら。おれ、わかんなくなって、守りたいって、思ったのに。傷つける、だけで。ふ、普通に 考えて、こんな変な奴、家にあげて、家の掃除までたのむとか、おかしい、よね、最初から 俺のことも、食べる、つもりだったのかな。ごめん、越野さん、ごめんね。長生きしてね、 お、お金と一緒に、日記、入ってるから、絶対、誰にも、見せないで。お願い。二人が、悲 しむ。なん、ども言うけど、おれ、本当に越野さんのこと大好きだよ。おれ、生まれてきて よかった。幸せだったよ。いっぱい、話してくれて、聞いてくれて、ありがとう。じゃあ、 ね。

越野は賢い。聡明なのだ。夜中、いつもの公園の越野の段ボールハウスを訪れた幸平は、血 まみれだった。最初は、いじめがエスカレートして大けがをしたのかと思い激しく動揺した。 しかし、幸平のこのような言葉を聞いて越野は、その血は返り血であることを知った。川村 夫妻が、食人趣味を持つ人間で、娘二人を食用のために出産し育ててきたことも、そして、 そのことを何かのきっかけで知った幸平が、二人を殺めたことも。

何で殺した。

他にも手段があっただろう。

どうして俺に言わなかった。

もう取り返しがつかないんだぞ。 そんなことを言ったって、もう何も起こるわけではないことを、越野はわかっていた。 まともな教育を受けず、両親からの愛を知らず、暴力を振るわれる日々を過ごしながらもた


だ誠実に生きてきた青年。初めて恋をした少女に、想いを告げようとしていたけなげな少年。 その少女と妹を守るために、その家族を殺した。これほどまで、救いようのないことがある か。幸平の不器用さは魅力だ。越野は常々そう思っていた。しかし、それがこんな形で表出 してしまっては、もう取り返しがつかない。もう、何も残らない。 「○○市で、夫婦を殺害したと、二十三歳の男が、自首をしました」

犯人とみられる朝山幸平容疑者は、刃物で何度も二人を刺し、その遺体を被害者宅のベッド の上に放置し、現場の血痕をふき取り、被害者の遺体に包帯を巻くなどの異常行動が見られ ています。なお、朝山容疑者と川村夫妻には数年間交流があったとみられ、警察はその動機 を調査しています。

二年後、朝山幸平は、死刑判決を下された。

二人の人間を何度も刃物で刺したという強い殺意。

遺体に施した異常性からうかがえる命への冒涜。

越野は、新聞で友の死が自分よりも早く訪れることを知った。


「安西さん、私の親友は、このあいだ死にました。二十七歳です。二十七ですよ。彼が好き だったお菓子の賞味期限より短い」 彼は確かに間違っています。もっと他に方法があったはずです。でもね、彼は、幸平は、家 族がゆがむことが耐えられなかったんだと思います。本当に、馬鹿な男です。命は守って、 彼女たちには大きな傷を残したんです。でも、私はずっと彼の味方です。殺人犯の味方じゃ ありません。朝山幸平の味方なんです。え、どうして今になって話そうと思ったのか?...... 幸平のニュースが流れてきたとき、あなたが、あまりにもひどいことを言うから。真実を知 らないにしても、私は、この怒りが正当なものではないとわかっていても、すこし、腹が立 ってしまって。一生誰にも言わないつもりでした。だけど、もう、「言わないで」と言う人 は、いなくなってしまったから。ああ、安西さん、そうだ、一つ、お伺いしたいことがあっ て...。

バタバタと廊下をあわただしく走る足音が近づいてくる。先ほど、施設の先輩が迎えに行く、 と連絡を入れてくれた。恰幅のいい、きのいいおばちゃん職員で、気さくで私のことをあだ 名で呼んでくる。がらがら、と病室の引き戸が動いた。

「ごめんね~ひなちゃん!!遅くなったね!」

―そうだ、一つ、お伺いしたいことがあって...。

「安西という苗字は、引き取られた先でのお名前ですか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トゥインキー @taruzo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ