第355話 即心是仏その六 外道の説く「心」④

 「いま現在せる諸境も、霊知の所在によらば、真実といひぬべし。本性ほんじょうより縁起せるゆゑには実法なり。たとひしかありとも、霊知のごとく常住ならず、存没ぞんもつするがゆゑに。明暗にかゝはれず、霊知するがゆゑに。これを霊知といふ。また真我と称じ、覚元かくげんといひ、本性と称じ、本体と称ず。」

 今現実に存在する様々な環境も霊知(霊魂)の存在する所ならば、真に存在すると言ってよいだろう。本当の性質(霊知)から起きているのだから真の存在である。たとえそうであっても(様々な環境は)霊知のように常に変わらぬものではない。存在したり滅したりするからである。明るい暗いに関係なく神秘的に知ることから、これを霊知と言うのである。真我とも称し、覚元とも言い、本性とも称し、本体と、称したりするのである。

 仏教ではない考え方、つまり外道の考え方による心、霊知・霊魂の説明の続き。

 全ては霊知・霊魂から生ずるということなのだろう。だから全ての根元だから真の自我だから真我、さとることの元だから覚元、本当の性質であり本体そのものだ、ということなのだろう。

 繰り返すが、このような考え方は仏教ではない。現在では仏教ではない考え方があたかも仏教の教えのようにされていることが多いように思う。よくよく気をつけないといけない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る