第352話 即心是仏その三 外道の説く「心」①

 

「外道のたぐひとなるといふは、西天竺国に外道あり、先尼せんにとなづく。かれが見処のいはくは、大道だいどうはわれらがいまの身にあり、そのていたらくは、たやすくしりぬべし。いはゆる苦楽をわきまへ、冷煖りょうなんを自知し、痛癢つうようを了知す。万物にさへられず、諸境にかゝはれず。物は去来しきょうは生滅すれども、霊知は常にありて不変なり。」

 仏教以外を信じる人々(外道)の類いとなるというのはどういうことかと言えばインドの西に外道がいてその名を先尼と言った。その考えを言うところには、重要なものは我々のの今のこの身体に存在する。そのありようは容易にわかることである。いわゆる苦楽を心得て、冷たい暖かいを自分で知ることができ、痛い痒いを知ることができる。これらのことは万物に邪魔されることなく、様々な環境に関係ない。物は来ては去り環境は消滅を繰り返して変化するけれども、霊知・霊魂は常にあって不変なものである。

 世の中でよく聞くことだ。肉体は死んで消滅しても霊魂は残るなどと言う人間がいる。霊魂は不滅で永遠のものだなどと言う。

 しかし、このような考え方は仏教のものではない。外道の考え方なのだ。

 霊魂不滅を仏教が説いているというようなことを言う人間がいるがまったくの誤りである。繰り返して言う。霊魂不滅などというものは仏教ではない。

 さらにこの後外道の考え方の説明が続く。

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