第351話 即心是仏その二 菩提心

 「いはゆる即心のをきゝて癡人ちにんおもはくは、衆生の慮知念覚の未発菩提心みほつぼだいしんなるを、すなはち仏とすとおもへり。これはかつて正師しょうしにあはざるによりてなり。」

 いわゆる即心についての話を聞いて愚かな人間が思うことは、衆生の考えたり知ったり思ったり気付いたりする働きを持つ心がまだ真実・真理を知りたいと願っていない(未発菩提心)ものがすなわち仏だと思ってしまうのである。これはこれまでに正しい師に会わなかったからである。

 仏教を学ぶのは真実・真理を知りたいと願うからだ。真実・真理を知りたいという心を起こすことを発菩提心という。菩提心を起こさなければ仏教を学ぶことはできない。

 即心の「心」は菩提心を起こした心つまり発菩提心だ。菩提心を起こしていない心つまり未発菩提心は即心是仏の心ではない。

 ここはまず即心の心についての説明になっている。

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